令和6年度版障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト
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⑵ 採用面接で確認する事項2選考・採用面接⑴ 採用試験実施に当たっての留意事項ます。〈文書・Webでの募集〉新聞・雑誌・チラシ・貼紙等の媒体を用いて募集することをいいます。障害者の募集に関しては管轄ハローワークへ求人申込みをするのが一般的ですが、文書募集は一度に多数の求職者の目に触れる方法であることから、民間で発行する求人・求職者情報雑誌や求人広告欄、インターネットを媒体とした求人情報を利用する企業が増えています。また、各企業のホームページに求人情報を掲載するケースも多くなっています。これらの公開されている求人情報については、ハローワークの求人と同様に情報を閲覧した障害者の就労支援を行っている機関から職場実習の協力要請が発生したり、支援中の障害者の情報提供が行われる場合もあります。障害者の採用にあたっては、障害者本人が働くうえでの制限事項、事業所の支援すべき事項、その他障害特性からみて配慮しておくべき事項を把握しておく必要があります。また、本人の障害や疾病の内容について、社内の受け止め方や前例となる事例等も勘案しながら、社内で誰に、どのタイミングで、どのように説明するのか等についても、対策を講じておくことが望まれます。このため、次のような内容について必要に応じて採用面接時に本人から詳しい情報を得ておくことが望まれます。◦…障害の状況(障害手帳の確認:障害の部位、障害の等級、障害の発症原因、歩行の状況・車いすの種類、使用する杖の種類、治療・服薬・通院の必要性と管理の適否、障害に係る配慮事項及び禁忌事項、障害者手帳更新手続の有無等)◦…障害や疾病についての説明の仕方 (本項⑷障害(疾病)の伝え方と内容を参照)◦…職務遂行関連(コミュニケーション手段、筆記速度、読解速度、巧緻性、計算能力、電話使用の可否、パソコン操作の可否、障害のための支援機器の使用経験、荷物の運搬、立ち作業、座り作業、80また、ハローワークインターネットサービスで、求職者の情報を提供しています。ハローワークの求人情報については原則として公開されることとされていますので、これらの情報を閲覧した障害者の就労支援機関から職場実習の協力要請が発生したり、支援中の障害者の情報提供が行われる場合もあります。なお、事業主が特定求職者雇用開発助成金等を受給するには、ハローワーク等(要件を満たす民間職業紹介業者を含む)による職業紹介を受けることが条件となります。〈民間職業紹介〉厚生労働大臣の許可を受けた民間の職業紹介事業者に求人申込みをして、求職者を紹介してもらう方法もあります。職業紹介事業者が主催する就職面談会に参加する方法と個別に紹介を受ける方法があり採用試験を実施する際には、就職の機会均等などを応募する全ての人に保障し、応募者本人の適性と能力のみを採用基準にすることが必要です。「こんな質問をされたら、応募者が不快に思ったり、つらい思いをしないだろうか」「この質問で応募者が動揺してしまい、普段の実力が発揮できないことはないだろうか」と相手を思いやる心を持ち、自社の採用目的や選考基準を相手の立場から捉えなおしてみることが大切です。公正な採用選考のためには、①雇用条件、採用基準を予め明確にすること、②特定の人を排除しないことが必要です。さらに、採用基準として、③適正・能力のみによる公平な基準を明らかにすること、④応募者の基本的人権を尊重すること、⑤新規学卒者の選考は書類選考のみによることなく必ず面接を実施することが定められています。採用選考について質問の内容等について疑問や不安を感じる場合には管轄のハローワークに相談し、公正採用に努めていただくことが大切です。なお、募集・採用時においては、障害者からの申出に応じて、過重な負担にならない範囲で採用試験や面接の実施方法について合理的配慮を提供することが義務づけられていますので留意してください。

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