令和4年度障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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❶ 電解質:特定の溶媒に溶かしたときに、溶液が電気伝導性をもつようになる物質のことで、体内電解質とは、Na、Cl、K、Ca、❷ 血栓性静脈炎:局所の感染に基づく静脈炎で、局所の静脈の肥厚と血栓の形成をみる。148Pなどが重要視される。は、カテーテル先端を鎖骨の下から挿入し、中心静脈に留置した状態で輸液管理を行う方法で、長期の、さらに高カロリーの輸液が可能となりました。カテーテルの清潔維持、電解質や糖代謝異常出現の監視(血液・尿検査)が必要であり、医療管理下で行われます。小腸機能障害のために長期の中心静脈栄養法が必要で、かつ一般状態が安定し、患者・家族の協力が得られる場合、中心静脈栄養法を在宅で行う方法がとられつつあり、医療保険の適応対象にもなっています。これにより、患者・家族の社会参加を助ける効果も出てきています。輸液のシステムをジャケットやショルダーバッグに装填して移動が可能なものができており、輸液を行いながらの就労も可能となってきました。① 高熱環境の職場、肉体労働主体の職場などでは発汗量も多いことから、電解質バランスの異常や脱水状態をきたしやすくなるので、職場としては不適当です。② 中心静脈栄養法は厳重な医療監視下で行われるべき方法であり、定期的な医療機関の受診は欠かせませんので、定期的通院に配慮が必要です。(佐久間 肇)⑵ 中心静脈栄養法① 上腸管膜血管閉塞症腸管膜動脈の血栓症・塞栓症により腸管壁の壊死を起こします。上腸管膜動脈に多く、この場合、病変は小腸から右結腸に及びます。突然の腹痛、腹部膨満、嘔吐、吐血、下血などの症状が出ます。腹膜炎を起こすと予後が悪くなるので、外科的処置(腸管切除)が急がれます。② 外   傷事故による腹部の強い打撲や刃物による刺傷などにより、腸管の切除が必要となることがあります。③ 先天性小腸閉鎖症先天的に小腸の内腔に閉塞を認めるもので、早期に腸切除を要します。従来、輸液といえば水分・電解質❶の補給が主体でしたが、現在では、病態により栄養補給の意味づけを強くした輸液が可能となりました。末梢静脈からでも、適当な輸液剤と脂肪乳剤を併用すると1,300kcal程度の投与が可能とされます。しかし、末梢静脈からの輸液は血栓性静脈炎❷の発生が高率であり、長期の栄養管理には適しません。そこで行われるのが、中心静脈栄養法です。これ⑶ 雇用上の注意

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