令和6年度版障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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⇒役割を与える(新人のメンター、サブリーダー等)図3 人事評価に当たっての留意事項組織内でのキャリア形成を次の3軸で捉える(3軸は相互に関連し、部門が変わると地位や中心性も変化)①地位・階層軸:組織内のタテの移動②職能・技術軸(機能):組織内のヨコの移動⇒仕事(部門)の幅を広げる③部内化・中心性軸:組織の中核に向かう移動⇒組織にとってより重要で中心的な職務に就ける外的キァリア(人が経験した仕事の内容や業務、組織内での地位など)の形成を評価☆他者の代替・手伝いが可能になる☆重要度の高い作業や決定権限のある業務、機密情報や守秘を扱う仕事は、組織に対する役割や位置づけが高まるキャリアコーンの考え方ることは、障害者にとっても、本人の励みになり、モチベーションを引き出すのに有効です。モチベーションを維持向上させるためには、職務面の結果だけを評価するのではなく、職務遂行のプロセスや取り組み姿勢といった社内での行動全般を評価すこの考え方では、人事評価の指標について3つ用意します① 能力評価の指標:仕事に向き合う姿勢、職務態度や出勤の安定性など職務遂行のプロセスなどの情意効果の側面を評価するとともに、他の従業員に与える影響などを含めて全人的に評価いただくことが望まれます② 年功評価の指標:職務を担当している期間、キャリアや経験年数等の属性的な側面に加え、労使で共有して設定した年次の目標の達成状況などの経験値を評価していただくことが望まれます③ 職務評価の指標:社員に課した職務や役割の遂行状況を評価することになりますが、これについては、さらに下位の3軸を設けて職務遂行の量的な側面に加え、担当職務の質的な側面を加味した評価をすることが望まれますア 職能・技術軸難易度の同じ職務や同じ地位に求められる業務をどれだけ多く実行できるようになっているかという横方向の評価を行う軸イ 地位・階層軸職務のスキルアップ、職責の上昇、役割の付加などに対応できるかという縦方向の評価を行ることや加算方式で評価する方法を取り入れること等人事評価制度を工夫することも望まれます。具体的な人事評価の指標について図3に一例を紹介します。う軸ウ 部内化・中心性軸(※)部内化・中心性軸の例地位や部門は同じでも組織の中心的な作業や決定に関わる職務、情報(機密情報、守秘等)を扱う職務など組織に対する自己の業務の重要性が増大することについて評価する軸(組織にとってより重要で中心的なステータスを与えられるかを評価する軸)(※)例えば、顧客情報のデータ入力の仕事に就いている方がいるとします。一般レベルでは既存の複数の名簿から、顧客の氏名、住所、生年月日、会員番号等のデータを入力します。一段階重要度が増したレベルの作業では、複数回購入実績がある「お得意様情報」のデータ入力作業を担当します。このデータ入力作業では入力項目は同じで業務の難易度は同レベルですが、取り扱うデータの重要性や会社にとっての大切さが増すことになります。さらにレベルが上がると、「重要なお得意様情報」の入力となり、データの保存管理に当たりパスワードを付加したり、アクセスできる者55◎能力評価(実績だけでなく、資質も評価する)⇒情意面の評価◎年功評価(年齢、入社年次、勤続、経験等)◎職務評価(社員に課した役割の遂行評価)

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