⑶ 中小企業における障害者雇用の促進❶ 厚生労働省「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」❷ …本節で紹介した調査結果の詳細については、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 平成24年度障害者職域拡大等調査報告書No.2『中小企業における初めての障害者雇用に係る課題と対応に関する調査』を参照。拡大するため、令和6年4月1日から特定短時間労働者(週10時間以上20時間未満)について、特例的な取扱いとして、実雇用率にカウント(0.5ポイント)できるように改正されました。④ 企業内障害者センター:特例子会社を作ることなく企業内の業務の中で障害者に可能な業務を担当部(例えば人事部)の中に集中配置し組織化するものです。これは担当部が直轄で運営する効率的な方法といえます。ただし、担当部内に限られた取組みとなることが多く、社内に障害者雇用を拡げにくいことから職域の拡大には担当部の努力・工夫が必要になってきます。① 中小企業における障害者の雇用状況厚生労働省がとりまとめた障害者雇用状況報告の結果❶から令和5年6月1日現在の状況をみると、常用労働者数43.5人以上の民間企業は、全国で108,202社、法定雇用率の算定基礎となる従業者数は約2,752万人、障害者数は約64万人で障害者の実雇用率は2.33%でした。このうち、常用労働者数43.5人以上300人未満の中小企業は、全国で92,855社、法定雇用率の算定基礎となる従業者数は約930万人、障害者数は約19万人で、障害者の実雇用率は2.07%でした。障害者雇用率制度の創設時(昭和52年)との比較でみてみると、昭和52年の企業全体の実雇用率は1.09%であったのに対し、令和5年には2.33%になっており、今日までに障害者の雇用状況は着実に進展しています。しかしながら、300人未満規模の中小企業における障害者の雇用状況は、昭和52年は、56人〜99人以下規模の企業で1.71%、100人〜299人規模の企業で1.48%と、企業全体の実雇用率1.09%を大きく上回る水準でした。平成5年は、56人〜99人以下規模の企業で2.11%、100人〜299人規模の企業で1.52%となり、企業全体の実雇用率1.41%を上回る過去最高の水準となりました。しかし、その後は低下傾向が続いており、令和5年は、43.5人〜100人未満規模の企業で1.95%、100人〜300人未満規模の企業では2.15%、300〜500人未満規模の企業では2.18%と、企業全体の実雇用率2.33%を下回っています。② 初めての障害者雇用の課題と対応(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施した「中小企業における初めての障害者雇用に係る課題と対応に関する調査」❷では、アンケート調査とヒアリング調査を通じて、中小企業が初めて障害者を雇用するに当たってどのような課題が生じるのかを把握するとともに、障害者雇用のポイント、必要な支援をとりまとめています。概要は次のとおりです。ア アンケート調査の結果以前に障害者を雇用しなかった理由(複数回答)としては、「障害の状況に応じた職務の設定や作業内容、作業手順の改善が難しかった」を5割強、「採用・選考に関するノウハウが乏しかった」、「支援者・指導者の配置等、人的支援の体制の整備が困難だった」、「障害の状況に応じた労働条件の設定が困難だった」を3割程度の企業が選択していました。初めて障害者を雇用するに当たって困ったこととしては、「従事作業の設定、作業内容や作業手順の改善」を5割強、「障害の状況を踏まえた労働条件の設定」、「支援者や指導者の配置」を3割程度、「採用基準や選考方法」、「人材の確保」、「現場の社員の理解を得ること」を2割程度、「施設・設備の整備」、「何から手をつければいいか分からなかった」を1割程度の企業が選択していました。また、困ったことへの対応策としては「採用基準や選考方法」及び「何から手をつければいいか分からなかった」の項目では「外部機関の支援の利用」が最も多く、それ以外の項目ではいずれも「自社による工夫・改善を実施」が最も多くなっていました。初めての障害者雇用に当たっての支援機関等の利用については、いずれかの支援機関を利用した企業は80社(72.7%)でした。具体的には「ハローワーク」を利用した企業が6割強、「特別支援学校」と「障害者就業・生活支援センター」が2割程度でした。支援制度の活用状況としては、「特定求職者雇用開発助成金」の活用が4割強と最も多く、次いで「障害者試行雇用(トライアル雇用)奨励金」が3割強程度49
元のページ ../index.html#51