令和4年度障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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4障害者の所得保障第5節 賃金・労働時間等の条件 企業において雇用する障害者から年金の相談を受けるときに予想されるケースは、単に申請方法がわからない場合や相談者が自分の年金を受けることができるかどうか分からない場合、さらには働き始めて給与所得が生じることにより年金額との調整が発生するかどうかなど、多岐に渡ることが予想されます。年金は一人ひとりの状況が異なります。また、本人の思い違いということもあり、話の内容と現実が異なっており受給できない場合もありますので、年金の専門家でない 障害者に対して公的年金制度により支給される給付には、次の3種類があります。① 障害基礎年金② 障害厚生年金③ 障害手当金(一時金) 障害の認定日は、初診日(障害の原因となる傷病について初めて医師等の診療を受けた日)から1年6ヶ月経った日ですが、症状が固定されていればそれ以前でも障害認定日となります。また、障害認定日に症状が軽い場合であっても、その後に症状が重症化した場合は、本人の請求があればその時点で認定されます。認定の基準は障害者手帳による基準ではなく、国民年金法及び厚生年金保険法による基準です。従って、障害者手帳1級だからといって障害等級上1級とは限りません。① 障害基礎年金  1級と2級に分かれており、その額は次のとおりです。(令和4年4月改定)  1級 972,250円…2級の1.25倍  2級 777,800円障害者職業生活相談員が「年金をもらえます・もらえません」など断定的な判断をすることは避けなければなりません。年金の相談は日本年金機構の年金事務所・街角の年金相談センターが受け付けていますので、まずは「ねんきんダイヤル」で相談するようご案内することをお勧めします。また、以下に「障害年金制度の概略」を記載しますので相談を受けた際のご参考にしてください。  生計を維持している子(18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子または20歳未満で障害等級1級または2級の障害の状態にある子)がいれば、人数により子の加算がつきます。(次頁図1参照)  また、20歳に達するまでに障害が生じた場合も20歳(障害認定日が20歳以降のときは、障害認定日)から障害基礎年金は支給されますが、所得制限の要件があります。(表1)② 障害厚生年金  厚生年金加入期間中(つまり入社後)に初診日がある障害で1級または2級に認定された場合、障害基礎年金に加算して支給されるものです。3級の障害年金は、厚生年金独自の給付です。支給額は、認定日までの報酬比例年金額として計算されますが、加入期間をそのまま計算すると支給額が少額となってしまうので300月(25年)未満の場合は300月とみなして計算されます。1級の場合の年金額は、2級の場合の1.25倍となります。3級は2級と同額ですが、最低保証があります。  また、1級と2級で生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合(年収制限あり)、加給年73⑴ 障害年金

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