令和6年度版障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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7障害者のための職場環境Q&A【問5】病歴や障害に関する情報は、要配慮個人情報に該当する。(解答と解説はP289に記載しています)⑴ はじめに⑵  バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)と技術的基準立していない希少な疾病であって長期の療養を必要とするものとされています。「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」に基づく医療費助成の対象となる指定難病は、令和6年4月現在で341疾病あります。一方、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」では、発病の機構が不明であることと希少であることを難病の要件から除外し、369疾病を支援の対象としています。このように難病とされる疾患は非常に多岐にわたるので、当然、職場での健康と安全に関わる課題は、疾患によってさまざまです。難病と言うと治療が難しい重篤な病気というイメージが先に立ちますが、難病の中にも、根本的な治療は難しいものの適切な医学的管理によって就労が可能となる疾患が多く含まれています。難病のある人で就労を希望する人は、主治医から自己管理についての指導を受け、就労についての許可も得ています。事業者側としてはあくまでも「慢性疾患のある働く人」として認識し、「労働衛生3管理(健近年は、さまざまな障害のある人が企業で働くようになりました。また障害認定を受けていなくても、高齢の従業員や職場を訪れる障害のある一般利用客の利便性を考えれば、多様な人々に配慮した『だれもが利用できる』ユニバーサルデザインを目指すべきでしょう。これは事業所にとって、多様な人々が生きる社会環境をつくりだすための社会的役割を担うとも考えられます。しかし現実には、利用者が多様化すればするだけ技…術的な対応は難しくなり、またより広範囲の重度障害…者を想定して、改善計画を行うとなると大きな建築ス…ペースと経済的負担が必要になります。本節では、必ずしもすべての人が使用できるデザインではないものの、多くの人に対応でき、しかも比較的容易に改善できるものを中心にその方法を解説します。① 基本事項一般企業の事務所を含む、公共的な性格をもつ一定康管理、作業管理、作業環境管理)」を円滑に実行し、健康と安全に配慮しながら受け入れればよいのです。その場合、難病は稀な疾患なので、事業者側としてもその疾患の特性の理解に努め、必要に応じて主治医や産業医、保健師、本人を交えて十分な協議を行い、作業内容や作業環境を検討する必要があります。主治医とは連絡を密にとって適切な治療管理を行うことにより、就労が継続できるように配慮します。難病のある人の多くは、体力や耐性が低下しているため、休憩の取り方などにも工夫が必要です。難病のある人は、他の障害者と同じように職場での心理的ストレスを感じるばかりでなく、常に疾患の増悪に対する不安も抱えているので、メンタルヘルスケアは欠かせません。難病は長期におよぶ治療や経過観察が必要なので、定期的に専門医を受診できるように時間的配慮が必要です。公益財団法人難病医学研究財団のホームページや全国に設置されている難病相談支援センターなどを利用して、正しい知識を得るように努めます。規模以上の建築物にはバリアフリー化が義務とされています。都市部では付加条例により、対象となる建築物の種類や規模が拡大されていることがあります。以下の施設整備は、規模や用途、雇用している障害者の種類にかかわらず、事業所において配慮してほしいと考える、バリアフリー法の「標準設計」を用いて解説します。② 二つの技術的基準同法では、不特定多数の人が利用する、または主として高齢者・障害者が利用する建築物を「特別特定建築物」と定義しています。一定規模以上の「特別特定建築物」を建築するときは、建築物の構造や配置に関して、最低限の満たすべき基準「建築物移動等円滑化基準」に適合させることが義務付けられています。また、より望ましいレベルとして「誘導基準」があり、この基準を満たして、所管行政庁の認定を受けると、支援措置を受けることができます。(飯島 節)67

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