令和6年度版障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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38取り組みを的確に実施していくためには、連動することも多い社会生活面での支えの体制との連携も大切です。社外においては、ハローワークや地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター等の支援機関と適時的、かつ的確に連携することをはじめ、障害者が職業生活に充実感を味わえるように余暇活動等、社会資源を活用しつつ、職業生活全般を支えていく体制を構築することが大切です。この障害者への支援、事業所内の支援、外部支援体制との連携の3方向の支援については、どこかの領域だけに無理がかからないようにバランスを整えて必要に応じて、「障害者の雇用や職場適応を検討するための打ち合わせ機会(ケース検討会議)」などを設定して情報の共有を図ったり、社内の協力体制や外部の支援機関の協力を得ていくことが肝要です。【日々の留意点の例】<仕事面での確認>*就労意欲、仕事への集中力、持続力*…習熟度、作業スピード、聞く姿勢、理解度、作業工夫*仕事の安定性、自分の仕事の管理力(見通し力)*報連相、質問の内容と状況*仕事の満足度(好き嫌い)、目標*後片づけ、掃除、職場のルールの理解・遵守等<対人面での確認>*挨拶、返事、言葉遣い等*出退勤の安定性、休暇の取得*…人間関係、同僚との距離感*…上司や同僚からの声掛けの状況、支援のタイミング*休憩時間の過ごし方、時間外の交流*生活支援機関や就労支援機関との利用状況<日常生活面の確認>*…健康管理(体調不良時の報告、通院や服薬の管理ができているか等)*…生活のリズム(就寝や起床時間の乱れ、食事時間や食欲、出社・帰宅等勤怠の様子)*…身だしなみ(清潔感のある服装、化粧・髭剃り、入浴等の日常生活習慣)の変化*金銭管理(計画的な購入、むだ遣いの有無)*時間外の行動(余暇活動、通勤、生活リズム等)*医療ケアの継続、服薬管理・体調管理の状況【相談員の役割】①入社前:職場の受け入れ態勢を構築すること、ハローワークや障害者就業・生活支援センター等と連携し、職場実習を通じて本人の得意、不得意、配慮事項の把握に努めること②入社後:職場における業務指導や社会生活能力の育成のため、地域障害者職業センター等への支援要請を検討すること、職場内の態勢づくり、安定した職務遂行のためのサポートを行うこと③日常生活指導や余暇支援:障害者就業・生活支援センター等の協力を得て、日常生活に関する支援に活用できる社会資源の情報を得ること等の役割があります。このように相談員の役割には、自らが障害者の良き理解者、職業生活の良き支援者であることに加え、関係機関の協力を求められること、どこに相談すると良いかを助言できること、そのうえで社内・社外を含めたチーム支援を進めていく役割を担うことが期待されます。障害を起因とする職業上の困難さを軽減し、得意なことを伸ばし、そしてできる可能性を引き出して、企業で働く仲間としての成長を支援してください。

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