令和4年度障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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・開かれた質問で、クライエントの発言をさらに促している。クライエントは自由に答えることができる。第10節 障害者へのカウンセリング(相談)(相談事例2)(相談員、「お座りください」と言い、クライエントを椅子に座るようジェスチャー)ク1:相談したいことがあるんです。ク2:就職して1年が経つんですが。ク3:最近、私が帰る時に、挨拶をしようと係長とかスタッフさんたちを探すことが多いんです。ク4:はい。でも、いつも、いないんです。会議だとか言っていますが。私のことを避けているのかなって。ク5:絶対、私のことを避けていると思うんです。ク6:悲しいし、なんで私のことをそんなに避けるのかと。                相6:怒りを感じている。ク7:そうですよ、あきれています。ク8:そうなんです。相8:お話のようなことは毎日なのでしょうか?ク9:いえ、毎日ではないのですが、それでも週に何回かあります。会話相1:どんなことでしょうか。相3:係長やスタッフさんを帰るときに探す。相4:避けられてるって、思うんですね。相5:避けられていると思うと、悲しい。相7:職場のマナーとして挨拶をするべきだと考えている。でも、帰りの挨拶をしようとすると職場の人たちがいない。避けられているんではないかと感じている。相9:他に「避けられている」と感じるようなことはあるんでしょうか。相2:はい。・返事(相槌)ではあるが、聞いていることを示し、さらにクライエントの発言をさらに「促す」機能も持っている。・クライエントの直前の発言を繰り返している。・クライエントの最も伝えたい部分(避けられてる)を取り出しており、かつ「思うんですね」を付けることで、クライエントは「避けられてる」というのは、客観的事実とは断定できずクライエントが判断したものであるということも、暗に示している。・クライエントの感情を取り上げている。・ここでもクライエントの発言になかったが、抱いていそうな感情(怒り)についても尋ねている。・ここまでのクライエントの発言を要約し、相談員がこのように理解しているということを確認している。・具体的に頻度を聞いている。・さらに、他の場面でもクライエントの訴える内容と関連する出来事があるのか尋ねて、状況の具体的把握を行っている。解説111

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