32理の現場に導入され、厚生労働大臣が差別禁止と合理的配慮の提供に関わる具体的内容について指針15)16)を定めています。2022年9月に公表された国連の障害者権利委員会の総括所見において、障害者雇用促進法の改正によって、精神障害者保健福祉手帳所持者の雇用の義務化や差別の禁止と合理的配慮の提供が義務化された点はPositive…aspectsであると評価されています。一方で、2023年7月24日〜8月4日にかけて行われた国連ビジネスと人権の作業部会による訪日調査の終了にあたって公表された声明では、障害のある人の労働市場への包摂が課題である点と個別支援や合理的配慮提供を通じた職場への適応促進や研修の実施について国連障害者の権利委員会の提言にそって進めることを求めています。障害者雇用の現場において、法制度に基づく対応をコンプライアンスとして捉えるのか、前述のダイバーシティマネジメントの考え方に立ち、より積極的に企業戦略として進めていくのか、今後この課題への対応が注視されることとなるでしょう。【参考文献】1)稲上毅:「労働CSR 労使コミュニケーションの現状と課題」,連合総合生活開発研究所編(2007)2)独立行政法人労働政策研究・研修機構:企業の社会的責任(CSR)「Business…Labor…Trend」,独立行政法人労働政策研究・研修機構(2006)3)日本経団連:「企業行動憲章 序文」,日本経団連(2022a) https://www.keidanren.or.jp/policy/cgcb/charter…2022.html4)日本経団連:「企業行動憲章 実行の手引き(第9版)」,日本経団連(2022b) https://www.keidanren.or.jp/policy/cgcb/tebiki9.html5)日本経団連:「企業行動憲章」,日本経団連(2004a)6)日本経団連:「企業行動憲章 実行の手引き(第4版)」,日本経団連(2004b)7)日本経団連:「CSR推進ツール」,日本経団連(2005)8)日本経団連:「企業行動憲章」,日本経団連(2010)9)国連広報センター:2030アジェンダ https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/(閲覧日2021.12.23)10)経済同友会:「第15回企業白書 『市場の進化』と(眞保 智子)社会的責任経営」,経済同友会(2003)11)厚生労働省:「労働におけるCSRのあり方に関する研究会中間報告書」,厚生労働省(2004)12)国際標準化機構(ISO):SOCIAL…RESPONSIBILITY……-…DISCOVERING…ISO…26000,国際標準化機構(ISO)(2010)13)Singh…V…&…Point…S(2004)Promoting…diversity…management:…new…challenges…and…new…responses…by…top…companies…across…Europe,…Management…focus…(Spring).14)World…Economic…Forum(2023)Diversity,…Equity…and…Inclusion…Lighthouses…2024.15)厚生労働省:「障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(障害者差別禁止指針),厚生労働省(2015) https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000078980.html(閲覧日2020.12.20)16)厚生労働省:「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」(合理的配慮指針),厚生労働省(2015) https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000078980.html(閲覧日2020.12.20)
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