令和4年度障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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◇ 肢体不自由者の雇用事例(サービス業)第1節 肢体不自由者121 ハンディキャップを解消し、働きやすい職場環境にするためのポイントを次に示します。ア 車いすの通行には90㎝以上の幅が必要です。イ 段差はなるべく解消し、あっても2㎝以下にします。ウ 扉は自動ドアか、引き戸にします。エ 手の届く範囲は上方で床上約150㎝、下方で床上約40㎝が目安となります。作業に必要な器材や部品の配置は、レイアウトや収納箱の角度等の工夫が必要です。またリーチャーなどを利用すると手の届く範囲が広がります。オ 機械等の操作位置が高すぎたり低すぎたりすると、無理な姿勢で作業することになりますから、通常の車いす座位姿勢で無理なく作業ができる高さに工夫することが必要です。高さの調節には、作業台を置いたり、機械を床に埋め込んだり、座面昇降式の車いすや立位がとれる車いすを使用します。さまざまな支援機関と連携し、体力的な制約や、通勤等で介助を必要とすることから就職をあきらめていた肢体不自由のある者を積極的に在宅雇用し、ポスター、ちらし、Webのイラストデザインの作業などに従事させている。Web会議システムの活用により、在宅のスキルの高い者から初心者に対し、教育訓練する取組を行っており、初心者の不安の軽減、指導役の業務支援スキルの向上のほか、双方のコミュニケーション能力の向上にも結び付いている。同システムの活用により、依頼主へも在宅の社員が直接交渉することが可能となっている。在宅で業務を進めるにあたり、フレックスタイム制を導入し、通院の日程等に配慮した取組を行っている。また、作業療法士が作業姿勢の画像を確認し助言することにより、疲労の軽減、正確さの向上に結び付き、長時間持続して作業を行えるようになった。(髙木 憲司)【参考文献】1)大川嗣雄ほか:「車いす」医学書院(1987)2)神奈川県労働部編「身体障害者の雇用促進のために:作業工程分析と職場施設改善」3)労働省,日本障害者雇用促進協会「障害者雇用事業所における施設設備の改善に関する研究」平成2年度研究調査報告書-10,No.16.4)労働省,日本障害者雇用促進協会「障害者雇用事業所における施設設備の改善に関する研究Ⅲ」平成4年度研究調査報告書-4,No.22.Q&A【問】車いす使用の社員がいる場合、事務室のドアは引き戸より開き戸の方がよい。(解答と解説はP348に記載しています)~障害者雇用職場改善好事例の入賞事例から~

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