⑵ 賃金の管理る基準」の改正に伴い、以下の労働条件の明示事項等が変更されることとなりました。(キ) 就業場所と業務の変更の範囲(有期労働契約者を含むすべての労働者)(ク) 更新上限の有無と内容及び更新上限を新設・短縮する場合はその理由(有期労働契約者)(ケ) 無期転換申込機会及び無期転換後の労働条件(有期労働契約者)また、短時間労働者(パートタイム労働者)を雇い入れる事業場は、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)第6条の規定により、「労使協定に基づく賃金支払時の控除の有無」、「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」を文書の交付等により明示することも義務になっています。イ 法令等の周知義務「労働基準法」と「関係法令」の要旨、「就業規則」のほか、「労使協定」並びに「労使委員会の決議」を、次の方法により労働者に周知しなければなりません。内容が理解しにくい障害者に対しては、わかりやすく表現する等の配慮をするとよいでしょう。(ア) 常時、各作業場の見やすい場所に掲示または備え付けること(イ) 書面により交付すること(ウ) 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずるものに記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置したり、社内ポータルに掲示する等整備すること② 雇用・勤務形態の多様化と障害者雇用障害者の雇用も基本的には通常の雇用と同じと考えてよいのですが、障害の種類、程度により、同一場所、一斉就業、一斉休憩、フルタイム勤務等にこだわらず、本人とよく相談し、本人に合った雇用・勤務形態からスタートします。時には、よかれと考えて決めた、期間の定めのない正社員という条件が重荷になることもあります。移動障害のある障害者や公共交通機関を利用しての通勤が困難な障害者については、在宅勤務の可能性も検討します。また、精神障害者、重度障害者、就労経験のない障害者等を雇い入れる場合等、適応が難しいと予想される場合は、ハローワークに相談し、障害者トライアル雇用制度を活用することもできます。担当業務と作業環境、人間関係も考慮して、定着へ近づけます。本節の2もあわせてご参照ください。① 賃金体系と最低賃金賃金体系は、企業ごとに定められるものであり、一概にどの体系がよいとは言えませんが、例えば職務評価に基づく職務給を導入する場合も本人の年齢や勤続年数等を考慮した本人給と併用した形の給与(賃金)体系が考えられます。ただし、職務給は知識、熟練、努力、責任等その職務の困難度や重要度を評価要素として、職務の相対的価値を評価し、その価値に応じて定められる賃金であるため、職務が変わらない場合の昇給については、本人給部分で行うことになると考えられます。障害者雇用促進法では、雇用する障害者に対する障害を理由とする差別や権利・利益を侵害する行為が禁止されています。すなわち、障害のあるなしで異なる賃金体系を作ることは認められません。ただし、一方で職務の内容や職位で賃金が異なることは認められています。最低賃金には地域別最低賃金と産業別最低賃金があります。一人の労働者について二つ以上の最低賃金がある場合は、高いものが適用されます。産業別最低賃金が適用される労働者に地域別最低賃金を下回る賃金を支払った場合は、違反となり50万円以下の罰金が、産業別最低賃金を下回る賃金を支払った場合には、30万円以下の罰金を科せられることとなりますのでご注意下さい。なお、最低賃金は時間額で定められていますので、日給や月給の場合は所定労働時間で除して比較してください。また、一部の例外を除き、どんな職務であろうとも、最低賃金額を下回らないようにすることが必要です。② 賃金支払いの原則 障害者に対する賃金の支払いの原則は、労働基準法に定められているとおり、①通貨で、②全額を、③毎月1回以上、④一定期日に、⑤直接本人に支払う、この5原則は守らなくてはなりません。知的障害者の場合、親など保護者が本人に代わって受取りに来ることがあるようですが、代理人に支払うことはできません。あくまで本人に支払わなければなりません。勤務先預金として会社が預かっている場合も、本人57
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