令和4年度障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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◇ 知的障害者の雇用事例(製造業)158一般の従業員と同様に、知的障害者の場合も昇進や昇格といったキャリアアップが大きな自信となり、それを契機に人間的に成長していきます。与えられた職務が問題なくこなせて、安心して任せられるようになったら、職務上の役割やポストを与えていくようにします。例えば、新たに雇用された知的障害者の指導担当に当たらせることが、責任感を養い、社員としての意識を高めることになります。また、キャリアアップを果たした身近な人の存在が、他の知的障害者の目標やモデルとなり、意欲的に仕事に取り組むきっかけになります。企業がこうしたキャリアアップを積極的に考えることは、人材育成に加えて、知的障害者の職場定着を高めることになり、さらには、企業全体の活性化につながる効果が期待されます。特別支援学校から新卒者2人を採用したものの、これまで障害のない社員が行ってきた「作業説明を聞いて記憶し、取り組む」方法では複雑で理解に時間がかかる、結果の良し悪しの判断が難しいという課題があった。そこで写真入りの作業手順書を作成したほか、梱包する部品の取り間違いを防ぐバーコード照合の導入や異常をすぐに報告できる呼び出しベルの設置など「誰でも簡単にできる化」を進めたところ、作業は上達し、品質の安定につながった。(川村 宣輝)【参考文献】1)内閣府:「令和3年版 障害者白書」2)厚生労働省:「平成30年度障害者雇用実態調査」3)厚生労働省:「令和3年障害者雇用状況の集計結果」4)厚生労働省:「平成28年生活のしづらさなどに関する調査」5)厚生労働省:「令和2年度 障害者の職業紹介状況等」6)独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構:「知的障害者の職場定着推進マニュアル(改訂版)」(2015)7)社団法人日本知的障害者福祉連盟:「就労支援担当者の業務マニュアルQ&A」(2002)8)独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構:「障害者の就業状況等に関する調査研究」(2017)9)独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構:「多様化する特例子会社の経営・雇用管理の現状及び課題の把握・分析に関する調査」(2012)~障害者雇用職場改善好事例の入賞事例から~⑶ 雇用後のキャリアアップ

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