令和4年度障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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労働者」に限定されていますが、「常時雇用する労働者」とは、雇用契約の形式のいかんを問わず、事実上期間の定めなく雇用されているすべての労働者をいい、実態的に判断されるべきものです。具体的には、次のような労働者をいいます。① 期間の定めなく雇用される労働者。② 一定の期間(例えば、1ヶ月、6ヶ月等)を定めて雇用されている労働者であって、事実上期間の定めのない労働者と同様の実態にあると認められる労働者。すなわち、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている労働者又は雇入れのときから1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる労働者。③ 日々雇用される労働者であって、雇用契約が日々更新されて事実上期間の定めのない労働者と同様の実態にあると認められる労働者。すなわち、②の場合と同様に、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている労働者又は雇入れのときから1年を超えて雇用されると見込まれる労働者。① 趣   旨すべての事業主が、平等に対象障害者を雇用するという社会連帯の理念からすれば、個々の事業主が雇用すべき対象障害者の数は、その事業主が雇用するすべての労働者の数に障害者雇用率を乗じて算定すべきものと考えられます。しかしながら、職務によっては、対象障害者が就業することが困難であり、一律に雇用率を適用するのが不適当だと考えられた職種もありました。このため、対象障害者の就業が一般的に困難であると認められる職種が相当の割合を占める業種ごとにあらかじめ除外率を定め、雇用しなければならない法定雇用障害者数を算定する際の基礎となる常用労働者数の算定に当たっては、この除外率に相当する労働者数を控除することとされています。なお、この除外率制度については、除外率の設定された業種に障害者は全く就くことができないという印象を与えるなど、ノーマライゼーションの理念から見て適切ではなくなってきたことや、技術革新、職場環境の整備等が進む中、これまで障害者にとって就職困難と考えられていた職種においても就業可能性が高まっていること等問題点が指摘されてきました。このため、除外率制度については平成16219⑷ 除外率制度年4月1日から暫定的な措置として位置付けられるとともに、各業種の除外率は、一律10%ポイント引き下げられ、廃止に向けて段階的に縮小していくこととされました。平成22年7月から、さらに全業種一律10%ポイント引き下げられました。② 除外率設定業種及び除外率除外率設定業種及び除外率は、表1のとおりです。③ 除外率の適用除外率の適用は、次のとおりです。ア 除外率は事業所を単位として適用されます。イ 事業所とは、本店、支店、工場、鉱山、事務所などのように、一つの経営組織として独立性をもったもの、つまり、一定の場所において一定の組織のもとに有機的に相関連して一体的な経営活動が行われる施設、又は場所をいいます。 … したがって、同一場所にあるものは原則として分割することなく一つの事業所とし、場所的に分離されているものは原則として別個の事業所として取り扱うことになります。一つの事業所として取り扱うべきか否かは、通常次の見地から判断するものです。ア 場所的に他の事業所から独立しているかどうか。イ 組織的に一つの単位体をなし、経理、人事もしくは経営(業務)上の指揮監督又は作業工程において独立性があるかどうか。ウ 施設として相当期間継続性を有するかどうか。ただし、場所的に分散しているものであっても、出張所、支所などで規模が小さく、その上部機関との組織的関連ないし事務能力からみて一つの事業所という程度の独立性がないものについては、直近上位の組織に包括して全体を一つの事業所として取り扱うこととされています。④ 事業所の業種事業所の業種については、その事業所において行われている主な事業によって判定します。一つの事業所において2以上の業種にわたる事業が行われている場合には、従事する労働者が最も多い事業により判定し、この方法によっても判定することが困難な場合は、過去1年間の総収入額又は総販売額の最も多い事業により判定します。

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