令和4年度障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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配慮した職務の設計を行うとともに、就労支援機器の導入等作業を容易にする設備・工具等の整備を図る。また、必要に応じて、援助者の配置等職場における援助体制を整備する。さらに、勤務形態、勤務場所等にも配慮する。ヘ 中途障害者(在職中に疾病・事故等により障害者となった者をいう。以下同じ。)については、必要に応じて休職期間、研修期間等を確保した上、円滑な職場復帰を図るため、全盲を含む視覚障害者に対するロービジョンケアの実施等、パソコンやOA機器等の技能習得を図るとともに、必要に応じて医療、福祉等の関係機関とも連携しつつ、地域障害者職業センター等を活用した雇用継続のための職業リハビリテーションの実施、援助者の配置等の条件整備を計画的に進める。また、職場における就業上の困難性の把握及び支援が、その後の職業生活において重要であるため、職場において、産業医、医療機関等との連携体制を構築しながら、メンタルヘルス対策、健康診断等による障害の早期把握、必要な職業訓練、職務の再設計等の取組を行うことが重要である。(2) 知的障害者知的障害者については、複雑な作業内容や抽象的・婉曲な表現を理解することが困難な場合があること、言葉により意思表示をすることが困難な場合があること等と同時に、十分な訓練・指導を受けることにより、障害のない人と同様に働くことができることを踏まえ、障害者本人への指導及び援助を中心として以下の事項に配慮する。イ 作業工程の単純化、単純作業の抽出等による職域開発を行う。また、施設・設備の表示を平易なものに改善するとともに、作業設備の操作方法を容易にする。ロ 必要事項の伝達に当たっては、分かりやすい言葉遣いや表現を用いるよう心がける。ハ 日常的な相談の実施により心身の状態を把握するとともに、雇用の継続のためには家族等の生活支援に関わる者の協力が重要であることから、連絡体制を確立する。ニ 重度知的障害者については、生活面での配慮も必要とされることを考慮しつつ、職場への適応や職務の遂行が円滑にできるよう、必要な指導及び援助を行う者を配置する。ホ 十分な指導と訓練を重ねることにより、障害のない人と同様に働くことができることを考慮し、知的障害者の職業能力の向上に配慮する。また、近年では、製造業のみならず、サービス業や卸売・小売業等、知的障害者が従事する業種が拡大していることを踏まえ、知的障害者の特性や能力に応じた就業が可能となるよう、職域の拡大を図る。(3) 精神障害者イ 本人の状況を踏まえた根気強く分かりやすい指導を行うとともに、ある程度時間をかけて職務内容や配置を決定する。ロ 職務の難度を段階的に引き上げる、短時間労働から始めて勤務時間を段階的に延長する、本人の状況に応じ職務内容を軽減する等必要に応じ勤務の弾力化を図る。特に、当初は長時間の勤務が困難な精神障害者については、採用に当たり本人の適性や状況を見極めた上で職務内容や勤務時間を決定し、採用後は常用雇用に移行できるよう、勤務時間を段階的に引き上げながら円滑に職場に定着できるよう配慮する。ハ 日常的に心身の状態を確認するとともに、職場での円満な人間関係が保てるよう配慮する。また、通院時間、服薬管理等の便宜を図る。ニ 職場への適応、職務の遂行が円滑にできるよう、必要な指導及び援助を行う者を配置するとともに、必要に応じて職場適応援助者(ジョブコーチ)の活用も図る。ホ 企業に採用された後に精神疾患を有するに至った者については、企業内の障害者職業生活相談員や産業医等による相談・指導・援助のほか、地域障害者職業センターによる職場復帰支援(リワーク支援)、産業保健推進センターや精神障害者については、臨機応変な判断や新しい環境への適応が苦手である、疲れやすい、緊張しやすい、精神症状の変動により作業効率に波がみられることがある等の特徴が指摘されていることに加え、障害の程度、職業能力等の個人差が大きいことを踏まえ、労働条件の配慮や障害者本人への相談・指導・援助を中心として以下の事項に配慮する。272

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