令和6年度版障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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7第1発達障害とは第7節 発達障害者6.5%4.0%1.7%183⑴ 学齢期の特別な教育支援の対象者―文部科学省の調査結果から―節近年、“知的発達に顕著な遅れはない”“早期発見と適切な診断を行い、適切な対応と環境調整を行うことにより改善が期待できる”という様々な発達障害に社会の関心が寄せられています。このような障害として、学習障害、注意欠陥多動性障害、広汎性発達障害(高機能自閉症等)などがあげられます。決して新しい障害ではないのですが、病因や病態の理解だけでなく“呼称”も変遷してきた歴史があり、診断基準や治療方法の確立という点では、今後の検討課題が大きい障害であるといえます。平成14年に文部科学省は、このような特性のある子どもたちを「通常学級に在籍している」が「特別支援教育を必要とする」子どもたちと位置づけ、学校教育での支援を開始するという方針を打ち出しました。また、平成19年4月からは、「特別支援教育」を法的に位置づけた改正学校教育法が施行されています。この対象者は、平成17年4月から施行されている発達障害者支援法の対象者と重なってい表1「学習面、各行動面で著しい困難を示す」とされた児童生徒数(小学校・中学校)の割合」(文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について(2022)」を参考に作成)図1「表1のうち令和4年度の児童生徒の困難別分布状況」(文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について(2022)」を参考に作成)A:「聞く」「話す」「読む」「計算する」「推論する」に著しい困難B:「不注意」または「多動性―衝動性」の問題が著しいC:「対人関係やこだわり等」の問題が著しい<小学校・中学校>CかつA:0.9%Aのみ:4.2%AかつBかつC:0.7%Cのみ:0.5%AかつB:2.1%ます。この法では支援体制の整備や専門家の確保などにより、発達支援、保育、教育、就労支援、その他生活支援などを進めていくこととされています。「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」(文部科学省,2022)は、学習面、行動面(「不注意」又は「多動性-衝動性」と「対人関係やこだわり等」)のそれぞれに著しい困難のある児童・生徒について把握した調査です。調査結果は、質問紙に記載されたチェック項目に「該当」した項目数が基準として定めた項目数を上回った場合について集計されています。対象は全国の公立小学校(1〜6年)及び公立中学校(1〜3年)の通常の学級に在籍する児童・生徒と、今回の調査から新たに対象に加わった高等学校平成14年平成24年令和4年4.5%2.5%0.8%4.5%3.1%1.1%BかつC:1.0%Bのみ:1.6%発達障害者

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