令和4年度障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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表1 職場の環境に関する条件建築・作業空間、温度・湿度・騒音・照明・振動・換気、危険性、姿勢・動作を規制する機器・道具の構造など。製品・サービス・情報の生産に必要な機器や道具、その操作技能、ノウハウ情報。感覚・判断・識別能力、知識と技能、例外処理の仕方、注意の対象と程度、作業方法、作業分担などの条件。職業的な目的を達成するために意図的で計画的に設けられたフォーマルな地位と役割の体系。成員の役割行動を規定する。境とは異なる情緒的な人間関係を規定する。経済的な報酬。賃金水準や支給の安定性などの条件。表2 地域生活と職業生活環境に関する条件障害特性に適合した構造、専用住宅地域の店舗、地理適切な支援、擁護できる状況職場を離れた余暇の過ごし方福祉や年金制度の知識、活用の仕方援助機関の種類や内容、人的資源の状況地域住民や雇用主の障害者への態度や理解障害者就業・生活支援センター・就労移行支援事業所・就労継続支援事業所等の実情職場選択圏内の事業所内容や就職可能な職種技術革新の動向や新しくできる職種在宅就労やフレックスタイム制第2節 障害のとらえ方このことは、職場で不適応となって退職する原因の多くは、職務の適合にかかわる能力よりも、職業人としての基本的な要件が未熟なことからも明らかです。それゆえ、「職業準備行動」や「社会生活の遂行」にかかわる条件は、学校教育での職業指導や進路学習を通して、仕事に就く前に企業以外の場で確立されていることが望まれます。そうした、学校から職場への円滑な「移行」を進めることが重要でしょう。また、仕事に就いた後もこれらが十分でない場合には、初期訓練の重要な課題となったり、職場に適応するための支援の内容ともなります。それゆえ、図4に示すように、社会生活や地域生活の維持を支える支援と、職場での生産活動を支える支援が一体的にまた継続的に行われることが非常に大切になります。前述の概念モデルで指摘したように、職場の集団や領域と項目1.物理環境2.技術環境3.組織環境4.心理社会環境組織内の成員間の心理的な結合関係と、その職業に対する社会的な価値観や規範。組織環5.経済環境6.職場外環境職業的な活動以外の様々な役割遂行に許容される時間。領域と項目地域生活環境1.住宅事情2.地域生活の状況3.家族等の状況4.余暇生活の状況5.福祉制度の利用6.支援体制の状況7.社会の態度と理解職業生活環境1.各種施設の状況2.産業雇用の状況3.技術環境の変化4.勤務形態の変化環境に対する「資源の開発」は、障害のある人の雇用を進めるうえで、重要な課題です。そうした、環境要件は、「職場の環境」と「地域生活や職業生活に関する環境」の二つの側面からとらえることができます。職場は、一般的には、表1にある様々な環境で構成されています。こうした広い視点でとらえることによって、個人の特性を考慮した環境の調整や修正が可能になります。また、仕事に就いてそれを継続するには、職場を離れた地域生活の維持が必要です。そうした職場以外の環境には、表2のものが含まれます。特に、地域生活に関する要件は、職場で働き続けることへの影響が大きいといえます。ですから、障害者を雇用する場合には、個人の生活状況についての周辺情報として知っておくことが必要でしょう。内          容内          容23⑵ 環境特性の把握

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