令和4年度障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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2賃金の管理70受取りに来ることがあるようですが、代理人に支払うことはできません。あくまで本人に支払わなければなりません。 勤務先預金として会社が預かっている場合も、本人以外へ払い出すことはできません。 障害者、試用期間中の者等一般の労働者と労働能力等が異なるため、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭める可能性がある労働者については、最低賃金の減額の特例が認められます。減額の特例許可を必要とする理由、障害についての障害者手帳等客観的な資料、支払おうとする賃金(特例許可を受けようとする減額率)等を記載した申請書を都道府県労働局長へ提出して許可を得ることが出来ます(所轄の労働基準監督署に相談)。 傷病のチェックや人工透析等で通院するための遅刻・早退、就業中の外出の場合の取扱いは、一般ルールとして「就業規則」で定めておくことが望ましいでしょう。 全労働者が同じ取扱いとなるのが公平な考え方です。例えば、ノーワーク・ノーペイを原則とするならば、全従業員を同じ取扱いとします。 障害者への配慮は、一般労働者とのバランスを考えて決めてください。 就業規則等で休暇を定め、それぞれの休暇について有給か無給かを定めなければなりません。 なお、産前産後の休暇や、私傷病の休業が無給の場合、それぞれ健康保険の「出産手当金」や「傷病手当金」の給付を請求することができます。また、支給される賃金が「出産手当金」や「傷病手当金」に満たない場合は、差額が支給されますので請求することができます。 賃金体系は、企業ごとに定められるものであり、一概にどの体系がよいとは言えませんが、例えば職務評価に基づく職務給を導入する場合も本人の年齢や勤続年数等を考慮した本人給と併用した形の給与(賃金)体系が考えられます。 ただし、職務給は知識、熟練、努力、責任等その職務の困難度や重要度を評価要素として、職務の相対的価値を評価し、その価値に応じて定められる賃金であるため、職務が変わらない場合の昇給については、本人給部分で行うことになると考えられます。平成28年4月から雇用する障害者に対する障害を理由とする差別や権利・利益を侵害する行為が禁止されました。障害のあるなしで異なる賃金体系を作ることは認められません。また職務の内容で賃金が異なることは認められます。 最低賃金には地域別最低賃金と産業別最低賃金があります。一人の労働者について二つ以上の最低賃金がある場合は、高いものが適用されます。 産業別最低賃金が適用される労働者に地域別最低賃金を下回る賃金を支払った場合は、違反となり最大50万円の罰金が定められ、産業別最低賃金を下回る賃金を支払った場合には、最大30万円の罰金を科せられることとなりますのでご注意下さい。 なお、最低賃金は時間額で定められていますので、日給や月給の場合は所定労働時間で除して比較してください。 また、一部の例外を除き、どんな職務であろうとも、最低賃金額を下回らないようにすることが必要です。 ⑵ 賃金支払いの原則 障害者に対する賃金の支払いは、一般労働者の場合と変わりありません。①通貨で、②全額を、③毎月1回以上、④一定期日に、⑤直接本人に支払う、この5原則は守らなくてはなりません。 知的障害者の場合、親など保護者が本人に代わって⑴ 賃金体系と最低賃金⑶ 最低賃金の減額の特例許可申請⑷ 就業しなかった時間と賃金⑸ 休暇と賃金

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