3職務創出図1 職務創出の3つのモデルパターン⑴ 業務内容と職務の再設計52企業を視野に置きながら、中小企業における障害者雇用の促進を図るための雇用支援策をより一層採用に躊躇する企業に理由を聞くと多くの企業から「障害者に合った仕事がない」と答えが返ってきます。通常は「職務(仕事)に人を合わせる」方法をとりますが、障害者の業務を決める場合、障害の特性と程度を考慮し「人に職務(仕事)を合わせる」方法も併せて考慮することが有効と考えることが必要です。障害者が担当する仕事を具体的に創出していくときに、「障害者に合う仕事とはどんなものでしょうか?」と質問される企業が多くあります。これについては、「健常者に合う仕事とは何か」と聞かれても答えることができないように、障害者に合う仕事、この仕事は障害者用という決めつけを行うことは適当ではありません。障害者一人ひとりの個性と興味関心、経験や諸能力によってマッチングしていくというのが基本の考え方です。最近の研究では、①職務切り出しモデル、②積み上げモデル、③特化モデルの3つを組み合わせて職務創出していくことが有効とされています。この際、担当する職務を作業要素レベルまで細分化し、スモールス充実させていくことが求められています。テップでできる作業要素を増やしていくことや障害によりできない要素のみを取り除く、他者の助けや仕事の流れを変えることで障害者が作業をできるように再編整備していくことが肝要です(図1)。例えば、製品の箱詰め(業務)について、包装の歪みのチェック、製品の箱詰め、商品説明書の挿入、消費期限の印字、完成品の並べ作業、製品仕上がり数の数えと報告という一連の作業の流れがあったとします。このときに、障害により「包装の歪みのチェックだけができない」、「仕上がり数の数えだけができない」といった一部の作業ができない方について「箱詰め業務ができない」として一連の業務を担当させることが困難と判断することは避けるべきです。できる作業要素とできない作業要素を整理区分し、できない作業要素について積み上げモデルによるステップアップ方法が良いのか、特化モデルにより部分的に作業要素を外し、残りの部分を確実に仕上げるといったワークシェアを行うことが良いのか、細分化しても対応することができないのか等を障害者本人も交えて多角的に検討し、整理していくことが望まれます。障害者の職務創出については、一般に各職場に新入
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