令和4年度障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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職場への定着を図る。また、法に基づき企業が選任することとされている、障害者の雇用の促進及びその雇用の継続のための諸条件の整備を図る等の業務を行う障害者雇用推進者や、障害者の職業生活に関する相談及び指導を行う障害者職業生活相談員について、雇用する労働者の中からその業務に適した者を選任し、障害者就業・生活支援センターと連携しつつ、生活面も含めた相談支援を図る。これらに加え、社内での配置も含め職場適応援助者(ジョブコーチ)を活用することや障害者が働いている職場内において関係者によるチームを設置すること等により、障害者の職場定着の推進を図る。(6) 障害及び障害者についての職場全体での理解の促進障害者が職場に適応し、その有する能力を最大限に発揮することができるよう、職場内の意識啓発を通じ、事業主自身はもとより職場全体の、障害及び障害者についての理解や認識を深める。特に精神障害及び発達障害について、各都道府県労働局が開催する「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」の出前講座を活用するなどにより職場内全体の理解の促進を図る。(7) 障害者の人権の擁護、障害者差別禁止及び合理的配慮の提供障害者虐待防止法に基づき、事業主は障害者虐待の防止等を図る。また、障害者差別及び合理的配慮の提供についての問題が生じており、企業内での自主的な解決が困難な場合には、その問題解決及び再発防止のために、都道府県労働局長による紛争解決援助や障害者雇用調停会議による調停を活用する。2 障害の種類別の配慮事項(1) 身体障害者身体障害者については、障害の種類及び程度が多岐にわたることを踏まえ、職場環境の改善を中心として以下の事項に配慮する。なお、イからハまでに関して、「身体障害者補助犬法」(平成14年法律第49号)に基づき、常用労働者を45. 5人(一般事業主の法定雇用率が2.3%となった際は43.5人)以上雇用している事業主並びにその特例子会社及び関係会社は、その事業所に勤務する身体障害者が身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬及び聴導犬をいう。)を使用することを拒んではならないこととされ、また、その他の事業主についても拒まないよう努めることとされており、同法に基づき適切に対応する。イ 視覚障害者については、通勤や職場内における移動ができるだけ容易になるよう配慮する。また、視覚障害者の約63%を重度障害者が占めることを踏まえ、個々の視覚障害者に応じた職務の設計、職域の開発を行うとともに、必要に応じて、照明や就労支援機器等施設・設備の整備や、援助者の配置等職場における援助体制の整備を図る。ロ 聴覚・言語障害者については、個々の聴覚・言語障害者に応じて職務の設計を行うとともに、光、振動、文字等、視覚等による情報伝達の設備の整備や、手話のできる同僚等の育成を図ること等により職場内における情報の伝達や意思の疎通を容易にする手段の整備を図る。そのほか、会議、教育訓練等において情報が得られるよう、手話通訳者や要約筆記者の配置等職場における援助体制の整備を図る。ハ 肢体不自由者については、通勤や職場内における移動ができるだけ容易になるよう配慮するとともに、職務内容、勤務条件等が過重なものとならないよう留意する。また、障害による影響を補完する設備等の整備を図る。ニ 心臓機能障害者、腎臓機能障害者等のいわゆる内部障害者については、職務内容、勤務条件等が身体的に過重なものとならないよう配慮するとともに、必要に応じて、医療機関とも連携しつつ職場における健康管理のための体制の整備を図る。ホ 重度身体障害者については、職務遂行能力にさらに、実態として、あん摩・はり・きゅうといったいわゆる「あはき業」における就労に占める割合が大きい中で、ヘルスキーパー(企業内理療師)や特別養護老人ホーム、通所介護事業所、短期入所生活介護事業所等における機能訓練指導員としての雇用等、職場の拡大に努める。また、ICT等の技術革新の進展状況も踏まえ、職域の更なる拡大にも努める。第3節 障害者雇用対策基本方針271

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