令和6年度版障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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ニケーションで大きな影響力を持っているのは、言語の内容以上に、言語的コミュニケーションに加えて、非言語的コミュニケーションの影響が大きいことが示されています。つまり、カウンセリングを行う上で相談員にとってもクライエントにとっても、言語的な内容に加え、表情や口調、さらには身振り・手振りといった身体的表現が重要な要素であることが指摘できるでしょう(Q&A【問9】(P118)にチャレンジ)。③ 相談員自身の思考・感情・行動の癖を把握しておそれでは、具体的にはどのように相談をするとよいのでしょうか。相談には、相談室など相談専用のスペースで相談を行う場合と、たまたま会社内等で出会ったときに「最近どう?」などと会話を交わす中で相談的な内容に進む場合とがあります。ここでは前者の場合を想定して、その具体的な技術や留意点を示していきます。① 物理的環境設定相談は人間と人間との関係性の中で行われるもので55%図4 各コミュニケーション方法の影響力(メラビアンの法則)110く(自己覚知)相談を行うにあたって、相談員自身の考え方や行動の癖についても、自覚していく必要があるでしょう。たとえば、「女性というものは・・・」「この位の年齢の人は・・・」「○○障害の人は・・・」といったステレオタイプ的な観念は持っていないでしょうか?また、自らのこれまでの人生上の経験から(例:自分の⑷ 具体的技術生まれ育った家族内での父親との葛藤)、類似した状況にある相手に対し、特に肩入れをしてしまったり、逆に反感を抱いてしまう、ということはないでしょうか。もちろん、こうしたステレオタイプ的な観念や無意識から湧き上がる感情を完全になくすことは難しいでしょう。それでも、相談においてこのような観念を無自覚のまま抱いていることで、クライエントとの関係構築がうまくいかなくなる可能性があります。すが、相談員がきちんと対応しさえすれば物理的な環境はどのようなものであってもよい、というわけではありません。まず、秘密が守られるとクライエントが感じられる場所である必要があります。相談専用の部屋があることが望ましいのですが、なかなかそのようなスペースがない場合、パーティションで部屋を区切る、人がいないような時間帯を選んで相談を受ける、といった工夫が必要になります。また、相談の際の座り方を一考する必要があります。まず、相談員とクライエントの物理的な距離の問題です。特に何cm程度にしなければならないという自己覚知とは「援助者が自己の価値観や感情などについて理解しておくこと」であり、「援助者に共通して求められるもの」とされています。普段の自分の発言等行動などを振り返る、周囲の人からフィードバックを得るなどをして、自分自身の考え方や行動の傾向に自覚的であるようにしたいものです。力, 38%声の調子の影響身振りの影響力, 言葉の内容の影響力, 7%

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