⑵ 障害者の障害特性を活かしやすい就業組織形態48極め、お互いに理解を深めて、その後の常用雇用への移行や本採用のきっかけづくりを図ることを目的に創設された事業です。事業主には、トライアル雇用期間に助成金として月額4万円、精神障害者を雇用する場合は3ヶ月間は月額最大8万円、4ヶ月目から6ヶ月目までは月額最大4万円が支給され、雇入れにかかる一定の負担が軽減されることもあります。対象障害者にとっては、企業の求める適性や能力・技術を実際に把握することができ、また、トライアル雇用中に努力することで、その後の本採用への道が開かれます。常用雇用に移行した場合は、雇用率計算上は遡って算入できます。障害者が働きやすさを感じることができたり、障害特性に応じた雇用が容易になるよう、様々な組織形態が制度化されています。① 特例子会社:事業主が障害者雇用に特別な配慮をした子会社を設立した場合、一定の要件のもとに子会社の従業員を親会社に雇用されたものとみなして、親会社の雇用率に計算できる制度です。特例子会社のメリットとして次の点があげられます。○会社としてのメリット・社内外に障害者雇用の取組みを周知させることができる。・障害者雇用のノウハウを蓄積できるので、親会社やグループ各社の障害者雇用に係る課題に助言・援助できる。・就労支援機関との継続的な連携により障害者の定期採用、採用後の職場適応の援助等が受けやすくなる。・親会社から独立しているため、より障害に配慮した臨機応変な意思決定を行うことができる。・障害者の職場定着に資する独自の運営を行うことができる(就業規則、人事評価制度、賃金規定等)。・障害者に配慮した施策をとりやすくなる(精神保健福祉士等相談支援担当の相談員の配置、企業在籍型ジョブコーチの配置等)。○障害者としてのメリット・入社前の段階で一定レベルの合理的配慮がな・障害者同士の仲間意識の醸成を図れる。・障害のカミングアウトがしやすく伸び伸び働・職務が細分化されているケースが多く、自身の習得状況に応じて職務内容を柔軟に設定してもらいやすい。特例子会社については、雇用率制度のグループ適用が認められています。つまり、特例子会社を設立する親会社が特例子会社以外のその他の子会社(以下「関係会社」という。)を含めて障害者雇用を進める場合には、一定の要件のもとに関係会社に雇用されている従業員も親会社に雇用されている者とみなし、実雇用率を通算できます。一方で特例子会社については、一度設置したら原則として廃止できないこと、グループ適用された子会社を原則として外すことができないこと、地域貢献に係る社会的な役割を求められるケースも多いことから毎年定期採用していくことを就労支援機関や特別支援学校などから期待される場合も多いこと(それに応じて業務の内容や業務量を拡充する必要があること)等もありますので、設置の検討は慎重に行うことが重要です。② 重度障害者多数雇用事業所:重度障害者(重度身体障害者、知的障害者又は精神障害者を含む)を10人以上雇用しており、その重度障害者数の全従業員に占める割合が20%以上である等の要件を満たし、税制上の優遇措置や、施設・設備改善のための助成金を利用している事業所もあります。重度障害者多数雇用事業所は、重度の身体障害者、知的障害者及び精神障害者の雇用拡大のうえで大きな成果をあげています。③ 短時間就労障害特性の側面を考慮し短時間就労(週20時間以上30時間未満)を志向する障害者は年々増加しています。令和4年度の民間企業における短時間労働者は全国で7万3千人を超えており、企業では、今後短時間労働者の増加に応じて業務量と仕事のやりがいを兼ね備えた職務創出、ワークシェアなどを進めていくことが期待されます。さらに、令和4年12月の障害者雇用促進法の改正により、一般就労を希望する障害者のうち、障害特性により長時間の勤務が困難な重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者の就労機会をされている。くことができる。
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