3第1障害者の採用方針・採用計画節46障害者の採用方針・採用計画を作成する場合には、まず、企業全体の中期採用計画(3〜5年の採用計画)を策定し、その枠組みの中で障害者の雇用についても考慮しておくことが望まれます。現状で欠員になっている職務に障害者を配置するという考え方で障害者雇用を進めていこうとする場合には、採用した障害者に応じて適切な配慮ができるかどうか、周囲の指導体制や受け入れ環境が整備できているかどうかなどを検討し、事前準備を進め、(物的・人的な)執務環境を整えることが必要です。なお、この取り組みでは大幅に障害者を増やしていくという計画には対応しきれないことが多いものです。特に、法定雇用率未達成企業の場合など、現有の社員体制に加えて新たにまとまった人数の障害者の増員を検討する必要がある事業主や数十人規模の社員の増員を計画しているため、それに見合った障害者の新規雇用を考えている事業主については、中期採用計画と必ずリンクさせておくことが必要です。また、障害者雇用について、ハローワークより「雇入れ計画の作成命令」を受けている法定雇用率未達成企業については、「計画の始期及び終期」及び「雇入れ人数」等を踏まえた採用計画を立てる必要があります。現状の体制に加えて障害者雇用を進めていく場合には、障害者は、徐々に職務に慣れ、将来的には職務遂行が向上していくことも加味した上で、障害の特性に応じた職務の創出や職場の選定、指導体制の整備を行い、配員を考える必要があります。特に、これから障害者雇用を拡充しようとする企業においては、年度毎にどの部署に何人採用しようというおおよその計画を立てることが望ましいと思います。障害者自身はもとより障害者を受け入れる部署の指導者や同僚にとって、「障害者を受け入れたものの担当してもらえる仕事がない」「毎日会社に来てくれることが仕事で、何もやってもらわなくてもよい」という職場では、働いている者が意欲を持ちづらく、自分の存在感を感じられず、安心して働く環境にないため、障害者雇用を進めていく上で適切な状況の職場であるとはいえません。障害者にとって、仕事の内容や量が適切で、やりがいを感じられる職場を用意して初めて障害者の採用ができるという点を抑えて準備しておくことが重要です。そのためには、障害者に担当してもらう職務の切り出し、工程の再設計、分かりやすいマニュアルの整備、障害者の受け入れ態勢・指導体制の構築等の採用の準備が完了していることが前提となります。従って、採用計画は職務の創出と表裏の関係となります。採用計画を策定するにあたり考慮しなければならない点は次のとおりです。① どんな職務を障害者に担当させるか(職種毎に受け入れる人数をどの程度にするか)。② 正規社員で雇用するか、契約社員などの柔軟な雇用形態で雇用するか。③ フルタイムで雇用するか、短時間勤務または在宅勤務で雇用するか。④ 新卒採用か経験者採用か。⑤ 障害者の受け入れ態勢や障害特性の理解、指導上の留意事項の理解などが準備できているか。⑥ 障害者が成長し、担当する業務を拡充したり幅を広げられる職務を用意できているか。⑦ 採用当初仕事が完了しない場合の応援体制が整っているか。さらに、採用計画を的確に実行していくためには、就労支援機関との連携も必要です。特に障害者の採用活動の経験が浅い企業の場合には、採用のプロセスでどのような制度を活用したらよいのか、どのような外部機関の支援者がどういう形でサポートしてくれるのかという点について十分に情報収集しないまま、障害者を採用することに意識が集中してしまうという事例も散見されます。障害者雇用については受け入れ態勢を作り、確実な準備をしてから採用の取り組みを実行していくことが大切ですし、その際に、社外の有効な支援を受けられるように情報収集しておきましょう。そこで、障害者の雇用計画を検討するときには、ハ採用計画の作成と受け入れ部署の準備
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