令和4年度障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
89/360

88するまで静かな場所で静養させます。まれに、発作が10分以上続いたり意識が戻る前に次の発作が起こったりすることがありますが(てんかん重積状態)、その時だけは直ちに受診させる必要があります。それ以外の通常の発作のみであれば、後日、本人から主治医に報告させるだけで構いません。発達障害者支援法では、「発達障害」を、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものと定義し、さらに「発達障害者」とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいうとしています。職場での健康と安全上の課題としては、自信や意欲の低下、孤立などがあり、家族や主治医、カウンセラーなどと連携しながら対応します。全国に設置されている発達障害者支援センターに相談することも出来ます。難病とは、発病の機構が明らかでなく治療方法が確立していない希少な疾病であって長期の療養を必要とするものとされています。「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」に基づく医療費助成の対象となる指定難病は、令和3年11月現在で338疾病あります。一方、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」では、発病の機構が不明であることと希少であることを難病の要件から除外し、366疾病を支援の対象としています。このように難病とされる疾患は非常に多岐にわたるので、当然、職場での健康と安全に関わる課題は、疾患によってさまざまです。難病と言うと治療が難しい重篤な病気というイメージが先に立ちますが、難病の中にも、根本的な治療は難しいものの適切な医学的管理によって就労が可能となる疾患が多く含まれています。難病のある人で就労を希望する人は、主治医から自己管理についての指導を受け、就労についての許可も得ています。事業者側としてはあくまでも「慢性疾患のある働く人」として認識し、「労働衛生3管理(健康管理、作業管理、作業環境管理)」を円滑に実行し、健康と安全に配慮しながら受け入れればよいのです。その場合、難病は稀な疾患なので、事業者側としてもその疾患の特性の理解に努め、必要に応じて主治医や産業医、保健師、本人を交えて十分な協議を行い、作業内容や作業環境を検討する必要があります。主治医とは連絡を密にとって適切な治療管理を行うことにより、就労が継続できるように配慮します。難病のある人の多くは、体力や耐性が低下しているため、休憩の取り方などにも工夫が必要です。難病のある人は、他の障害者と同じように職場での心理的ストレスを感じるばかりでなく、常に疾患の増悪に対する不安も抱えているので、メンタルヘルスケアは欠かせません。難病は長期におよぶ治療や経過観察が必要なので、定期的に専門医を受診できるように時間的配慮が必要です。公益財団法人難病医学研究財団のホームページや全国に設置されている難病相談・支援センターなどを利用して、正しい知識を得るように努めます。(飯島 節)Q&A【問】病歴や障害に関する情報は、要配慮個人情報に該当する。(解答と解説はP347に記載しています)⑺ 発達障害者の健康と安全(第3章第7節参照)⑻ 難病のある人の健康と安全(第3章第8節参照)

元のページ  ../index.html#89

このブックを見る