す。支援機関と接点がない企業も、まずハローワークを訪れるとともに、地元の各支援機関で求職者に関する情報収集を積極的に行っていくことが望まれます。エ 必要な取組最後に、本調査では、中小企業が次のような取組を行うことを提案しています。 (ア) 初めての障害者雇用に躊躇している中小企業にあっては、雇用に向けた第一歩として、障害者の特性や能力に関して適切に理解するために、職場実習を受け入れることや、支援機関に対して雇用を躊躇する理由を具体的に相談してみること。 (イ) 実際に障害者雇用に向けた取組を進めようとするものの、何から手を付けていくべきか悩む企業にあっては、企業見学等を行いつつ先進企業の取組に学んでみること。また、見学先の選定に当たり迷うことがあれば、支援機関に相談してみること。 (ウ) 初めて障害者を雇用する方針を固めようとする企業にあっては、職場実習など試行的な受入れに先だって、支援機関にも相談しつつ、障害者の職務等についてあらかじめ社内で検討してみること。 (エ) 障害者雇用の検討に当たっては、コストがいくらかかるかということだけでなく、障害者雇用が社員に与える意識の変化などのメリット、障害者優先調達推進法等企業の経営面からみたメリット、積極的な障害者雇用がもたらす企業の社会的評価の向上、社会貢献といったメリットや意義があることについても理解した上で検討すること。 (オ) 求職者に関する情報は、企業自らもハローワークをはじめとした各支援機関に相談するなど、その収集に積極的に当たってみること。 (カ) 障害者を採用する際には、複数の部署から構成される組織をもった企業の場合、障害者の配属部署だけではなく総務・人事部門など複数の部署が直接的・間接的に関わること。また、必要に応じて支援機関に相談してみること。 (キ) ジョブコーチによる支援について、とりわけ精神障害者や知的障害者を雇用する場合にあっては積極的に受けてみること。③ 障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)の創設中小事業主については、障害者の雇用義務が課せられているにもかかわらず依然として障害者を全く雇用していない企業(障害者雇用ゼロ企業)も多く残されている等、障害者雇用の取組が停滞している状況にあります。中小事業主における障害者雇用を進めていくためには、従来の制度的枠組みだけでなく、個々の中小事業主における障害者雇用の進展に対する社会的な関心を喚起し、経営者の障害者雇用に対する理解を深めていくとともに、こうした積極的な取組を進めている事業主が、社会的に様々なメリットを受けられるようにしていくことが必要です。このため、障害者の雇用の促進及び雇用の安定に関する取組に関し、その実施状況が優良なものであること等の基準に適合するものである旨の認定を行い、認定された事業主について、その商品等に厚生労働大臣の定める表示(もにす認定マーク)を付すことができる中小事業主に対する認定制度が創設されました。この認定制度を通じて、企業の社会的認知度を高めることができるとともに、地域で認定を受けた事業主が障害者雇用の身近なロールモデルとして認知され、地域全体の障害者雇用の取組が一層推進されることが期待できます。また、本制度を通じて、障害者雇用の促進と雇用の安定を図ることで、組織における多様性が促進され、女性や高齢者、外国人など、誰もが活躍できる職場づくりにつながることが期待されます。④ 納付金制度ほかところで、中小企業の中でも、障害者雇用に積極的な企業が一定の割合を占めることから、今後、中小企業における障害者雇用を着実に進めていくためには、法定雇用率を超えて障害者を雇用している中小企業と法定雇用率を達成していない中小企業との間の経済的負担の不均衡を調整していくことが必要です。こうした考え方等を背景として、障害者雇用納付金制度が適用される対象範囲は徐々に拡大され、平成27年4月からは、障害者雇用納付金制度の適用範囲が常用雇用労働者数100人を超える事業主にまで拡大されています。中小企業は地域における障害者雇用の受け皿として、その重要性はますます高まっていくものと期待され、これまで障害者雇用の経験のない中小51
元のページ ../index.html#53