令和4年度障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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1障害者に対する差別の禁止・合理的配慮の提供義務2障害者に対する差別の禁止4第212平成18年12月に採択された障害者の権利に関する条約(以下「障害者権利条約」)について、日本は平成19年9月に署名しており、①あらゆる形態の雇用に係るすべての事項に関する差別の禁止、②職場において合理的配慮が提供されることの確保等のために適当な措置をとるべきこと等を規定する同条約に対応するため、国内法制の整備を進める必要がありました。そのため、平成25年6月に障害者雇用促進法の一部全ての事業主は労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければなりません。また、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別取扱いをしてはならないとされています。(法第34条、第35条)指針では、このような障害者に対する差別の禁止に関し、事業主が適切に対処することができるよう、禁止される措置として具体的に明らかにする必要があると認められるものについて定めています。ここで禁止される差別は、障害者であることを理由とする差別(直接差別をいい、車いす、補助犬その他の支援器具等の利用、介助者の付添い等の社会的不利を補う手段の利用等を理由とする不当な不利益取扱いを含む。)とされています。また、障害者に対する差別を防止するという観点を踏まえ、障害者も共に働く一人の労働者であるとの認識の下、事業主や同じ職場で働く者が障害の特性に関する正しい知識の取得や理解を深めることも重要とされています。を改正する法律(以下「改正障害者雇用促進法」)が成立し、雇用の分野における障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供義務等が規定され、その後、差別の禁止等の具体的な内容を規定する「障害者差別禁止指針」及び「合理的配慮指針」が平成27年3月に策定・公布され、平成28年4月から施行されています(資料編第4節及び第5節参照)。指針では、「募集・採用」、「賃金」、「配置」、「昇進」、「降格」、「教育訓練」、「福利厚生」、「職種の変更」、「雇用形態の変更」、「退職の勧奨」、「定年」、「解雇」、「労働契約の更新」の各項目に沿って禁止される差別が整理されています。これらの項目について、障害者であることを理由に、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは差別に該当し、禁止されます。例えば、募集・採用時の差別の例としては、次のイからハが考えられます。① 障害者であることを理由として、障害者を募集又は採用の対象から排除すること。② 募集又は採用に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。③ 採用の基準を満たす者の中から障害者でない者を優先して採用すること。ただし、次に掲げる措置を講ずることは、障害者を理由とする差別に該当しません。・積極的差別是正措置として、障害者でない者と比較して障害者を有利に取り扱うこと。・合理的配慮を提供し、労働能力などを適正に評価した結果として異なる取扱いを行うこと。⑴ 基本的な考え方⑵ 差別の禁止節障害者に対する差別の禁止・合理的配慮の提供義務

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