……じて情報のやり取りを行うとよいでしょう。ア 特に禁止や留意すべき業務等 疾病の種類や重症度により、個別の機能障害や、失神・脱力発作、突然の不動状態、免疫低下、皮膚の障害等、個別の症状による、本人の健康状態の悪化、職場での安全確保の観点を踏まえて、特定の業務を禁止したり、特別な留意をしたりする必要がある場合があります。イ 定期通院等のために休暇や出退勤時刻の調整の必要性 たとえ体調がよく、特に問題がない場合でも、定期的検査や服薬の調整、医療的な相談等は、急な体調悪化や入院、休職、障害の悪化等を予防するために重要な意義があります。専門病院では休日診療が受けられないことも多く、受診予約日に無理なく通院ができるような配慮が必要な場合もあります。ウ 就業中の休憩や疾病管理等の配慮の必要性 疲労や痛み等は本人の自覚症状以外では分かりにくいので正しい理解が重要です。エ 症状の進行や治療の見通し 進行性の疾病なのかそうでないのか、進行性の場合は現在の仕事がいつごろまで継続可能なのか。進行性でない場合は、どの程度症状が安定しているのか。休職後の復職については、どれくらいの期間で復職が可能なのか、原職復帰は可能なのか。これらについて専門の主治医から必要な情報を得ることが必要です。② 主治医の意見書を踏まえた両立支援プランの作成 主治医の意見書を踏まえて、職場と本人で、具体的な両立支援プランを検討します。その内容は話し合いの結果を共有するものとして、職場として、本人、所属長、人事労務担当者、産業医等の同意を得て作成します。 治療の方針や見通しを確認し、休職後の職場復帰や体調管理と両立できる仕事内容や勤務条件の調整スケジュール、職場としての具体的な就業上の配慮事項、フォローアップ面談のスケジュール、その他、同僚への説明の方針、突然の体調悪化にも対応できるように、チームで引き継ぎを意識した仕事の仕方にすること、上司が異動する時には引き継ぎをすること等、話し合いの結果を文書として確認し共有します。200 両立支援プランは、本人や職場の状況の変化に応じて、見直すことも必要です。特に、治療の見通しが分かりにくい状況の場合は、当初の両立支援プランについて一定期間後に見直すことを前提として作成することが適切な場合もあります。③ 専門的支援や制度の活用 治療と仕事の両立支援は、就職後の従業員を対象に実施されるもので、職場の関係者としての産業医・保健師・看護師等の産業保健スタッフや医療機関の関係者、さらに、地域の産業保健総合支援センターが専門的支援を提供します。また、両立支援コーディネーターがこれらの関係者の連携を促進します。 一方、難病のある人の就職採用時においても、早めに治療と仕事の両立支援を想定した、本人や支援機関との情報交換が重要です。ハローワーク等からの職業紹介の場合には、その前提として、主治医等の確認が済んでいる場合もあります。 また、難病法により、各都道府県には難病相談支援センターが設置され、ハローワークや医療・保健・福祉機関、患者会などとの連携により就労を含めた相談や支援を行う拠点ができています。また、ハローワークには、難病患者就職サポーターが配置され、その他、地域障害者職業センター、医師や医療ソーシャルワーカー等も難病のある人の就労支援を行っています。【参考文献】1…)障害者職業総合センター:「難病のある人の雇用管理マニュアル(2018)2…)障害者職業総合センター:「難病のある人の就労支援のために」(2016)3…)厚生労働省:「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」(2019)4…)治療と仕事の両立支援ナビ…https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/5…)障害者職業総合センター:「難病のある人の職業リハビリテーションハンドブックQ&A」(2021)(春名 由一郎)
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