令和6年度版障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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⑷ 職業リハビリテーションサービスの活用⑺ 職場への啓発・理解⑹ 勤務時間・通勤方法の配慮・在宅勤務⑸ 職務・役職・賃金の検討124併せて、障害の状態に変更のない限り毎年度利用すること、有効期限、障害の程度等に変更がないか確認することがあること等、変更のあったときの届出方法も説明しておくとよいでしょう。厚生労働省が策定した「プライバシーに配慮した…障害者の把握・確認ガイドライン」(資料編第6節…参照)を参考としてください。《相談窓口:ハローワーク》中途障害の場合、本人の得意とする分野や、今までのキャリアを参考として、本人の意向や希望を考慮して新たな担当業務を決めて試してみます。障害の特性や程度に見合った業務であるかどうかは実際にやってみなければわからないことも多いので、少なくとも複数の業務に就けてみます。中途障害者の場合には、単発の作業遂行については問題なくても、障害の後遺症状等により長時間の作業遂行が難しい場合もありますので、繰り返し作業、終日の作業遂行などで心身に過度の負担が発生していないか等の確認を行うことも望まれます。障害特性を踏まえた職務の再設計をする場合には、地域障害者職業センターに相談し、助言を得るとよいでしょう。一定の慣らし期間を経たあと、関係者で協議し、配属部署と復職後の職務、役職(役割)、妥当な賃金を決め、本人と話し合います。職務内容が大きく変わる場合や新しい職務につく場合には、徐々にレベルアップすることを見込んだ処遇を考慮する等の配慮も望まれます。また、賃金の見直しが必要となる場合もあります。環境整備には職場復帰支援助成金の活用も考慮して雇用継続の方向で検討します。復職に先立ち、通勤のリハビリテーションを始めます。必要に応じてラッシュ時を避ける必要がないか、通常どおりの通勤経路で支障がないか、予定している勤務時間での通勤が可能かどうかを確認します。長い療養生活から復帰する場合は、最初は苦痛も伴い、疲れることもありますが、徐々に慣れて体力にも自信がついてきます。通勤を容易にするために、会社側の対応が必要となるケースもあります。例えば、車いす使用の下肢障害者に自家用車通勤を認めるときは、平面駐車場で、駐車場スペースは通常の1.5倍の幅が必要です。事業所の駐車場が使えるか、事業場の入口までの通路、スロープ等の改善、エレベータの設置、トイレの改造等も検討します。車いす使用者は自家用車の乗降に時間を要することも多く安全性を考慮して、降雪地帯では屋根付き駐車場の整備が望まれます。いずれの場合も「…だろう」と決めつけず、本人に確認しながら計画し、助成金の対象となるかどうかも併せて検討します。通常の出勤時間帯の通勤が困難な場合は、フレックスタイム、出勤時間の繰り上げ繰り下げ、勤務時間のスライド等で対応します。一般従業員への対応も含めて就業規則に規定しておくとよいでしょう。必要な場合は、短時間勤務のほか在宅勤務も併せて検討します。職業生活を円滑に遂行できるかどうかは、日常生活における家族の支援、公共施設や交通機関のバリアフリー等環境の整備状況が重要な要素になりますが、職場における障害に対する理解等、障害者を支援する人的体制が整っているかどうかが、本人の新たな生活への再出発時の意欲や職務遂行を大きく左右します(Q&A【問10】(P125)にチャレンジ)。また、中途障害を負った者が職場で再度頑張っていく姿は他の従業員にとってもよい刺激になり、従業員エンゲージメントを高めることに繋がったという報告も多く寄せられます。職場内に障害者職業生活相談員や障害者職場定着推進チーム等が設置されている場合には、障害についての理解促進、啓発の中心として活躍が期待されます。障害についての具体的な知識と配慮内容や方法等の情報は、職場の上司はもちろん同僚にもあらかじめ提供し、理解と協力を求めておくことが必要でしょう。復職にあたって社員研修を実施するなど職場内での従業員に対する理解促進、啓発が必要になった場合等は、地域障害者職業センターや中央障害者雇用情報センターにご相談ください。(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構では、中央障害者雇用情報センターに障害者雇用支援ネットワークコーディネーターを配置し、事業主に対する障害者雇用についての相談、社員研修の企画実施、登録され

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