令和4年度障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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78が指定する障害別指定医の診断を受け、その診断書と写真を添付して、市区町村の福祉窓口へ交付申請を行います。  精神障害者の場合、精神保健指定医、他の精神科医等の診断書(初診日から6ヶ月経過した後に診断を受けたもの)と写真を添付して、市区町村の精神保健福祉担当窓口へ交付申請書を提出します。手帳の交付申請は原則として本人が本人の意思で行います。  身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳を持つことは、国や地方公共団体の支援を受ける条件になります。身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳の交付を受けるときには、市区町村独自の支援サービス、地域での生活支援サービスについての情報も得ておくようアドバイスします。《相談窓口:居住地市区町村 福祉事務所》  また、障害基礎年金、障害厚生年金の申請について、年金事務所・年金相談センターに相談するようにアドバイスすることも望まれます。  本人が身体障害者手帳又は精神障害者保健福祉手帳の交付を受けたことを企業が把握した場合は、人事担当者は、企業が障害者雇用率制度等の適用を受けるために手帳の写しを提出して欲しい旨を依頼し、事務所で保管します。この際、利用の目的と範囲を明らかにして本人の意に反したものにならないよう十分に配慮することが必要です。  併せて、障害の状態に変更のない限り毎年度利用すること、有効期限、障害の程度等に変更がないか確認することがあること等、変更のあったときの届出方法も説明しておくとよいでしょう。  厚生労働省が策定した「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」(資料編第6節参照)を参考としてください。《相談窓口:ハローワーク》 中途障害の場合、本人の得意とする分野や、今までのキャリアを参考として、本人の意向や希望を考慮して新たな担当業務を決めて試してみます。障害の特性や程度に見合った業務であるかどうかは実際にやってみなければわからないことも多いので、少なくとも複数の業務に就けてみます。新業務を決められない場合や障害特性を踏まえた職務の再設計をする場合には、障害の特性や適応業務について数多くの事例を持ち、障害者雇用支援の専門家である障害者職業カウンセラーが配置されている地域障害者職業センターに相談し、助言を得るとよいでしょう。 地域障害者職業センターは各都道府県にあり、ハローワークと連携して障害者向け及び事業所向け相談や支援を行っています。例えば、復帰に向けた職業リハビリテーション計画を障害者自身が主体的に立てることができるよう復職前から支援を行うほか、事業所に対して、作業を容易にするための施設・設備はどのようなものか、通勤や職場での介助が必要かどうか等について助言を行っています。 1~3ヶ月の慣らし期間を経たあと、関係者で協議し、配属部署と復職後の職務、役職(役割)、妥当な賃金を決め、本人と話し合います。 職務内容が大きく変わる場合や新しい職務につく場合には、徐々にレベルアップする等の配慮も必要です。また、賃金の見直しが必要となる場合もあります。 環境整備には助成金の活用も考慮して雇用継続の方向で検討します。 そのほか、障害の種類や程度、具体的な支援方法、通勤、通院への配慮事項についても本人と相談し、確認しておくとよいでしょう。 復職に先立ち、通勤のリハビリテーションを始めます。必要に応じてラッシュ時を避け通常どおりの通勤経路で支障が無いか、予定している勤務時間での通勤が可能かどうかを確認します。長い療養生活から復帰する場合は、最初は苦痛も伴い、疲れることもありますが、徐々に慣れて体力にも自信がついてきます。 通勤を容易にするために、会社側の対応が必要となるケースもあります。例えば、車いす使用の障害者等下肢障害者に自家用車通勤を認めるときは、平面駐車場で、駐車場スペースは通常の1.5倍の幅が必要です。事業所の駐車場が使えるか、事業場の入口までの通路、スロープ等の改善、エレベータの設置、トイレの改造等も検討します。車いす使用者は自家用車の乗降に時間を要することも多いので、降雪地帯では屋根付き駐車場の整備が望まれます。 いずれの場合も「…だろう」と決めつけず、本人に確認しながら計画し、助成金の対象となるかどうかも併せて検討します。⑷ 職業リハビリテーションサービス⑸ 職務・役職・賃金の検討⑹ 勤務時間・通勤方法の配慮・在宅勤務

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