令和4年度障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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⑵ 障害者の解雇と報告義務2退   職第6節 継続雇用・退職 通常の出勤時間帯の通勤が困難な場合は、フレックスタイム、出勤時間の繰り上げ繰り下げ、勤務時間のスライド等で対応します。一般従業員への対応も含めて就業規則に規定しておくとよいでしょう。 必要な場合は、短時間勤務のほか在宅勤務も併せて検討します(本章第5節3の(2)⑤在宅勤務者の項参照)。 職業生活を円滑に遂行できるかどうかは、日常生活における家族の支援、公共施設や交通機関のバリアフリー等環境の整備状況が重要な要素になりますが、職場における障害に対する理解等、障害者を支援する人的体制が整っているかどうかが、本人の新たな生活への再出発時の意欲や職務遂行を大きく左右します。 職場内に障害者職業生活相談員や障害者職場定着推進チーム等が設置されている場合には、障害についての理解促進、啓発の中心として活躍が期待されます。 障害についての具体的な知識と配慮方法等の情報は、職場の上司はもちろん同僚にもあらかじめ提供し、理解と協力を求めておくことが必要でしょう。 復職にあたって社員研修を実施するなど職場内での従業員に対する理解促進、啓発が必要になった場合等は、中央障害者雇用情報センターや地域障害者職業センターにご相談ください。 本人の都合による退職の場合、時として表に出ない問題が隠れていることがあります。特に障害者については、本当の理由を把握し、職場の改善等に活かしていくことが大事です。・……仕事が難しい、教えてくれない、忙しすぎる、自分の時間がない・……職場の人間関係で悩んでいる、一人前として認めてくれない・…通勤に時間がかかりすぎる・家族のサポートが得られなくなった等が考えられないでしょうか。 職場にふだんから何でも言える雰囲気をつくり、「業務日誌」「連絡帳」「自己申告制度」等により本人の希望や仕事上の要望、必要な配慮事項、家庭の事情 高齢・障害・求職者雇用支援機構では、中央障害者雇用情報センターに障害者雇用支援ネットワークコーディネーターを配置し、事業主に対する障害者雇用についての相談、社員研修の企画実施、登録された障害者雇用管理サポーターの推薦・派遣、各種情報提供のほか、就労支援機器等の展示・貸出等を行っています。 就労支援機器については、障害別に様々なものが用意されており、無料貸出制度を利用することにより、適合するかどうか事前に使ってみてから購入につなげることができます。《相談窓口:高齢・障害・求職者雇用支援機構雇用開発推進部中央障害者雇用情報センター》 メンタルヘルス不調により休業した労働者の職場復帰支援については、厚生労働省が作成した「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(平成31年3月改訂)」が支援方法について詳しく解説されており、参考になります。ホームページでも公開されていますので、支援にご活用ください。 また、地域障害者職業センターでは、うつ病等の精神障害により休職している方や、その方の復職を考えている事業主に対して、主治医等と連携し円滑な職場復帰に向けた支援(リワーク支援)を行っています。等を把握し、事業主として対応が可能なものにはあらかじめ対処しておくとよいでしょう。 なお、平成28年4月から、障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための合理的配慮の提供が義務づけられるとともに、障害者からの相談に適切に対応するための相談体制の整備が義務づけられていますのでご留意ください。 障害者を事業主都合で解雇する場合は、「障害者解雇届」をハローワークへ届け出なければなりません(障害者の雇用の促進等に関する法律第81条(解雇の届出等))。 自己都合による退職や、本人の責めに帰すべき事由による解雇は除かれていますが、再就職先の選定や代わりの障害者の求人を必要とする場合もあり、できる79⑺ 職場への啓発・理解⑴ 自己都合退職⑻ 心の健康問題により休業した者の職場復帰支援

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