令和6年度版障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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以外へ払い出すことはできません(Q&A【問4】(P60)にチャレンジ)。③ 最低賃金の減額の特例許可申請障害者、試用期間中の者等一般の労働者と労働能力等が異なるため、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭める可能性がある労働者については、最低賃金の減額の特例が認められます。減額の特例許可を必要とする理由、障害についての障害者手帳等客観的な資料、支払おうとする賃金(特例許可を受けようとする減額率)等を記載した申請書を事業所を管轄する労働基準監督署経由で都道府県労働局長へ提出して許可を得るという制度もあります。④ 就業しなかった時間と賃金傷病のチェックや人工透析等で通院するための遅刻・早退、就業中の外出の場合の取扱いは、一般ルールとして「就業規則」で定めておくことが望ましいでしょう。全労働者が同じ取扱いとなるのが公平な考え方です。例えば、ノーワーク・ノーペイを原則とするならば、全従業員を同じ取扱いとします。障害者への配慮は、一般労働者とのバランスを考えて決めてください。⑤ 休暇と賃金就業規則等で休暇を定め、それぞれの休暇について有給か無給かを定めなければなりません。なお、産前産後の休暇や、私傷病の休業が無給の場合、それぞれ健康保険の「出産手当金」や「傷病手当金」の給付を請求することができます。また、支給される賃金が「出産手当金」や「傷病手当金」に満たない場合は、差額が支給されますので請求することができます。① 労働時間の原則労働時間、休日、時間外労働等については、その扱いは障害者も一般の労働者と全く同一で、労働基準法が適用されます。同一の就業規則で運用するのが大原則です。② 労働時間の柔軟化労働時間の柔軟化には、いろいろな形があります。その中から個々の障害者に合った形を選択することができます。① 短時間労働者(パートタイム労働者)通常の労働者の所定労働時間に比べ労働時間の⑶ 労働時間⑷ 障害者の所得保障58短い労働者を短時間労働者といいます。パートタイム労働法により、職務の内容、人材活用の仕組みや運用が同じであれば、賃金・教育訓練・福利厚生について差別的取扱いが禁止されています。短時間労働者に対する年次有給休暇は通常の労働者に比例した日数を付与することが必要です。このほか、柔軟な労働時間の設定については、フレックスタイム制、変形労働時間制、みなし労働時間制などの制度もあります。これらについて障害者に適用する際には障害の特性、諸能力に配慮することが肝要です。企業において雇用する障害者から年金の相談を受けるときに予想されるケースは、単に申請方法がわからない場合や相談者が自分の年金を受けることができるかどうか分からない場合、さらには働き始めて給与所得が生じることにより年金額との調整が発生するかどうかなど、多岐に渡ることが予想されます。年金は一人ひとりの状況が異なります。また、本人の思い違いということもあり、話の内容と現実が異なっており受給できない場合もありますので、年金の専門家でない障害者職業生活相談員が「年金をもらえます・もらえません」など断定的な判断をすることは避けなければなりません。年金の相談は日本年金機構の年金事務所・街角の年金相談センターが受け付けていますの

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