【表紙】 令和8年6月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第585号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2026/7 No.585 職場ルポ 家電リサイクル工場で一緒に働き、地域を支える アクトビーリサイクリング株式会社(熊本県) グラビア 安心でおいしいペットフードをつくる 株式会社丸本 ペットフード工場(徳島県) 編集委員が行く 本業に直結する仕事が生み出す、やりがいと定着 ―NTT西日本ルセントの取組み― 株式会社NTT西日本ルセント(大阪府) 私のひとこと Dr.三好はミタ!! 〜ほんとうのさいわいをさがして〜 精神科医 三好 彩さん 「消防士、がんばれ」青森県・佐々木(ささき)健仁(けんと) 読者アンケートにご協力をお願いします! 7月号 【前頁】 心のアート ナイルワニ 永 (社会福祉法人ともに福祉会 ともに) 画材:アクリル絵の具、画用紙/サイズ:270mm×380mm  2024(令和6)年4月からともにに通所。将来は就職したいとの目標を持ち、日々のクリーニング作業、清掃作業を通し、就職に向けてこつこつと取り組んでいます。  月に1回、創作活動に参加し、図鑑や写真集のなかから気に入った動物をモチーフに、大胆な構図と、個性的な色使いで描いていきます。自分でオリジナルの色をつくり、ていねいに塗り重ねて仕上げる動物は、どことなくユーモラスで魅力的です。 (文:社会福祉法人ともに福祉会 ともに 石川(いしかわ)則子(のりこ)) 永(なが) 2005(平成17)年生まれ 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2026年7月号 NO.585 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 心のアート 前頁 ナイルワニ 作者:永(社会福祉法人ともに福祉会 ともに) 私のひとこと 2 Dr.三好はミタ!!〜ほんとうのさいわいをさがして〜 精神科医 三好 彩さん 職場ルポ 4 家電リサイクル工場で一緒に働き、地域を支える アクトビーリサイクリング株式会社(熊本県) 文:豊浦美紀/写真:官野 貴 クローズアップ 10 「合理的配慮」という希望〜人事と法務の交差点から〜 最終回 人事の節目を「対話」で乗り越える〜配置転換・評価・退職と合理的配慮〜 JEEDインフォメーション 12 令和8年度「地方アビリンピック」開催地一覧/障害者職業総合センター職業センター2025(令和7)年度成果物のご案内/障害者雇用を進める事業主のみなさまへ 就労支援機器をご活用ください! グラビア 15 安心でおいしいペットフードをつくる 株式会社丸本 ペットフード工場(徳島県) 写真/文:官野 貴 エッセイ 19 障がいのある人が働きやすくなるヒントと考え方 最終回 伴走者である「支援者さん」に“光”を 放送作家・ライター 姫路まさのり 編集委員が行く 20 本業に直結する仕事が生み出す、やりがいと定着 ―NTT西日本ルセントの取組み― 株式会社NTT西日本ルセント(大阪府) 編集委員 大塚由紀子 省庁だより 26 令和8年度 障害保健福祉部予算の概要(2) 厚生労働省 障害保健福祉部 研究開発レポート 28 作業管理支援の改良 障害者職業総合センター職業センター ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 指導技法等体験プログラムのご案内 表紙絵の説明 「消防士が火事を消すために、ホースで水をかけている様子がかっこいいなと思い、その様子を描きました。消防車を描くのがむずかしかったですが、消防士が一生懸命火を消そうとがんばっている姿や火事の炎、放水している水を、上手に描けてよかったです。将来は描いたようなかっこいい消防士になりたいです」 (令和7年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 小学生の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構 理事長賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/index.html) 【P2-3】 私のひとこと Dr.三好はミタ!! 〜ほんとうのさいわいをさがして〜 精神科医 三好彩 ハローワークの精神科医  みなさん、初めまして! 私はちょうど20年前、ハローワークの精神障害者ジョブコンサルタントから始まり、精神障害者の就労支援にたずさわらさせていただいている精神科医です。病院内での患者さんしか知らなかった私が、縁あってハローワークで精神障害者の就労支援にかかわった見聞録「ハローワークの精神科医Dr.三好はミタ」は、一般財団法人兵庫県雇用開発協会の機関誌で全4回の連載となってインターネットで見ることができるので、もしよかったらご一読ください。  障害者の法定雇用率の引上げで、「精神障害者雇用の需要が高まってきているけど、具体的にどう対応していいかわからない」、「雇用しても長続きしない」などと悩まれている企業も多いのではないでしょうか?何を隠そう、私も診察室とはまったく違う、患者さんのリアルな社会生活に触れることになり、企業もたくさん訪問し、新鮮で学ぶことが多い日々を過ごさせていただくことができたのだ!  私がミタ! ケースから精神障害者雇用がうまくいくコツについて、簡単に書いてみたいと思う。 統合失調症のAさんの例  統合失調症のAさん。多忙になると発症し入院になり退職することが2回続いた。主治医から就労の許可が出て、ハローワークに来所。これまでの経験から精神障害を開示しての障害者雇用での就労を希望。理工系の職種での職歴がある。緊張が強いがまじめできっちりとしており、穏やかな性格で症状は安定している。自宅近くの理系の会社を紹介され就職が決まる。職場は初めての精神障害者雇用で不安感も大きいため、職員に理解を深めてもらうための講義や、休憩場所の確保などの環境整備、緊張の強いAさんが徐々に慣れるようにするための仕事内容や量の調整の助言も行った。また、通院先を近くの病院に変えた。就職後も定着支援会議を行った。非常にまじめで休憩も取らずに黙々と働くため、上司から声かけして休憩時間を取ってもらうようにした。対人関係は苦手で職員とのコミュニケーションは乏しいが、慎重さが必要な仕事ではだれよりも正確にできるため、評価も高く職員との信頼関係もできていった。1年間の定着支援を行い、就業生活も安定しており終了しようとしたが、本人の不安があり、さらに半年延長して支援終了となった。 Aさんの対応のコツ  Aさんの例から具体的な対応のコツを解説してみたい。  Aさんだけでなく、繁忙で不調になる精神障害者は多い。繁忙期は仕事の量を調整するなど注意が必要だ。Aさんは、生まじめな性格で休憩を取ることを知らなかったり、対人コミュニケーションが苦手で、疲れていてもSOSを出しづらかったりしたことがこれまで災いしたようであった。そのため、休憩をうながしたり、体調の確認を行った。心身の体調管理は精神障害者には重要なので、体調に大きく影響する睡眠時間や食事の状況、心と体を分けた調子の10点満点での評価などを日報に記入してもらうこともよく行う。緊張が強い方も多く、慣れるのに時間がかかるし、臨機応変な対応が苦手な方も多いので、事前にスケジュールを伝えることが望ましい。精神障害者、知的障害者は自尊心が低い方が多いため、しっかり褒(ほ)めてあげてほしいし、ミスは冷静に修正できるように対応してほしい。  Aさんは主治医から就労の許可をもらっているが、医師は社会生活能力の判定は得意ではないため、医師の判断だけに頼らず、できれば、就職前に支援機関で職業に関する評価をしておくことも重要だ。  幻聴が活発でも就労している方はいる。就労に最も大事なのは病名でも病気の重症度や期間でもなく、体力、やる気、適応力である。まだ、回復が十分でない時期尚早ケースもよくある。通院先や職場は自宅から遠くないことが望ましい。精神障害者は疲れやすいからだ。  精神障害者の雇用に関して、活用できる制度や雇い入れの準備についての助言、職場での理解を深めるための講義は、JEEDの障害者職業センターやハローワークが無料で実施している。  Aさんは仕事とのマッチングもよく、どの職員よりも正確さを誇ることができた。また、教える立場にもなり、本人のやりがいや職員との信頼関係の構築にもつながった。  定着支援は重要で、本人の強い要望で安心できるまで続けた。 みんなのほんとうのさいわいを探して  就労は人生に大きく影響する。いろいろな企業を訪問するなかで、私が大きく感じたことは、「障害者雇用に積極的でうまく雇用できている会社は発展しているし、働きやすい職場である」ということだった。うまくできている会社は、障害者雇用を「法令遵守」や「社会的責任」という考えだけに偏らず、「当然なこと」と考えていた。  最近、プラネタリーヘルスやワンヘルスという、地球環境やすべての人の健康や平和が、みんな影響し合っていることから、一体的な健康を目ざす概念が医学でも出てきた。心の健康にもあてはまり、生命の尊厳、円環的因果律の絶対性、心の重要性が重みを増す。すべての障害者が充実した人生を送れるように、レッツ、精神障害者雇用!  最後に逆境や病気にも負けず、社会貢献に本気で取り組んだ2人を紹介したい。  ロバート・オーエンはイギリスの社会主義の祖で、労働者の雇用条件や環境改善により、人間性の高まりが起こり、よい社会が生まれるという理想主義的な社会主義で、協同組合を発案し全国に組織化した経済界の大物だ。福祉と労働衛生の先駆者で、晩年は心霊研究に基づくスピリチュアリズムの普及に人生を捧げ、心の重要性を訴えた。  そして、今年は「雨ニモ負ケズ」、「銀河鉄道の夜」で有名な宮沢(みやざわ)賢治(けんじ)の生誕130周年だ。賢治の作品には「ほんとうのさいわい」という言葉がよく出てくる。教師を辞めて、農民になり、農民のため羅須地人(らすちじん)協会(きょうかい)という私塾をつくり、病弱のなかで詩や童話を書き、たった1人で「せかいぜんたいのほんとうのさいわいのため」心象スケッチとして作品と人生を通じて静かな革命を行った。  「サウイフモノニ ワタシハナリタイ」 三好 彩 (みよし あや)  神戸大学医学部精神科に入局し精神科医として研鑽中に関節リウマチを発症。療養を契機にハローワークで精神障害者就労支援にたずさわるようになる。  現在、神戸市精神保健福祉センターの精神科嘱託医。JEEDの兵庫障害者職業センターの医療情報助言者、産業医としても活躍している。 【P4-9】 職場ルポ 家電リサイクル工場で一緒に働き、地域を支える アクトビーリサイクリング株式会社(熊本県) エコタウン事業を進める地域の産業団地の工場では、障がいのある人も一緒になって家電リサイクルに取り組み、地域活性化にもつなげている。 (文)豊浦美紀 (写真)官野 貴 取材先データ アクトビーリサイクリング株式会社 〒867-0067 熊本県水俣市(みなまたし)塩浜町(しおはまちょう)278-6 TEL 0966-62-3300 FAX 0966-62-3338 Keyword:リサイクル業、知的障害、精神障害、障害者職業生活相談員、作業体験実習、地域貢献 POINT 1 地域貢献活動の一環として、「障害福祉サービス」事業所に施設外作業を提供 2 手作業の多いパソコン解体を中心に、作業体験実習の場を提供 3 通常の障がい者雇用も行い、特性などに合わせた工場内の配置も 家電リサイクルの拠点  2026(令和8)年5月、「公害の原点」ともいわれる水俣病の公式確認から70年を迎えた。これまで水俣市は、痛ましい産業公害の舞台となった負の経験から「環境を汚さない、地球環境に負荷を与えない」ことを目ざし、市民とともにさまざまな取組みを行ってきた。2001(平成13)年には、環境保全への努力を産業創出や地域経済の活性化などにつなげる国のエコタウン事業として「みなまたエコタウンプラン」が承認を受けた。  同プランの中核事業が、工場跡地の約20ヘクタールを整備した水俣産業団地「総合リサイクルセンター」だ。現在は11の企業と団体が入り、家電やプラスチック、ガラス瓶、油、建築材などのリサイクル事業を展開している。  その一角にある「アクトビーリサイクリング株式会社」(以下、「アクトビーリサイクリング」)は1999年に設立され、2001年4月の家電リサイクル法施行と同時に水俣工場の操業を開始した。大手家電メーカー各社も株主となっており、福岡県以外の九州各地からテレビや洗濯機、冷蔵庫、エアコンなどの使用ずみ家電製品の受け入れ、解体、有用資源の回収などを行っている。2025年には新たに宇城市(うきし)松橋町(まつばせまち)で熊本工場も稼働。水俣工場から発生した家電由来のプラスチック・非鉄金属類を破砕・選別する作業を行っているそうだ。  アクトビーリサイクリングは、当初から地域の「障害福祉サービス」事業所などに作業体験実習の場を提供し、障がい者雇用にもつなげてきた。いまでは全従業員147人のうち障がいのある従業員は6人(身体障がい3人、精神障がい3人)。「障害者雇用率」は4.14%(2026年4月1日現在)という。2019年に熊本県(共催:JEED)の「障がい者雇用優良事業所」知事表彰受賞、2024年には県内6番目となる、もにす認定企業(※1)に認定されている。今回は水俣工場で働くみなさんの様子とともに、これまでの取組みについて紹介したい。 産業団地内に作業所  アクトビーリサイクリングの水俣工場の建物は5000uに及び、うち半分が解体工程、残りが破砕・選別工程として使われているそうだ。総務部門福祉リサイクル課課長の村元(むらもと)優介(ゆうすけ)さんが案内してくれた。  もっとも多くの従業員がかかわっているのは、洗濯機やテレビ、エアコンの解体現場だ。それぞれ専用のラインに沿って、流れ作業で解体されていく工程をみせてもらった。  「部品の解体で、人の手により回収できる部品・資源は、ネジを回して一つひとつ部品を取り外し、残りは破砕・選別することにより各資源に戻しています」と村元さん。その様子は、まるで製品をつくりあげる工程を、さかのぼっているようだった。家電リサイクルというのは、予想以上に手間暇がかかっていることが、本当によくわかる。  工場建屋外にある屋根つきの場所では、エアコンのフロンガス回収作業が行われており、ここでも人の手で1台ずつ処理されていた。解体後は、破砕機やさまざまな選別機械を経て鉄や銅のチップ、貴金属が混じった基板、RPF(固形燃料)など、再び資源として活用できる状態にするそうだ。  敷地内にある建屋の一つでは、パソコン機器の解体が行われていた。作業しているのは、水俣市内にある2カ所の就労継続支援B型事業所に通う利用者のみなさんだ。  作業台を囲むようにして立ち、吊り下げ式のエアードライバーを手にパソコンを解体し、バラバラになった部品を、背後に並ぶ分別容器に入れていく。村元さんによると「吊り下げ式のドライバーは身体的な負担が小さく、分別容器は部品の写真を掲示してひと目でわかるようにしました。作業台は、角などでけがをしないようゴム製の外枠をつけています」とのことだ。  部品はプラスチックをはじめ鉄類、基板など計10種類に分別しなければならないという。村元さんは「ノートパソコンのほかデスクトップパソコンやモニター、サーバーなども扱っていて、物によっては10種類以上の分別が必要です。なお記憶媒体については、一部の社員しか入室できないセキュリティールームで記憶媒体の管理・データ消去業務を行います」と説明してくれた。  「障害福祉サービス」事業所との連携は、もともと2003年、水俣市内のNPO法人環境と福祉を結ぶ会が運営する「グループ・エコ」が、家電の基板ユニットの仕分けを福祉との協同作業として始め、現在も継続して行われており、10人ほどの利用者がかかわっている。  その後2009年、アクトビーリサイクリングはパソコン解体用の建屋を開設したことから、新たに作業体験実習を「わくワークみなまた」(以下、「わくワーク」)に呼びかけた。  ここは福祉と環境保全への取組みを融合させた新たなモデル事業所として2005年、総合リサイクルセンター内に開設された。運営しているのは、水俣市が開設した水俣病認定患者のための療養施設を受託経営している社会福祉法人水俣市社会福祉事業団。わくワークでは、使用ずみペットボトルのリサイクル事業のほか、近隣企業と連携して施設内外の受託作業も行っている。  パソコンの受入れ件数が増えていくのにあわせ、さらに社会福祉法人親和会の運営する「障害者支援センター水俣福祉作業所」も加わり、現在は2事業所から多いときは利用者12人と支援員2人が来て、1日あたり100台ほどのパソコンを解体する。  作業スピードなどは個人差もあるが、「目標台数などは、まったく設定していません」と村元さん。わからないことなどがあれば、ほかの従業員がフォローしながら、楽しく訓練できるような環境づくりに力を入れているという。村元さんが説明する。  「あくまで一人ひとりの就労に向けた訓練、スキルアップの場として役立ててもらいたいと思っています。こうした場は当初から、地元企業として地域に貢献していくための活動の一環です。少しでも就労移行支援のお手伝いができればと積極的に進めてきました」  実際、ここでの作業体験実習を経て、ほかの一般企業に就職した利用者が何人もいるとのことだ。 作業体験実習を経て採用 パソコン解体の作業体験実習を経て、アクトビーリサイクリングに従業員として採用された人もいる。  総務部門福祉リサイクル課の緒方(おがた)栄二(えいじ)さん(42歳)は、もともと県外で働いていたが、20代後半に慢性腎不全と診断されたことから、退職して実家のある水俣市に戻ってきた。週3回の透析をしながら、再就職を視野に入れて、わくワークに通い始めた。間もなくアクトビーリサイクリングでのパソコン解体作業が自分に合っていると感じた緒方さんは「ここで従業員として働きたい」と思うようになったそうだ。相談を受けた支援員が、村元さんたちに相談しハローワーク経由で求人に応募、3カ月間のトライアル雇用を経て2017年に入社した。  パートタイム従業員の緒方さんは、勤務時間が、透析に通う月・水・金曜日は15時まで、それ以外は17時までのフルタイムとなっている。新しい職場はパソコン解体現場と同じ建屋内だ。解体するのはUPS(電源装置)やパネル、プリンターなど幅広く、よりやりがいもあるという。  一方で、緒方さんは毎年のように入退院を余儀なくされており、「毎回1カ月ほどの入院になってしまうのですが、傷病手当の申請を助言してもらい、復職させてもらえるのは本当にありがたいです」とのことだ。  緒方さんが日ごろから何かと助けてもらっている同僚の1人、飯干(いいほし)良(りょう)さんにも話を聞いた。飯干さんは2025年に「障害者職業生活相談員資格認定講習」(※2)を受けたことで、「目線が変わった」という。  「じつは、緒方さんが来る前に在籍していた精神障がいのある従業員と、口論になったことがありました。当時は本人の行動が理解できなかったのですが、認定講習で障がい特性について知ってから、あのとき、もう少し寄り添えたんじゃないかなと思い返しました」  また以前は、何度も同じことを聞かれるなど不思議に思ったことも、いまでは特性を理解して対応できるようになったそうだ。 試行錯誤もしながら  アクトビーリサイクリングでは、現在の代表取締役社長以下5人が「障害者職業生活相談員」の認定講習を受け、水俣工場の現場には村元さんら3人が在籍する。  2019年に講習を受けた村元さんは「実際は同じ病状や特性の方でも、一人ひとり個性や性格が違いますから、接し方や対応も人それぞれですよね。実務経験が何年あっても、対応に悩むことは出てくると思います」として、「これまで障がいのある人を採用してきましたが、なかなか定着ができずに退職していかれた人も数人います」と率直に語ってくれた。  例えば特別支援学校から新卒で入ってきたある従業員は、注意欠如・多動症(ADHD)の診断を受けていたこともあり、職場では、集中力が続かないことが徐々に増えていったという。「いろいろなことに気を取られて作業が手につかないようで、立ちすくんでいる様子がよく見られました」(村元さん)  現場の指導だけではなかなか改善に向かわなかったことから、村元さんは、「障害者就業・生活支援センター」の支援担当者に相談。本人や母親も含めみんなで主治医の話を聞きに行ったところ、じつは本人が長期にわたり薬を服用していなかったことがわかった。その後も、なかなか仕事に来なくなったり、職場から突然いなくなってほかの従業員が探し回ったりしたこともあったという。しばらくして本人は、主治医の判断で自主退職することになり、現在は就労継続支援A型事業所に通っているそうだ。村元さんは「専門知識のある方が専属として常駐していれば、もっとうまく対応できたかもしれませんが、私たちのように、工場での本業の合間を縫って対応するのは、むずかしいこともあると実感しました」とふり返る。一方、そうした試行錯誤を重ねるなかで、職場では、特性を含めた障がいへの理解や対応の幅が広がってきているそうだ。 現場で欠かせない力仕事も  次に村元さんに案内してもらったのは、エアコン室外機内に入っていた板状の熱交換器だけが集められたエリアだ。可動式の棚に積載されていたのは、板を二つにカットして特殊な機械で油抜きした状態になったものだという。  これらを破砕工程の機械に入れやすいよう、大きな可動式のカゴに移し替えていたのが、家電リサイクル部門操業課の水本(みずもと)裕哉(ゆうや)さん(29歳)だ。手作業で手際よく1枚ずつ、カゴに重ねていき、一杯になったところで、カゴごと手押ししてすぐそばの屋外待機場に移動させていた。また、作業の合間には、ほうきとちり取りを手に、床に落ちた金属片などをはき集めていた。  村元さんによると「水本さんは体力もあり、いつも元気に一生懸命仕事に取り組んでもらっています」とのことだ。  水本さんは、福岡県内の特別支援学校を卒業後、食品加工会社で、野菜の袋詰め作業などの仕事を6年半続けていたそうだ。その後、父親の仕事の事情で、父親の実家がある水俣市に家族で引っ越すことになり、水本さんも退職。父親のつてを頼って、水俣市社会福祉事業団が運営する「障害者就業・生活支援センター」に相談し、アクトビーリサイクリングを紹介されたという。  2022年に入社した水本さんが最初に担当したのは、プラスチックの選別作業だった。しかし宇城市の熊本工場で本格的なプラスチック選別回収が行われることになったため、熱交換器の移し替え作業に配置換えとなったそうだ。「それまで移し替え作業は別の従業員が担当していましたが、若くて体力のある水本さんがやってくれるようになり、助かっています」と村元さん。  水本さんは、いまの仕事について「毎日、同じ作業で覚えやすくて、よかったです。けがをしないよう周りに気をつけています」と笑顔で話す。こちらから「熱交換器は重いでしょう」と問いかけると「いえ、重くないですよ」と即答してくれた。毎月のお給料で、好きな本などを買っているそうだが、お弁当代2万円を母親に渡しているほか、貯金もしているという。最後に「ずっと働き続けられるよう、がんばりたいです」と語ってくれた。 地域貢献への思い  2025年10月から本格操業した宇城市の熊本工場では、家電から出る廃プラスチックに加え、携帯電話といった小型家電などのリサイクル事業などを行っている。  ここでも水俣工場と同じように、「障害福祉サービス」事業所などに作業体験実習の場を提供しているそうだ。あらかじめ宇城市の協力を得て呼びかけたところ、説明会に周辺地域から16施設が参加。「このなかから、こちらで提示した作業を持続的に行える二つの就労継続支援B型事業所と、就労継続支援A型事業所の3事業所に絞らせてもらいました」(村元さん)。現在は利用者15人ほどが、小型家電の選別作業などを行っているそうだ。  「こうした作業体験実習の場は、私たちの地域ではそんなに多くはないと聞いています。施設の支援員さんからも、『もう少し増やせませんか』との相談がありますが、場所も手狭なところもあってなかなか期待に応えられていないのが残念です」という村元さんは、「個人的な思いとしても、今後も可能なかぎり、こうした就労支援の場を増やしていきたいですし、直接雇用にもつなげていきたいです」と話してくれた。  取材中、村元さんからは地域貢献という言葉が何度も出てきた。「障害福祉サービス」事業所との連携だけでなく、地域の清掃活動からお祭り、競り船大会といったイベントへの参加、さらには2024年に発足した女子サッカーチーム「水俣ユニオンフットボールウイメン」の所属メンバーを従業員として採用し職場ぐるみで応援している。社内ではフットサルクラブやソフトボールクラブなど、仕事以外で楽しめる活動にも力を入れており、こうした数々の実績から2018年に「熊本県ブライト企業」に認定された。「ブライト企業というのは、ご家族も含めて満足度が高いということで、求職者へのアピールにもなります」と教えてくれた村元さんの話からは、ほかの地方都市と同じように人口減少が続く水俣で、地域貢献をしながら少しでも多くの人たちと一緒に働き、ともに水俣を活性化していきたいとの思いも伝わってきた。 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、アクトビーリサイクリング株式会社様のご意向により「障がい」としています ※1 「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)」については、厚生労働省ホームページをご覧ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/monisu.html ※2 「障害者職業生活相談員資格認定講習」については、JEEDホームページをご覧ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/employer/employer04/koshu.html 写真のキャプション アクトビーリサイクリング株式会社は、テレビやエアコンなどの家電リサイクルを手がけている 総務部門福祉リサイクル課課長の村元優介さん テレビの解体ライン。家電リサイクルは人の手で行われている 吊り下げ式のエアードライバー 基板や部品を入れるコンテナには、写真が貼られており、選別しやすい パソコン機器の解体・選別が行われている建屋 パソコンの解体工程では、就労継続支援B型事業所の利用者が活躍している 緒方さんは、モニターやプリンターなどパソコン機器の解体・選別を担当している 総務部門福祉リサイクル課の緒方栄二さん 緒方さんの同僚で「障害者職業生活相談員」の飯干良さん 家電リサイクル部門操業課の水本裕哉さん 破砕工程に向け、熱交換器を大型のカゴに移し替える水本さん 水本さんは作業の合間に、床に落ちた金属片をはき集めていた 【P10-11】 クローズアップ 「合理的配慮」という希望 〜人事と法務の交差点から〜 最終回 人事の節目を「対話」で乗り越える 〜配置転換・評価・退職と合理的配慮〜  2016(平成28)年4月の障害者雇用促進法改正により、事業主には障害のある労働者に対する合理的配慮の提供が法的に義務づけられ、それ以降、働く障害者のみなさんの間では、合理的配慮への期待が大いに高まっているのを感じます。  弁護士の小島健一さんが解説してきた本連載も最終回となりました。最後は、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の観点から合理的配慮を企業内で進める意義についてお伝えします。 執筆者プロフィール 鳥飼(とりかい)総合法律事務所 弁護士 小島(こじま)健一(けんいち)さん  人事労務を基軸に、問題社員処遇から組織・風土改革、産業保健、障害者雇用まで、紛争予防・迅速解決を助言・支援。日本産業保健法学会理事など、労働法務・人事労務と産業保健を架橋する諸活動を行う。精神・発達障害者の就労、治療と仕事の両立などの執筆・講演多数。 はじめに:合理的配慮の「対話」はキャリア形成支援である  前回までの連載では、合理的配慮の概念の再定義(第1回)、募集・採用段階の配慮(第2回)、雇用開始時の対話と周知(第3回)、日々の業務・労務管理における管理職支援と虐待防止、外部資源(第4回)を検討してきました(※)。最終回は、配置転換、評価と昇進、そして休職と退職という人事上の「節目」における合理的配慮を取り上げます。  これらの節目に通底する視点として、「キャリア」を意識したいと思います。合理的配慮をめぐる対話とは、障害のある労働者が自分の特性や制約と向き合い、自分らしい職業人生を主体的に描いていくプロセス――キャリア形成の支援そのものなのです。引き続き、賛多(さんた)弁護士との対話形式でご説明します。 1 配置転換 ―「できること」を広げるための対話 Q 人事担当者  障害のある社員に新しい業務を担当してもらいたいのですが、本人が不安を示しています。業務の幅を広げていくうえで、どのような配慮が必要でしょうか。 A 賛多弁護士  障害者雇用の現場では、特定の業務に限定した雇用を続けると、業務量の変動や業務自体の消滅により雇用の継続が困難になるリスクがあります。本人の成長と雇用の安定のためには、新しい業務にも挑戦してもらうことが望ましい場面は少なくありません。障害のある社員が多い職場では、相互の公平感への配慮も必要です。  とはいえ、新しい業務への不安は自然なことです。環境の変化自体が大きな負荷となる障害特性もあります。ここで大切なのは、「異動するか否か」を論点にするのではなく、異動先でどのような障壁が予想され、それをどう取り除けるかを本人と一緒に検討する「対話」です。  その際、本人の「キャリアのストーリー」を一緒に描くという視点が有効です。その人の持ち味と歩んできた道のりをふり返ることで、本人も気づいていなかった可能性が見えてくることがあります。「できない」という思い込みではなく、「どうすればできるか」を対話で探ることで、異動は「できること」を広げる成長の機会になり得ます。 2 評価と昇進 ―配慮したうえで公正に評価する Q 人事担当者  「配慮が必要な社員を、ほかの社員と同じように評価してよいのか」と現場から声が上がっています。一方で、配慮を意識するあまり評価を甘くするのも違う気がします。どう整理すればよいですか。 A 賛多弁護士  合理的配慮は、評価基準をなくすことでも、昇進を保障することでもありません。しかし、必要な配慮を欠いたまま低い評価を下すこともまた、公正ではありません。  例えば、口頭指示だけでは理解がむずかしい人に、指示の明確化という基本的な配慮もせずに「指示理解力が低い」と評価することは、原因(障壁)を取り除かずに結果だけを評価していることになります。感覚過敏や対人不安に配慮した環境調整を行わずに「協調性がない」と決めつけるのも同様です。  他方、配慮があるからといって成果を一切問わないのでは、本人のキャリア形成にとってもマイナスです。重要なのは、評価の軸を具体化すること。曖昧な「総合評価」ではなく、報告の正確性、納期遵守、定型業務の品質、チーム内での連携方法など、本人が「何を目ざせばよいか」を理解できる基準を設定する。配慮を提供したうえで、その基準に照らして公正に評価するのです。  昇進も同じです。「配慮が必要だから管理職は無理」と一律に考えるのは誤りです。管理職に求められる機能――意思決定、業務管理、育成、説明責任など――を分解し、どこに強みがあり、どこに支援が必要かを見きわめること。その検討なしに昇進の機会を閉ざせば、それは機会の剥奪になりかねません。  「配慮したうえで公正に評価する」。この原則を貫くことで、「障害のある社員を特別扱いしている」のではなく、「すべての社員を公正に評価している」という組織の納得感が生まれます。 3 休職と退職 ―「次の一歩」を支える対話 Q 人事担当者  障害のある社員がメンタルヘルス不調のため長期休職中で、休職期間の満了が近づいています。復職可否の判断に合理的配慮はどう影響しますか。 A 賛多弁護士  復職の検討で最も大切なのは、「どこに戻すか」の前に、「なぜ従前の業務でうまくいかなくなったのか」をていねいに掘り下げることです。不調の背景には、業務内容や量との不適合、上司や同僚との関係、職場環境の変化、障害特性の現れ方の変化や、二次的なメンタルヘルス不調の重なりなど、さまざまな要因があり得ます。この「なぜ」を、本人・産業医・人事の対話を通じて探求しなければ、ただ業務や職場を変えて復職させても同じ問題が再び生じかねません。  原因が見えてきたら、二つの視点から対応を検討します。一つは、人に適合する仕事を担当させる「適材適所」の視点。業務内容や職場環境との不適合が原因であれば、本人の持ち味を活かせる配置や業務の再設計を検討します。もう一つは、仕事への人の適応をうながす「適応支援」の視点。第3回で述べた「耐容(tolerance)」の考え方にも通じますが、訓練や段階的な負荷の調整を通じて、本人の対処力を高めていく途を探ります。不調の原因が職場の人間関係や指導方法にあるのなら、まずそちらへの手当が先です。第4回で紹介したO公立大学法人事件が示すように、こうした多角的な検討プロセスを欠いたまま退職・解雇に踏み切ることは、重大な法的リスクをともないます。  あらゆる検討を尽くしてもなお復職が困難な場合、退職に至ることもあります。しかし、その場合でも、なぜ就労継続がむずかしいのかをていねいに説明し、退職後も利用可能な社会資源(障害年金、就労移行支援事業、障害者就業・生活支援センターなど)の情報を提供すること。それは、本人のキャリアのストーリーがその職場を離れた後も続いていくことを支える「最後の対話」です。 おわりに:合理的配慮が拓くDE&Iの未来  全5回を通じて、雇用のあらゆる場面で合理的配慮が求められることを確認してきました。最後に強調したいのは、合理的配慮の対話が障害のある労働者自身のキャリア形成を支えるプロセスでもあるということです。障害や傷病という制約と向き合い、受け容れながらも、「どうすれば自分らしく働けるか」を考え工夫していく営みは、本人が自分の人生の主導権を取り戻すことにほかなりません。その人の持ち味と歩んできた道のりに根ざした物語を、自分の言葉で描くことをうながす「対話」こそが、合理的配慮の核心です。  そしてこの営みは、障害者雇用だけの「特別な課題」ではありません。なんらかの制約を抱えながらも自分らしく働く力を育てることは、すべての労働者に普遍的なテーマです。一人ひとりの障壁に向き合い、「どうすればできるか」を対話で見出す営みは、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の実践そのものです。合理的配慮は法的義務であると同時に、多様な人材の力を引き出し、企業価値を高める経営戦略でもあるのです。  第1回で引用した、丹野(たんの)智文(ともふみ)さんが紹介する障害当事者の「工夫するということは生きているってことだ」という言葉を、もう一度かみしめたいと思います。制約のなかで工夫し続けること、対話を通じて自分のキャリアを描き続けること。それは、障害のある人もない人も、ともに成長し続けるための営みであり、本連載のタイトルに込めた「希望」そのものなのです。 ※本連載の第1回〜第4回はJEEDホームページでご覧になれます。 (第1回・2026年3月号) https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/backnumber2025.html (第2回・2026年4月号〜第4回・2026年6月号) https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/backnumber.html (第1回) (第2回〜第4回) 【P12-14】 JEED インフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 ◆令和8年度「地方アビリンピック」開催地一覧◆ 各都道府県における障害者の技能競技大会「地方アビリンピック」が下記の日程で開催される予定です。 アビリンピック マスコットキャラクター アビリス 都道府県 開催日 会場 北海道 10月3日(土) 北海道職業能力開発促進センター 青森 10月下旬 青森職業能力開発促進センター ホテル青森 岩手 7月26日(日) 岩手県立産業技術短期大学校 矢巾キャンパス 宮城 7月11日(土) 宮城職業能力開発促進センター 秋田 7月9日(木) 秋田市にぎわい交流館AU 山形 7月2日(木) 山形国際交流プラザ(山形ビッグウイング) 福島 7月4日(土) 福島職業能力開発促進センター 茨城 7月11日(土) 7月12日(日) 茨城県職業人材育成センター 栃木 7月4日(土) 栃木職業能力開発促進センター 障害者スポーツセンター(わかくさアリーナ) 群馬 7月4日(土) 群馬職業能力開発促進センター 埼玉 @7月4日(土) A7月11日(土) @国立職業リハビリテーションセンター A埼玉職業能力開発促進センター 千葉 11月28日(土) 千葉職業能力開発促進センター 東京 2月中旬〜下旬 東京障害者職業能力開発校(職業能力開発総合大学校) 神奈川 @10月24日(土) A10月31日(土) @関東職業能力開発促進センター A神奈川障害者職業能力開発校 新潟 9月5日(土) 新潟市総合福祉会館 ホテルグローバルビュー新潟 富山 7月18日(土) 富山市職業訓練センター 富山県技術専門学院 石川 10月18日(日) 石川職業能力開発促進センター 福井 @6月20日(土) A7月11日(土) @福井職業能力開発促進センター A福井県立福井産業技術専門学院 山梨 10月4日(日) 山梨職業能力開発促進センター 長野 7月11日(土) 長野県障がい者福祉センター サンアップル 岐阜 7月11日(土) ソフトピアジャパンセンターセンタービル 同センタードリーム・コア 静岡 @7月7日(火) A7月11日(土) @静岡職業能力開発促進センター A静岡市東部勤労者福祉センター清水テルサ 愛知 @6月6日(土) A6月14日(日) B6月21日(日) C6月27日(土) @大成今池研修センター A中部リハビリテーション専門学校 B愛知県立名古屋聾学校 C中部職業能力開発促進センター 都道府県 開催日 会場 三重 6月27日(土) 三重職業能力開発促進センター 滋賀 11月14日(土) 近畿職業能力開発大学校附属滋賀職業 能力開発短期大学校 京都 1月30日(土) 京都府立京都高等技術専門校 京都府立京都障害者高等技術専門校 大阪 @6月20日(土) A7月4日(土) @A関西職業能力開発促進センター @社会福祉法人日本ライトハウス 視覚障害リハビリテーションセンター 兵庫 6月20日(土) 7月4日(土) 兵庫職業能力開発促進センター 奈良 7月11日(土) 奈良職業能力開発促進センター 和歌山 7月4日(土) 和歌山職業能力開発促進センター 鳥取 6月25日(木) 鳥取県立福祉人材研修センター 島根 7月11日(土) 島根職業能力開発促進センター 岡山 7月4日(土) 7月11日(土) 岡山職業能力開発促進センター 広島 7月18日(土) 広島職業能力開発促進センター 山口 10月17日(土) 山口職業能力開発促進センター 徳島 6月27日(土) 徳島職業能力開発促進センター 徳島ビルメンテナンス会館 香川 1月〜2月ごろ 未定 愛媛 7月4日(土) 愛媛職業能力開発促進センター 高知 @6月27日(土) A7月4日(土) @学校法人龍馬学園 龍馬デザイン・ビューティ専門学校 A高知職業能力開発促進センター 福岡 @7月4日(土) A7月11日(土) @福岡職業能力開発促進センター Aクローバープラザ 佐賀 1月ごろ 佐賀職業能力開発促進センター 佐賀勤労者総合福祉センター(メートプラザ佐賀)(予定) 長崎 7月4日(土) 長崎職業能力開発促進センター 熊本 6月28日(日) 熊本職業能力開発促進センター 大分 10月3日(土) 大分職業能力開発促進センター 宮崎 7月4日(土) 宮崎職業能力開発促進センター 一般社団法人宮崎県ビルメンテナンス協会 鹿児島 @7月6日(月) A7月11日(土) @鹿児島ホテル短期大学校 A鹿児島職業能力開発促進センター 沖縄 7月11日(土) 沖縄職業能力開発大学校 ※2026年6月10日現在 詳細は、JEEDホームページをご覧ください。 地方アビリンピック 検索 アクセスはこちら! ・開催地によっては、開催日や種目ごとに会場が異なります。 ・日程や会場については、変更となる場合があります。 障害者職業総合センター職業センター 2025(令和7)年度成果物のご案内  障害者職業総合センター職業センターでは、発達障害者、精神障害者および高次脳機能障害者それぞれの障害特性や事業主のニーズに応じた新たな職業リハビリテーション技法の開発と改良を行っています。また、その成果を支援マニュアル等に取りまとめて、幅広い普及に努めています。  2025年度は、以下の三つの技法開発に取り組み、実践報告書を発行しました。 ◆実践報告書 No.43 「作業管理支援の改良」  作業の一連の工程を的確に処理し、タスクを完了させる力(作業管理能力)をアセスメントし、作業管理を妨げる要因や対処方法を検討する「作業管理支援」の改良に関する取組みについて、事例をもとに実施方法や留意点を紹介しています。  今回の改良では、在職中および休職中の発達障害者のみならず、精神障害者や高次脳機能障害者など認知機能の障害がある方や、求職中の方にも幅広く活用いただけるようになりました。また、「行動観察シート」や「ふりかえりシート」を見直し、作業管理を妨げる要因を特定することよりも「どうすればうまくいくか」について、より着目したふり返りが進められるよう改良し、実用性の向上を図りました。(2026年3月発行) ※今号の「研究開発レポート」(28ページ)で、本報告書の概要についてご紹介しています。 ◆実践報告書 No.44 「雇用管理場面における職場適応を促進するための相談技法〜自社社員との相互理解を図る視聴覚教材〜」  雇用管理場面において、障害のある自社社員が能力をより発揮できる環境を事業主がつくっていくことが大切です。  そこで、今回は雇用管理担当者と障害のある社員との相互理解を促進し、双方向のコミュニケーションを生み出すきっかけとなる、両者が「ともに学ぶ」形式の視聴覚教材を開発しました。視聴覚教材活用のポイントと注意点、実施方法等を本報告書に取りまとめています。また、別冊には視聴覚教材と各種配付資料を掲載しています。(2026年3月発行) ◆実践報告書 No.45 「在職中の高次脳機能障害者の職場再適応に向けた支援技法の開発」  在職中の高次脳機能障害者への支援においては、改善すべき課題があっても、支援者の介入はさまざまなむずかしさがあります。今回の開発では、支援につながる具体的な方策や本人および事業所が利用しやすい柔軟な支援体制について検討しました。  本報告書では、開発したツール(「相談シート:思い当たることはありませんか?」、「職場の“今”の共有シート」)や、実践した支援内容(ジョブコーチ支援と支援プログラムのハイブリッド支援、在職者のグループミーティング)について具体的に紹介しています。(2026年3月発行) ◎障害者職業総合センターホームページ(NIVR)から、全文やすぐに使える資料等をダウンロードできます。 https://www.nivr.jeed.go.jp/center/index.html <お問合せ先>障害者職業総合センター職業センター 企画課調整係 TEL:043-297-9043 障害者雇用を進める事業主のみなさまへ 就労支援機器をご活用ください! 「就労支援機器」とは障害者の就労を容易にするための機器のことで、例えば以下の機器があります。 視覚を補助する機器 ●拡大読書器 据置型、携帯型、ポータブル型など各種あります。 見え方、作業環境、見る対象物などの条件に合わせて選択できます。 ●パソコン支援ソフト ・画面読上げソフト(PC-Talker、JAWS)、画面拡大ソフトなどがあります。特に画面読上げソフトは、就労の場では必須のアイテムです。 ・近年は、PDF対応などでOCRソフトの需要が高まっています(MyRead7)。 聴覚を補助する機器 ●デジタル補聴援助システム 補聴器や人工内耳に送信機(マイク)が拾った音を直接届けることができるシステムです。職場では、会議や打合せの場面でとても有効に活用できます。音声認識アプリとの併用も検討できます。またリモート会議のパソコンなどAV機器への接続も可能です。 感覚過敏に対応する機器 ●ノイズキャンセラー ●イヤーマフ ●パーテーション 聴覚的・視覚的な刺激を低減させることで周囲の状況に影響されずに集中して就労できる環境を整えます。 問合せ急増中!  当機構(JEED)の『就労支援機器貸出・相談窓口』では、障害者を雇用している、または雇用しようとしている事業主に無料で就労支援機器の貸出しを行っています。 貸出制度の概要 貸出しの対象 障害者を雇用している、または雇用しようとしている 事業主 ※国、地方公共団体、独立行政法人などは対象外です ※職場実習やトライアル雇用の場合も利用できます 貸出し機器 上で紹介した機器をはじめ、各種取りそろえています 貸出し期間 原則、6カ月以内 (必要に応じて1回のみ、最大6カ月の延長が可能) 費用 機器をお届け、回収する料金を含め、無料です 貸出制度の詳細はこちら https://www.kiki.jeed.go.jp/index.php 貸出制度のメリットは何ですか? メリット1 実際の就労の場面で支援機器を試せます! ・最新の機種、いままで使ったことのない支援機器が試せます。 ・もちろん使い慣れた支援機器の、職場での適応性も確認できます。 それにより、 新たな職域の開拓 作業効率の向上 就労環境の整備 などの検討が可能になります。 メリット2 すぐに、無料で支援機器が使えます! 申請書をいただいてから、納品までは2週間程度です。 支援機器を借りた方の声 ・画面読上げソフトについて、貸出制度を利用して社内のシステムを読み上げるか確認し、そのうえで購入することができました。 ※高知システム開発製のソフト(PC-Talker、MyRead7など)はソフト単体での貸出しも可能です ・デジタル補聴システムを使用することで、周囲のさまざまな音のなかから、集中的に聞き取りたい音だけが聞こえるようになり、打合せなどさまざまな場面で便利に活用しています。 ・パーテーションについて、実際に会社の自席に設置した結果、周りが気にならなくなり集中して仕事ができるようになりました。 お問合せ先 就労支援機器貸出・相談窓口 〒130-0022 東京都墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5F TEL:03-5638-2792 E-mail:kiki@jeed.go.jp 【P15-18】 グラビア 安心でおいしいペットフードをつくる 株式会社丸本 ペットフード工場(徳島県) 取材先データ 株式会社丸本(まるもと) ペットフード工場 〒775-0310 徳島県海部郡(かいふぐん)海陽町(かいようちょう)大井字(おおいあざ)大谷(おおたに)41 TEL 0884-73-1113 FAX 0884-73-0251 写真・文:官野 貴  徳島県海陽町に本社を置く株式会社丸本(以下、「丸本」)は、地元ブランドである阿波尾鶏(あわおどり)の販売や食品およびペットフードの製造・加工・販売を手がける。現在、障害のある従業員14人が、食品製造の現場で活躍しており、ペットフード工場で働く知的障害のある木屋野(きやの)彩那(あやな)さん(28歳)は、入社7年目だ。  取材時、木屋野さんは、ジャーキーに加工するササミを手慣れた手つきで乾燥用トレイにきれいに並べていた。さらなるステップアップを目ざし、ササミチップスのケーシング(ビニール)を剥(は)がす工程にも挑戦中で、「ビニールが残らないよう、気をつけて作業しています」と教えてくれた。  ササミジャーキーの計量・袋詰めを行っていた寺岡(てらおか)大海(おおみ)さん(18歳)は、近隣の特別支援学校を卒業し、今年4月に丸本に入社したばかりの期待の新人。在学中の職場実習を経て入社を決めたという。「仕事の仕上がりを褒(ほ)められるとうれしく、達成感があります」と笑顔を見せる。この日は、母校の先生との面談も行われ、近況を報告した。  身体障害のある大東(おおひがし)剛(たけし)さん(37歳)は、入社して12年。原材料や製品の入出庫伝票の作成などの事務処理を担当している。また、品質管理の水分量測定も大東さんの重要な業務の一つだ。「仕事は楽しく充実しています」と話す。  丸本では、障害者職業生活相談員の社員と各部署の担当者が、業務のふり返りなどを行い、安定して働くことができるように本人との面談を実施している。また、就労支援機関とも連携をとり、労働環境への配慮や生活面のサポートも行っている。  これらの取組みが評価され、2024(令和6)年に、「もにす(障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度)」の認定を受けた。丸本では、今後も特別支援学校や就労支援機関と連携し、障害者雇用に取り組んでいく予定だという。 写真のキャプション 同僚とともに「ササミの手並べ」と呼ばれる工程にあたる木屋野彩那さん(右) 骨などの異物を取り除きながらササミを乾燥用トレイに並べる 同僚と息を合わせて、トレイを乾燥用ラックにセットする ササミジャーキーの計量・袋詰めの業務を行う寺岡大海さん。基準値に合わせ、ジャーキーの本数を調整する 計量を終えたジャーキーを袋に入れる 充填機から送り出されたケーシングの端部をひねって絞り、形を整える寺岡さん 母校である特別支援学校の先生と面談をする寺岡さん ケーシングの皮剥ぎを行う木屋野さん(右) 皮剥ぎを終えた半製品。スライスと乾燥を経てササミチップスとなる 休憩中の1シーン。同僚と談笑する木屋野さん 大東剛さんはペットフード工場の事務業務を担当している 出荷伝票の入力作業にあたる大東さん 水分量の測定。設定の異なる測定装置2台を同時進行で使用する 測定の前準備として、ペットフードを細かく切り刻む 細かく切り刻んだペットフードを測定装置にセットする 測定後、数値を記録簿に記入する。水分量は、工場の担当部署にも伝え、乾燥時間の調整などが行われる 【P19】 エッセイ 障がいのある人が働きやすくなるヒントと考え方 最終回 伴走者である「支援者さん」に“光”を 放送作家・ライター 姫路(ひめじ)まさのり  放送作家として、数多くのテレビ・ラジオ番組の制作をにない、ライターとして、新聞や雑誌、ウェブメディアで記事を執筆。同時に、ダウン症をはじめ、自閉症などの障がい、HIV・AIDSなどの支援事業にたずさわり、当事者の声を取材。執筆や講演活動を通し、その思いを伝える。  著書に『ダウン症で、幸せでした。〜10年追いかけて分かった幸福の秘密』(東京ニュース通信社・講談社、2025年)、『障がい者だからって、稼ぎがないと思うなよ。〜ソーシャルファームという希望』(新潮社、2020年)などがある。 ダウン症の退行を目のあたりにした父親の後悔  過去4回の連載(※)では、働く意識や考え方を中心にお伝えしてきましたが、最終回は、みなさんの周りにもいらっしゃるであろう「ダウン症」について、お話しさせていただきます。私は足掛け10年以上、ダウン症の方や、ご家族の取材を続けてきました。そんななか、あるお酒の席で、お父さんからこんな話を聞かされました。  「ダウン症の息子が20歳を超えてね。自宅と作業所のくり返しが続いて、ある日、昨日できていたことが急にできなくなってね。あれよあれよと生活能力が落ちて、しゃべる言葉も少なくなってしまった。いまとなっては遅いけど、親としてもっと何かしてあげられたんじゃないかな…」  じつはダウン症に関しては、青年期を迎えて突然、生活能力が急激に落ちる、会話が減る、動作が緩慢になる、というケースが多く見受けられます。こうした現象は「退行」や「早期老化」ともいわれますが、その原因や背景は、はっきりとわかっていません。 自宅と作業所のくり返しで“成長を諦める”?  ダウン症の人は、ペースこそゆっくりでも、私たちと同じように成長します。しかし、学校を卒業して社会に放たれた途端、「成長するための学びの場」が極端に減ってしまう現実があります。もし、みなさんが同じ立場ならどう感じますか? 新しい取組みや自分の可能性にもチャレンジしたい。しかし、与えられる作業内容は同じことのくり返し…。私自身、学生時代より働いてからの方が “宿題”という提出物や残業に追われ、壁にぶちあたったり、考えを巡らすことが増えました。しかし、そういう環境のなかでこそ、「社会人としての成長」を実感することもあります。ダウン症の方の場合、そうした成長のない日々のくり返しが続くなか、どこかで“学ぶことを諦めてしまう瞬間”があるように感じるのです。  「もう成長しなくていいんだ。もうがんばらなくていいんだ」  そう感じさせてしまう現実が、成長を止めてしまう=退行の一因であると感じてしまうのです。  私がこの連載でお伝えしたかったのは、個々の事例ではなく、個々の向き合い方です。障がいのある人が、目の前の作業にやりがいを感じていると思われますか? 成長をうながせる取組みにつながっていますか? 無味無色とさえ感じてしまう毎日のくり返しが、「退行」という現実を生む可能性すらあるのだと、頭の片隅にでも置いておいてほしいのです。冒頭のお父さんが、後悔を飲み干すようにグラスを空にして、がっくりとうなだれた姿を、私自身、この先一生、忘れることはありません。 糸賀一雄氏の言葉“この子らを世の光に”の意味とは?  支援者のみなさまのお仕事は、障がいのある人の「自立」への一助となる大切なお仕事です。それぞれにスタートが違えば、ゴールも当然違います。働いたお金で生活することや、一人暮らしだけがゴールではありません。私が重要視するのは、むしろ途中の「給水所」としての役割です。ここまでのペースはどう? これからどう走る?目標はどうする? まさに支援者のみなさんは障がいのある人たちの伴走者です。  障がい者福祉の父といわれる糸賀(いとが)一雄(かずお)氏が残した有名なフレーズが“この子らを世の光に”です。障がいのある「この子らに世の光を」与えるのではなく、“この子らを世の光に”すべきだという信条です。糸賀氏は著書で、「この子たちも立派な生産者であるということを、認め合える社会をつくろうということである」と、その意味を解説しています。  目が回る忙しさのなか、高い志とやさしさを持ち合わせた支援者さんたちが、今日も全国の職場で働いていらっしゃいます。糸賀氏の言葉を借りるなら、当事者のみならず、そうした支援者さん自身も世の光にしていかなければいけません。  みなさまが障がいのある人の未来を照らし出し、そしてご自身にも、その「光」が照らされる社会の到来を、心より願っております。  長らくのご愛読、ありがとうございました。いつかみなさまの職場も見学させてくださいね! ★本誌では通常「障害」と表記しますが、姫路まさのりさんのご意向により「障がい」としています ※本連載の第1回〜第4回はJEEDホームページでご覧になれます。 (第1回・2026年3月号) https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/backnumber2025.html (第2回・2026年4月号〜第4回・2026年6月号) https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/backnumber.html (第1回) (第2回〜第4回) 【P20-25】 編集委員が行く 本業に直結する仕事が生み出す、やりがいと定着 ―NTT西日本ルセントの取組み― 株式会社NTT西日本ルセント(大阪府) 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 取材先データ 株式会社NTT西日本ルセント 〒534-0024 大阪府大阪市都島区東野田町4-15-82 PRISM 4F TEL 06-4800-2700 大塚(おおつか)由紀子(ゆきこ) 編集委員から  大阪市の京橋にある株式会社NTT西日本ルセントのオフィスを訪ねると、静かな雰囲気のなかで、社員一人ひとりが画面に向き合い、着実に業務を進めていた。作業の指示を待つ様子はなく、各自が役割を理解しながら仕事を進めている様子が印象に残る。  今回は、現場で働く社員の声とともに、親会社の本業に関連する業務を基盤とした障がい者雇用の取組みを紹介したい。 Keyword:情報・通信業、特例子会社、精神障害、業務創出、モジュール化、業務改善、コミュニケーションツール、キャリア支援、チーム体制による支援 POINT 1 VBA、RPA、AI等を使った業務の効率化、生産性向上 2 医療機関や支援機関との連携、全社員へキャリア研修の実施とキャリア選択の支援 3 意欲を引き出す業務改善や取組みを評価する表彰制度や発表会  NTT西日本グループの特例子会社である株式会社NTT西日本ルセント(以下、「NTT西日本ルセント」)の設立は2009(平成21)年。通信インフラにかかわる業務を中心に事業を展開している。従業員約430人のうち、約350人が障がいのある社員、そのうち精神障がいのある社員がその約4分の3を占めている。同社は「仕事の質」、「人材育成の質」、「支え続ける仕組みの質」という三つの質を重視している。 本業の仕事をになうということ  同社では現在、約300に及ぶ業務をNTT西日本グループから受託している。その7〜8割はパソコンを用いた業務であり、設備系、システム開発系、営業・共通系など幅広い領域にわたる。  通信設備に関する登録業務や設計支援、顧客データ整備、請求関連業務に加え、システム開発やWebアクセシビリティ診断など、専門性の高い業務も含まれている。  こうした業務の特徴は、単なる補助作業ではなく、「NTT西日本グループ全体の事業の一部機能をになう存在」として位置づけられている点にある。  代表取締役社長の加藤(かとう)恒明(つねあき)さんは、これまでの経緯について次のように語る。  「以前は、業務の一部を切り出して受託することが中心でした。しかし、それでは仕事の全体像が見えにくく、社員がやりがいや成長を実感しにくいという課題がありました」  その大きな転機となったのが、コロナ禍であったという。  「コロナ禍をきっかけに、これまでの業務内容や進め方について、大きな見直しを迫られました。在宅勤務も含め、柔軟に対応していく必要があったためです」  そうした変化を経て、業務の受け方そのものが見直された。  「結果として、当社の業務受託のスタイルは大きく変わりました。現在は、業務の一部を切り出すのではなく、『束』や『まとまり』として受けることを基本としています」  さらに加藤さんは、特例子会社としてのあり方について、次のように述べる。  「特例子会社だからといって親会社から仕事を与えられる、という関係では十分ではありません。業務の品質を高め、改善提案を重ねることで信頼を得て、『任せたい』と思っていただける存在になることが重要だと考えています。そうした関係性があってこそ、社員のやりがいや誇りにつながります」  そのうえで加藤さんは、社員への期待についても触れた。  「障がいのある社員は、本来それぞれが力を持っている人材です。その力を活かし、発揮できる環境を整えることが、私たちの役割だと考えています」  親会社との間には、業務創出を目的としたプロジェクト体制が構築されており、主管部門と連携しながら業務の見直しや新規案件の創出が行われている(図1)。 「束の仕事」を、個人に合わせて分ける  プロジェクトを通じて「束」で受けた仕事は、「分解して割り当てる」仕組みをとっている。加藤さんは次のように説明する。  「業務は束で受けますが、まずは細かく分解します。そのうえで、一人ひとりに合った形で割り当てています」  社内で「モジュール化」と名づけられた業務設計である。この仕組みにより、障がい特性や社員一人ひとりの得意不得意に合わせて業務を提供することができる(図2)。 業務改善や生産性向上の取組みも同時並行で  それだけではない。VBA(※1)、RPA(※2)、AI等を使った業務改善を同時に行い、業務の効率化、生産性向上を図っていく。このような取組みがNTT西日本ルセントの最大の特徴だ。  日々の業務で社員がAIを積極的に活用できるようeラーニングの機会提供や勉強会を開催している。業務で積極的にAIを使う取組みを推奨するとともに社員同士でアドバイスし合ったり、特にスキルの高い社員は「エバンジェリスト(ほかの社員への伝達者)」としてほかの社員へのサポートを行えるような仕組みも整えている。NTT西日本ルセントの社員にはシステム開発のスキルを持つ社員が在籍していることも強みである。社員がNTT西日本グループの決裁作成ツールを開発することで、NTT西日本グループ社員の決裁にかかる時間を大幅短縮し、ルール逸脱や属人化防止に貢献している。また、業務に使えるMicrosoft 365アプリケーションのカタログを整備してだれもが簡単に活用できるようにしたり、各社バラバラだったポータルサイトの運用を統一し、運用負荷とコストを削減したりと、業務改善にも大いに貢献している。  システム開発担当の社員は、開発経験(スキル)のある社員を採用しているのではなく、未経験の社員でも採用後に研修などを提供して育てているのがこれまたすごい。 現場で感じるやりがい ・設計支援業務を担当するAさん  Aさんは2021(令和3)年に入社し、入社5年目になる。通信設備の設計支援業務を担当している。  「光回線の設備に関する設計支援を行っています。エリアごとの需要に応じて、必要な構成を社内システムのデータベースに登録する業務です」  業務は複数案件を並行して進めることも多く、納期も明確に設定されている。  「最初はむずかしさもありましたが、全体の流れがわかるようになってからは、仕事の意味を実感できるようになりました。自分のかかわった内容がサービスにつながっていると感じられるのは大きいです」  現在はリーダーとしての役割もになう。  「チームメンバーの進捗をみながら仕事を進めています。メンバーが正確に仕事に取り組めるようOJT形式の習熟支援などもしています。責任はありますが、その分やりがいも感じています」  短く、こうも話してくれた。  「任されている実感があります」 ・システム業務を支えるBさん  システム系の業務を担当するBさんは2023年に入社し、入社3年目になる。システム業務におけるアカウント管理および問合せ対応を行っている。  「システム内のアカウント登録・権限変更・削除に加え、各種問合せ対応を行っています。繁忙期には対応件数が増加しますが、業務量の偏りが生じないよう、チーム全体で負荷を平準化することを意識して取り組んでいます」  業務の進め方については、次のように話す。  「単なる作業対応だけでなく、『ミスを起こさない仕組みづくり』をつねに意識しています。グループから提供されるマニュアルはありますが、それをそのまま使うのではなく、社内でもわかりやすい形に整理し、だれでも対応できるように改修しています」  また、チームでの取組みについても触れた。  「定期的に確認の場を設けて、メンバー間で理解度をそろえています。自分だけがわかればよいという仕事ではないと考えています」 ・サポート担当の松山さん  2025年7月にNTT西日本株式会社から出向し、障がいのある社員と一緒に業務を行うことと合わせてサポート役を務めている松山(まつやま)憲永(のりえ)さんにも、話を聞いた。  「入社以降、設備系の仕事に従事し、障がいのある方と働く知識も経験もありませんでした」  「私に何ができるのか不安でしたが、先入観を持つことなく働くことができてよかったと思います。適切な環境を整えることで障がいのある社員の方たちが成長し、幸せなキャリアを描けるようにサポートしていきたい」という。 理念を起点とした組織づくり  同社が掲げる理念は「私たちは、私たちの成長する姿で、世の中の仲間に夢と輝き≠届けます」である。その背景には、「障がいのある社員が働く場を確保する」ことにとどまらず、「働くことを通じて社会に貢献し、一人ひとりが光り輝く存在になる」という考えがある。社名である「ルセント(Lucent)」には、「光り輝く」という意味が込められている。加藤さんは次のように話す。  「雇用されることがゴールではなく、感謝の気持ちや働くことの意義を大切にしながら、社員一人ひとりが役割を持ち、成長していくことが重要だと考えています」  この理念は、単なるスローガンではなく、業務設計や支援体制、評価制度など、組織全体の仕組みに落とし込まれている。 支える仕組みとキャリアの道筋  日々の業務は、障がいのある社員とスタッフとで進められる。アドバイザリー担当としてカウンセラーとジョブコーチが配置され社員の状況に応じた支援が行われている。医療機関や支援機関との連携も緊密に行われている。また、自社開発のコミュニケーションツール「アスドライブ」により、日々の業務や体調、ふり返りなどを上司と共有する仕組みが整備されている(図3)。  加藤さんは、「当社社員との対話会などで『キャリアアップできない』、『給料が低い』、『引退後の生活が不安』」といった社員の不安の声や、休職者の増加が気になっていました」と話す。  これらの課題を解決しようと、社員のキャリアと社員のライフを両面からサポートする必要性を感じたそうだ。キャリア支援においては、「マネジメント型キャリア」、「プロフェッショナル型キャリア」のいずれかを選択ができ、段階的に昇級できる仕組みが整えられている(25ページ図4)。また、一人ひとりの社員が幸せなキャリアを考えられるよう、全社員へキャリア研修を実施し、希望者にはキャリアカウンセリングを行い、上司との1on1ミーティングではキャリア選択支援やレーダーチャートを用いて社員と上長ができていることと課題のすり合わせを行っている。  ライフ支援においては、ライフデザインセミナー、睡眠改善施策、看護師等の専門家等も加えて、生活・医療を含めた多面的で効果的な支援を行うチームによる体制(LST〈ルセント従業員サポートチーム〉)なども整えている(25ページ図5)。 意欲を引き出す取組み  社内には150以上の委員会が設置され活発に委員会活動が行われ、業務改善や取組みを評価する表彰制度や発表会も行われている。  さらに、近隣の特例子会社と相互交流し、お互いの職場を見学したり、社員間の意見交換なども行ったりしている。  「自分たちの働きぶりや取組みをほかの特例子会社の社員に見てもらえる機会、そして自分たちもほかの特例子会社から学びや刺激を受け、客観的に自分たちの会社を見る機会にもなっているように感じます」(加藤さん) NTT西日本ルセントのこれから  加藤さんは、今後の方向性について次のように語る。  「ここで働く社員一人ひとりが、仕事に誇りややりがいを持ち、安心して長く活躍してほしいと考えています。そのために、当社ではキャリアとライフの両面から支援を行っています。一方で、NTT西日本ルセントで働くことだけがすべてだとも思っていません。世の中にはさまざまな働き方や仕事があり、それぞれに合った選択があるはずです」  そのうえで、こう続ける。  「大切なのは、自分自身で考え、自分で選べる力を持つことだと思っています」  同社が目ざすのは、単に「障がいのある社員が働き続ける場」であることではない。  「ここで働くことが、その方にとって幸せだと思える会社でありたい。そして、どんな選択も、自分の人生を幸せにするものだと納得しながら前に進める人材を育てていきたいと考えています」  本業に直結する仕事をにない、成長と選択の機会を提供する。その積重ねを、これからも磨き続けていく考えである。 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社NTT西日本ルセント様のご意向により「障がい」としています ※1 VBA:Visual Basic for Applicationsの略。データ集計などを自動化させるプログラミング言語の一つ ※2 RPA:Robotic Process Automationの略。コンピュータ上の業務を自動化できるソフトウェアロボット技術のこと 図1 受託業務の量・質の確保の仕組み NTT西日本グループ一体で ルセントへの安定した業務創出を行うプロジェクト体制を構築 NTT西日本グループ 総責任者 総務人事部ESG推進室長 分野別主管組織の責任者 営業系主管部門長 設備系主管部門長 共通系主管部門長 ●必要な仕事量・受託額 ●配慮事項の提示 委託業務の創出・提示 ●業務の見直し提案 ●人材交流の相談等 NTT西日本ルセント ルセント側責任者 取締役事業開発部長 ルセント NTT西日本 効率化・改善→信頼・期待 スキルアップ→業務の拡充 図2 仕事の進め方「モジュール化」と「業務改善」 ■NTT西日本グループ社員の仕事の進め方 リスト作成 外部対応 データ加工 リスト作成 外部対応 データ加工 リスト作成 外部対応 データ加工 ■ルセント社員の仕事の進め方 チーム リスト作成 外部対応 データ加工 効率化 (VBA、RPA、AI等) 「モジュール化(細分化)」と「業務改善による効率化」をチームで取り組み、ミスを減らして、生産性向上! (資料提供:株式会社NTT西日本ルセント) 図3 自社開発のコミュニケーションツール「アスドライブ」の活用 障がい者社員が開発した社員の日々管理、キャリア支援ツール「アスドライブ」で、上司と社員のコミュニケーション、上司へのカウンセラー面談内容の共有等に活用 社員本人 アスドライブ 日報システム 体調 業務記録 振り返り 上長コメント キャリア支援 パーパス キャリアビジョン 業務目標 上長コメント 社員対応記録システム 相談内容 対応内容 健康管理指示 社員の上司・スタッフ カウンセラー (資料提供:株式会社NTT西日本ルセント) 図4 NTT西日本ルセントのキャリアアップ制度 キャリア 「マネジメント型キャリア」「プロフェッショナル型キャリア」のいずれかを選択 マネジメント型キャリア プロフェッショナル型キャリア ジョブクラス1 担当課長 ジョブクラス2 ジョブクラス3 主査 マスター ジョブクラス4 主任 キャリアチェンジ可能 チーフリーダー ジョブクラス5 リーダー リーダー ジョブクラス6 マネジメント型 キャリア選択 プロフェッショナル型 契約社員 (資料提供:株式会社NTT西日本ルセント) 図5 生活・医療含めた多面的支援を行うルセント従業員サポートチーム(LST) ライフ 看護師等の専門家等も加えて、生活・医療含めた多面的支援を行う チームを創設し、毎月対象社員についてのミーティングを開催 LST(ルセント従業員サポートチーム) 社員 社外環境等ヒアリング アドバイザリー担当 上長(サポート担当) 看護師等 産業医 家庭訪問・保護者面談 家庭 診察同行・情報共有等 主治医 支援機関 (資料提供:株式会社NTT西日本ルセント) 【P26-27】 省庁だより 令和8年度 障害保健福祉部予算の概要(2) 厚生労働省 障害保健福祉部 ※(1)は前号(2026年6月号)に掲載しました。 https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/book/hiroba_202606/index.html#page=28 2 地域移行・地域定着支援などの精神障害者施策等の推進 1 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築 8.3億円(8.4億円)  精神障害者等が地域の一員として安心して自分らしく暮らせるよう、住まいの確保支援を含めた精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を目指す。  さらに、市町村等が実施する精神保健に関する相談支援について、精神障害者のほか精神保健に課題を抱える者も対象とされたことから、構築に資する取組について更なる推進を図る。  また、市町村長同意による医療保護入院者等を対象とした実効的な支援のため、都道府県等において、訪問支援員が精神科病院を訪問し、患者の話を丁寧に聴きつつ必要な情報提供を行う体制の更なる構築を図る。 2 精神科救急医療体制の整備 18億円(18億円)  地域で生活する精神障害者の病状の急変時において、早期に対応が可能な医療体制及び精神科救急情報センターの相談体制を確保するため、引き続き地域の実情に応じた精神科救急医療体制を整備する。  また、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に資する精神科救急医療体制整備を推進するとともに、依存症患者が救急医療を受けた後に適切な専門医療や支援等を継続して受けられるよう、依存症専門医療機関等と精神科救急医療施設等との連携体制を構築する。 3 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に関する医療提供体制の整備の推進 190億円(188億円)  心神喪失者等医療観察法に基づく医療を円滑に行うため、引き続き指定入院医療機関を整備し、地域偏在の解消を進める。  また、指定医療機関の医療従事者等を対象とした研修や指定医療機関相互の技術交流等により、更なる医療の質の向上を図る。 【令和7年度補正予算】 ・心神喪失者等医療観察法指定入院医療機関施設整備事業 53百万円  心神喪失者等医療観察法指定入院医療機関の医療観察法病棟について、防災・減災の観点から、大規模修繕に必要な施設整備を実施する。 4 アルコール健康障害対策・薬物依存症対策・ギャンブル等の依存症対策の推進 @アルコール・薬物・ギャンブル等の依存症対策の推進 8.4億円(8.4億円)  アルコール、薬物、ギャンブル等の依存症患者やその家族等が必要な治療や支援を受けられるよう、全国拠点機関において、依存症対策に携わる人材の養成等に取り組むとともに、各依存症の調査研究を推進する。  都道府県等において、依存症の治療・相談支援等を担う人材を育成することや、相談拠点や専門医療機関等の設置を行うことにより、各地域における医療・相談支援体制の整備等を推進する。  また、依存症の正しい理解を深めるための普及啓発を実施するほか、相談支援や普及啓発等に全国規模で取り組む民間団体を支援する。 【令和7年度補正予算】 ・依存症に係る医療の充実等を図るための支援 2・2億円  アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル等依存症及びゲームに関連する問題など、依存症の実態解明や地域の現状・課題に関する調査研究を実施する。 Aアルコール健康障害対策の推進 8百万円(8百万円)  アルコール健康障害対策基本法及びアルコール健康障害対策推進基本計画に基づき、飲酒に伴うリスクに関する知識の普及啓発や、都道府県におけるアルコール問題に関する横断的取組を支援する。 5 高次脳機能障害者の支援施策の推進 1.3億円(1.3億円)及び地域生活支援事業の内数  高次脳機能障害者及びその家族等を支援するため、都道府県等において、高次脳機能障害者支援センターを設置し、高次脳機能障害への正しい理解を促進するための普及啓発や支援コーディネーターによる相談支援等を行うほか、高次脳機能障害者支援地域協議会を設置し、地域の実情に応じた支援体制の協議、課題の共有、地域の関係機関の連携体制の整備等を推進する。  また、高次脳機能障害者への支援体制をさらに充実させるため、高次脳機能障害の診断、治療、リハビリテーション等を行うことができる専門的な医療機関を確保するための取組や当事者・高次脳機能障害者の家族等が互いに支え合う取組に対して、支援を行う。 6 てんかんの地域診療連携体制の整備 31百万円(31百万円)  てんかんの治療を専門的に行っている医療機関を「てんかん支援拠点病院」として指定し、関係機関との連携・調整等の実施及び各支援拠点病院で集積された知見の評価・検討を行うため「てんかん全国支援センター」を設け、専門的な相談支援や関係機関との連絡・調整を担う人材の確保や養成等を行い、てんかんの診療連携体制を整備する。 7 摂食障害の地域診療連携体制の整備 23百万円(23百万円)  摂食障害の治療を専門的に行っている医療機関を「摂食障害支援拠点病院」として指定し、関係機関との連携・調整等の実施及び各支援拠点病院で集積された知見の評価・検討を行うため「摂食障害全国支援センター」を設け、専門的な相談支援や関係機関との連絡・調整を担う人材の確保や養成等を行い、摂食障害の診療連携体制を整備する。 8 こころの健康づくり対策等の推進 78百万円(78百万円)及び地域生活支援事業等の内数  精神疾患を有する方への早期の専門的対応を充実するため、かかりつけ医や精神保健医療福祉関係者等への研修を実施するほか、うつ病などの治療で有効な認知行動療法の研修を実施し、治療の質の向上を図る。また、精神保健上の問題による自殺対策のうち、自殺のハイリスク者で再企図の多い自殺未遂者の再企図を防ぐための医療従事者研修等を実施し、医療提供体制を構築する。 9 公認心理師実習演習担当教員及び実習指導者養成講習会の実施 33百万円(33百万円)  公認心理師の質の維持・向上のため、公認心理師となるために必要な科目を教授する実習演習担当教員及び実習施設において必要な科目を指導する実習指導者を養成するための講習会を実施する。 10 虐待対応体制整備の支援【一部新規】 46百万円(41百万円)  精神科病院の業務従事者による虐待を受けたと思われる患者を発見した場合の都道府県・指定都市への通報の義務付けに伴い、都道府県・指定都市における虐待対応体制整備に必要な経費について財政的支援を行う。  また、精神科病院における業務従事者による障害者虐待事例の調査を実施し、実態把握のための情報を得ること等により、虐待防止対策の推進を図る。 11 自立支援医療等申請手続のオンライン化の検討 【令和7年度補正予算】 ・自立支援医療等の申請手続等のオンライン化調査研究事業 2.7億円  自立支援医療、身体障害者手帳及び精神障害者保健福祉手帳に係る各申請手続のオンライン化に向け、調査研究等を進める。 3 発達障害児者の支援施策の推進 1 強度行動障害の状態にある者に対する地域支援機能の強化 @広域的支援人材の配置及び集中的支援の実施、支援のネットワークの構築等の推進 4.3億円(4.3億円)  著しい行動障害が生じているなどの難しい事案に対応する支援者を支援するため、高い専門性を有する「広域的支援人材」の発達障害者支援センター等への配置を推進する。  また、支援者のネットワークを構築し、連携した支援の実施や、意見交換、情報共有等の取組を進める。 A強度行動障害の状態にある者への支援のための中核的人材の養成【新規】 21百万円  各事業所において、高い専門性により強度行動障害の状態にある者への支援を行う「中核的人材」について、専門研修プログラムを用いて養成するとともに、令和9年度から全国の都道府県で中核的人材の養成が開始できるよう、指導的人材の養成及び指導的人材が活用する教材の開発等を行う。 2 発達障害の初診待機解消に関する取組の推進 93百万円(93百万円)  発達障害児者の診断に係る初診待機の解消を進めるため、発達障害の医療ネットワークを構築し、発達障害の診療・支援ができる医師の養成を行うための実地研修等の実施や医療機関におけるアセスメント対応職員の配置を進める。 3 発達障害児者とその家族に対する支援 1.6億円(1.6億円)  都道府県及び市町村において、同じ悩みを持つ本人同士や発達障害児者の家族に対するピアサポートや発達障害児者の家族に対するペアレントトレーニング、青年期の発達障害者に対する居場所作り等を実施することにより、発達障害児者及びその家族の支援を推進する。 4 教育と福祉の連携の推進 地域生活支援事業等の内数  市町村内における家庭・教育・福祉の連携促進及び地域支援対応力の向上を図るため、教育委員会や福祉部局、学校、障害児通所支援事業所等の関係者が障害児への切れ目ない支援について協議を行う場の設置や福祉機関と教育機関等との連携の役割を担う「地域連携推進マネジャー」を市町村に配置する。 4 障害者に対する就労支援の推進 1 雇用施策と福祉施策の連携による重度障害者等の就労支援 7.7億円(7.7億円)  重度障害者等に対する就労支援として、雇用施策と福祉施策が連携し、企業が障害者雇用納付金制度に基づく助成金を活用しても支援が充分ではない場合や、重度障害者等が自営業者として働く場合等で、自治体が必要と認めた場合に、必要な就労支援を行う。  また、事業実施自治体におけるHPやリーフレット等による周知・広報等の取組を支援する。 2 工賃向上等のための取組の推進 5.8億円(5.8億円)  一般就労が困難な障害者の自立した生活を支援する観点から、就労継続支援事業所などに対し、経営改善、商品開発、市場開拓や販路開拓等に対する支援を行うとともに、在宅障害者に対するICTを活用した就業支援体制の構築や販路開拓等の支援等を実施する。  また、全都道府県において、関係者による協議体の設置により共同受注窓口の機能を強化することで、企業等と障害者就労施設等との受発注のマッチングを促進し、障害者就労施設等に対する官公需や民需の増進を図ることに加え、農福連携に係る共同受注窓口の取組を支援する。 3 障害者就業・生活支援センター事業の推進 7.9億円(7.9億円)  就業に伴う日常生活の支援を必要とする障害者に対し、窓口での相談や職場・家庭訪問等による生活面の支援などを実施する。 4 就労選択支援員養成研修等の実施 【令和7年度補正予算】 ・就労選択支援員養成研修等の実施 1.3億円  就労選択支援等が全国で円滑に実施されるとともに、全国均一の質を確保できるよう、国において就労選択支援員の養成のための研修等を実施する。 5 東日本大震災等の災害からの復旧・復興への支援 1 避難指示区域等での障害福祉制度の特別措置(復興) 10百万円(10百万円)  東京電力福島第一原発の事故により設定された帰還困難区域等及び上位所得層を除く旧緊急時避難準備区域等・旧避難指示解除準備区域等の住民について、障害福祉サービス等の利用者負担の免除の措置を延長する場合には、引き続き市町村等の負担を軽減するための財政支援を行う。 2 被災地心のケア支援体制の整備(復興) 被災者支援総合交付金(55億円)の内数  東日本大震災による被災者の精神保健面の支援のため、専門職による相談支援等を実施するとともに、自主避難者等への支援などを通じて、引き続き専門的な心のケア支援を行う。 【令和7年度補正予算】 ・被災者への心のケアの充実を図るための支援 62百万円  令和6年能登半島地震等による被災者等の心のケアについて、被災地の精神保健医療福祉体制の強化を図る。 ★本誌では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています ※( )内は令和7年度予算額 【P28-29】 研究開発レポート 作業管理支援の改良 障害者職業総合センター職業センター  障害者職業総合センター職業センターでは、発達障害のある人を対象としたワークシステム・サポートプログラム(以下、「WSSP」)の実施を通じて、発達障害の特性に応じた効果的な支援を行うための技法開発・改良を行っています。  「作業管理支援」は、在職中の発達障害のある人を対象に、作業管理能力を把握し、必要な対処方法を検討することを目的として2021(令和3)年度に開発された支援技法です。支援の詳細は実践報告書39「在職中又は休職中の発達障害者に対する作業管理支援」(★1)に取りまとめ、全国の支援機関等に配布するなど、その普及に努めてきました。  ここでの「作業管理」とは、指示受け、作業計画の立案、作業実施、結果確認および報告・相談という一連の流れに沿って、与えられたタスクを期限内に完了させることをさします。  作業管理支援では、対象者の作業管理能力をアセスメントするため「作業管理課題」(以下、「課題」)を実施します。課題は、締切りのある複数のタスク(最大7種類)で構成され、対象者自身でスケジュール管理を行い、必要に応じて指示者へ質問や相談を行いながら進めていきます。図1の通り課題の実施や対処方法の検討など、全体で約11週間程度の期間が必要です。  2024(令和6)年度、地域障害者職業センターへ作業管理支援の実施状況を確認するアンケートを行ったところ、「発達障害のある人以外にも活用したい」、「通所期間が短い対象者にも実施したい」などといった改良を期待する声が寄せられました。  こうした声を受け、「適用対象者の拡大」と「柔軟な実施方法」について検討し、その結果を実践報告書43「作業管理支援の改良」(以下、「本報告」)として取りまとめましたので、その概要について紹介します。 適用対象者の拡大  作業管理能力を把握し、必要な対処方法を検討することは、精神障害や高次脳機能障害など認知機能に障害のある人にも有効であると考えられることから、適用対象者に含めることとしました。  また、求職者にとっても作業管理に関するスキルを身につけておくことは就職後の適応力を高めるうえで効果的と考え、対象の範囲としました。  ただし、対象者によっては課題の実施が心理的・認知的に負荷が高く、自信や意欲の低下につながる恐れもあります。このため、「対象者の状況に合わせた運用」と「『できたこと』に着目したアセスメント」の2点をポイントに改良を進めることとしました。 ●対象者の状況に合わせた運用  フェイズ1は、作業管理に必要な知識やスキルの獲得状況を確認する準備期間ですが、本報告では、対象者の拡大にともなうフェイズ1の実施方法について解説しています。例えば、報告や質問を自発的に行えるか、締切りのある複数のタスクを指示されても体調が大きく崩れることはないかなどを確認します。このとき、作業管理に関するスキルが十分でなくとも、部分的に対応できている点があればフェイズ2の課題に進めると判断します。例として、メモが苦手な人でも不明点を自発的に質問できる場合、課題の実施は可能と考えます。  一方、高次脳機能障害で記憶障害があり、受障前にメモを取る習慣がなかったという場合は、メモを取る練習をしてから課題に進むこともあります。本報告では、こういった対象者の状況に合わせた運用のポイントについて整理しています。  また、就労経験が浅く、作業管理に関する知識が少ない対象者もいます。このため、作業管理の流れと各段階で必要な行動などを記載したオリエンテーション資料(図2)を作成しました。各段階で必要な行動に対する自己評価をつけてもらいながら、課題に取り組む目的を確認できるような構成としています。就労経験の少ない人など、対象者の状況に応じて活用できます。 ●「できたこと」に着目したアセスメント  WSSPでの実践から、作業管理上の問題は体調、生活習慣、思考の傾向や感覚過敏など、多くの要因に影響されると考えられます。このため、本報告では、問題の原因を考えるだけでなく、「できたこと」とその状況や条件などをふり返るという視点に着目しています。これをふまえ、新たに「作業スキル発見ノート」(図3)を作成しました。  作業スキル発見ノートは、課題実施中、うまく対応できていたことに注目し、それをほかの場面でも再現していくことをうながす構成としています。例えば、「手帳を持ち歩いたことでミスなく進められた」など、成功の条件を対象者と整理していきます。また、対象者が自身の行動を「うまく対応できたときもあれば、できなかったときもあった」と評価したものがあれば、「うまく対応できたとき」の方をふり返り、それを増やしていくことを考えます。利用は必須ではありませんが、できなかったことに注目しやすい対象者とふり返り相談を行うときなどに活用できます。 柔軟な実施方法  課題は毎日定時に実施するもの、完成形が見出しにくいものなど、実行機能上さまざまなスキルを要するタスクを組み合わせて設定しますが、前述の「対象者の状況に合わせた運用」、「『できたこと』に着目したアセスメント」という視点から実施する場合、必ずしも既定のタスクをすべて実施しなくてはならないというものではありません。  実際にWSSPでは、実施日数とタスク数を絞って課題を設定することがあります。例えば、スケジュール管理について苦手意識が強く、既定の実施方法では体調を崩す可能性が高いと考えられる場合に、1回目は過去に経験したことのあるタスクを3日間設定し、2回目は未経験のタスクを含む既定通りの内容で課題を設定したという事例があります。経験があり、各タスクに必要な時間の予測がしやすい状況であれば、過度な負担とならずスケジュール管理に挑戦しやすいと考えたためです。課題終了後、「作業にかかる時間がわかっていればスケジュール管理ができた」とふり返ることで自信をつけ、見出した対処方法の継続をうながしていけるよう工夫しました。  本報告には、こういったより目的を絞った短期間での実施方法の例を掲載しているほか、課題を設定する際の留意点などを付録のQ&A集に取りまとめています。これらは、作業管理支援を実施する際の参考にしていただけます。 *****  実践報告書43「作業管理支援の改良」は、障害者職業総合センターホームページに掲載しています(★2)。また、冊子の配付を希望される場合は、当センターに直接ご連絡ください(★3)。 ★1 「実践報告書No.39」は、以下ホームページでご覧になれます。 https://www.nivr.jeed.go.jp/center/report/practice39.html ★2 「実践報告書No.43」は、以下ホームページでご覧になれます。 https://www.nivr.jeed.go.jp/center/report/practice43.html ★3 障害者職業総合センター 職業センター TEL:043-297-9043 https://www.nivr.jeed.go.jp/center/index.html ◇お問合せ先 研究企画部 企画調整室 (TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp) 図1 作業管理支援の工程 フェイズ1 課題で必要とされる基礎的な対応力の習得を図る準備段階 5週間程度を想定 フェイズ2 課題を実施し、作業管理上の能力をアセスメントし、その結果に基づく対処方法を検討する ※課題 →1週間  振返り・対処方法の検討→2週間程度 2〜3週間程度を想定 フェイズ3 再び課題を実施し、対処方法の実践的活用に向けたトレーニングを行う 2〜3週間程度を想定 図2 オリエンテーション資料(抜粋) 1.指示 1 指示 2 作業予定・計画 3 作業実施 4 結果確認 5 指示者に報告・相談 異常・緊急時 「1 指示」の中には… □ 必要な行動 □ 指示を集中して聞く □ 指示を記憶する、メモを取る □ 不明点について自分から質問する などが含まれます。 「1 指示」を完了するために… ・指示を受ける時には、素早くメモを取る準備をし、指示を正確に記憶すること ・不明点やあいまいな理解になっていることについては自分から相手に質問すること ここまでがあなたの役割となります。 図3 作業スキル発見ノート(抜粋) 3.伸びしろの発見 ふりかえりシート〜できたことの分析〜の「±(できたり、できなかったりした)」と評価した項目について振返ります。 「±(できたり、できなかったりした)」と評価した項目は、少しの工夫で「できる」に変化する可能性があります。 「できたり、できなかったりしたこと」が「できた」ときは、なぜ、できたのか整理しましょう。 <指示受け> (例)落ち着いて話を聞けたときは、指示をメモし、復唱できた <作業予定・計画立案> (例)1ブロックの作業時間が5〜10分の作業は、作業量が多くても作業時間の見積もりができた 写真のキャプション 実践報告書No.43 【P30】 ニュースファイル 国の動き 厚生労働省 生産性向上に関する冊子  厚生労働省は、障害福祉現場の生産性向上に向けた調査研究事業において、冊子『障害福祉現場における生産性向上の基本的な考え方―当事者視点に立ったケアの充実のために』を取りまとめた。  冊子では、障害福祉における生産性向上を、支援や人を減らすことではなく「支援者一人一人の力を引き出し、チームでその力を利用者に届けることで、新たな価値を生み出すこと」としている。この観点から、当事者視点に立ったケアの充実のための生産性向上を進めるため、「なぜ生産性向上が必要なのか(Why)」、「生産性向上とは何か(What)」、「生産性向上をどのように進めるか(How)」の三つの視点から考え方を整理。さらに@共感をつくる、A課題を見える化する、B解決策を考える、C試してみる、D振り返る、の5ステップに沿って進めるとしている。冊子はPDFデータで60ページ。厚生労働省ホームページからダウンロードできる。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/seisansei/kihonteki_kangaekata_00001.html 地方の動き 東京 「デジタルラボえどがわ」開所  江戸川区は、働きづらさを抱える人の就労先として、就労継続支援B型事業所「デジタルラボえどがわ」を開所した。行政や民間企業からの依頼を受け、紙文書をデジタルデータ化して納品する業務をにない、現在は利用者10人が従事しているという。  運営は、障害者の就労支援などを行う「特定非営利活動法人自立支援センターむく」(江戸川区)が区有地を借り受ける形で行っている。区は2025(令和7)年、公益財団法人日本財団と就労困難者支援に関する連携協定を締結しており、その一環として、同財団が施設整備費などを補助した。  同区は、2033年に予定されている区役所移転にともない、紙文書のデジタル化業務を発注する予定。今後は一般企業化を進め、障害者などの雇用創出を図るとともに、福祉サービスによる工賃ではなく、賃金を支払うことを目ざすとしている。 https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e004/kuseijoho/kohokocho/press/2026/04/0410.html 大阪 「就労継続支援B型」の総量規制実施  大阪市は、障害者総合支援法に定める障害福祉サービス等について、「就労継続支援B型」の総量規制を実施し、対象サービスの新規指定および利用定員追加についての申請受付を停止すると発表した。  総量規制に関しては、障害者総合支援法に基づき、福祉計画に定めるサービスの必要な量にすでに達している、または計画の達成に支障を生ずるおそれがある場合には、事業所の指定をしないことができると規定されている。  同市は、指定権限を持つ就労継続支援B型事業について「障がい福祉計画」で定める必要な見込量に対し、十分な供給量が確保されていると判断した。総量規制の実施期間は、新規指定の停止が2026(令和8)年8月1日から2027年7月1日まで、利用定員の追加停止が2026年7月1日から2027年6月1日までとなっている。 https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000674730.html 働く 東京 企業側の障害者採用課題の調査結果  「株式会社ゼネラルパートナーズ」(千代田区)が、民間企業の人事・採用担当者1000人余りを対象に行った「企業における障害者採用の実態と今後の採用方針」についてのアンケート調査の結果を発表した。  これによると法定雇用率について、「すでに達成している」と回答したのは37.0%で、「取り組んでいるが達成していない(51.3%)」、「取り組みをしておらず達成していない(11.7%)」と続いた。特に本社が地方にある企業は、都市部に比べて採用が「非常に難しいと感じる(26.4%)」、「やや難しいと感じる(59.1%)」と答え、具体的には「公共交通機関が不便で、通勤できる人材が限られる(49.2%)」がもっとも多く、「求職者の母集団そのものが少ない(46.7%)」、「都市部の企業が『完全在宅』で地方人材を採用しており、競合して勝てない(28.0%)」といった回答だった。今後、障害者の配属を増やしたいと考えている業務については、「一般事務・アシスタント業務(書類作成、電話対応、日程調整などのサポート業務全般)」が都市部(44.5%)、地方(42.7%)ともに、もっとも多かった。詳細はウェブサイトで公開している。 https://note.com/gp__info/n/nc39f394c6ec8 東京 田中貴金属ネクスト株式会社が特例子会社に認定  「株式会社田中貴金属グループ」(中央区)は、2026(令和8)年1月に設立した新会社「田中貴金属ネクスト株式会社」(中央区)が、3月30日付で特例子会社として認定されたと発表した。  新会社は、雇用する障害のある従業員に、事 務系補助業務を中心としたバックオフィス業務(伝票起票、備品補充・発注、清掃等)を担当してもらう予定。詳細は左記ホームページまで。 https://www.tanaka.co.jp/news/assets/pdf/000931/20260407_release.pdf 生活情報 東京 精神障害当事者会が合理的配慮実践ガイダンスを作成・公表  「一般社団法人精神障害当事者会ポルケ」(大田区)が、精神障害のある人の就労経験における合理的配慮について、当事者の声をもとに課題等を整理した『精神障害のある人の就労における合理的配慮―当事者の声から考える調査報告と実践ガイダンス』を作成した。  作成にあたり同法人は、アンケート調査を全国で実施(有効回答181人)。調査結果によると、精神障害があることで就労に困難を感じた経験がある人が80.7%にのぼる一方、その困難を相談した経験がある人は48.1%、合理的配慮を職場に求めたことがある人は42.0%にとどまった。背景には、配慮を求めて不利益な扱いを受けるのではとの不安や、職場の理解不足、手続きのわかりにくさなどがあったという。  冊子では当事者の経験に学ぶ合理的配慮の好事例、職場で活用できるDos&Don,ts(行うこと/行わないこと)なども掲載している。冊子は同法人のホームページからダウンロードできる。 https://porque.tokyo/2026/03/30/reasonable-accommodation-booklet/ 本紹介 『家族・支援者が知っておきたい 消費者トラブルから認知症の人・障害のある人を守る本』  「公益社団法人全国消費生活相談員協会」が、『家族・支援者が知っておきたい 消費者トラブルから認知症の人・障害のある人を守る本』(中央法規出版刊)を出版した。  同協会は、1977(昭和52)年に消費者問題の専門家集団「国民生活センター消費生活相談員養成講座修了者の会」として発足し、消費者トラブルの相談対応にあたってきた。本書では、これまでの活動で得た知見をもとに、認知症の人や障害のある人が巻き込まれやすいトラブルや、さまざまな人の消費傾向などを解説。さらに被害のサインに気づくためのチェックリストや、具体的な「声かけ」のコツ、万が一トラブルが起きてしまったときのための法律・制度、「消費者ホットライン(188)」など専門機関への「つなぎ」方などを、具体的な事例とともにわかりやすく紹介している。A5判、210ページ、2090円(税込)。 【P31】 ミニコラム 第56回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は大塚委員が執筆しています。ご一読ください。 障害者雇用の質の充実について 株式会社FVP代表取締役 大塚由紀子  株式会社NTT西日本ルセントは、NTT西日本グループという基盤を持つ特例子会社である。同社の取組みは、「人材や設備、資金があるからこそ実現できるのではないか」と受けとめられがちかもしれない。実際、取材前の私自身にも、どこかそうした先入観があったように思う。  しかし現場で話をうかがうなかで強く感じたのは、その本質は規模や資源の豊富さではなく、「障害のある社員にどう仕事を届けるか」という点にあるということである。  本業に直結する仕事を受け、それを一人ひとりに合わせて組み立て直し、役割としてになえる形にしていく。その積重ねによって、社員が自分の仕事の意味を理解し、「任されている」という実感を持って働いている様子が印象に残った。  近年、障害者雇用の質が問われるようになり、支援体制や人事制度の充実に取り組む企業も増えている。そうした取組みももちろん大切であるが、それだけでは十分ではないのではないかとも感じた。そもそも、「どのような仕事をになうのか」が、やりがいや定着、ひいては障害者雇用の質そのものに大きく影響しているのではないだろうか。  障害者雇用の課題は多様であるが、本事例を通じて、仕事そのものの考え方や組み立て方が、大きな鍵を握っていると感じた。自社のなかにある仕事をどう見直し、どう工夫し、どう再構成していくか。規模の大小にかかわらず、多くの企業にとってヒントとなる取組みではないだろうか。 【P32】 掲示板 国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 指導技法等体験プログラムのご案内 お問合せ先 国立職業リハビリテーションセンター 職業指導部 技法普及課 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 職業訓練部 訓練第二課 雇用管理や人材育成の「いま」・「これから」を考える人事労務担当の方、ぜひご覧ください! メールマガジン好評配信中! 詳しくは JEED メルマガ 検索 次号予告 ●この人を訪ねて  一般社団法人認知症当事者ネットワークみやぎ代表理事の丹野智文さんに、若年性認知症であっても働き続けることの大切さや、日常生活も含めた工夫について、お話をうかがいます。 ●職場ルポ  石垣島で、観光宿泊施設のシーツ類のクリーニング業を展開している太洋リネンサプライ株式会社(沖縄県)を取材。「地域の中で一緒に働く」ことを目ざし、20%を超える障害者雇用率を維持している現場の取組みを紹介します。 ●グラビア  静岡県東部を中心に、工場内物流や量販事業物流でつちかった技術を基に、最適な物流を提供している富士センコー運輸株式会社(静岡県)を訪問。知的障害や精神障害のある従業員が現場で活躍する様子を取材しました。 ●編集委員が行く  増田和高編集委員が、株式会社パルグループホールディングスの中核企業である株式会社パルが展開するアパレルブランドCIAOPANICTYPY(チャオパニックティピー)の店舗(兵庫県)などを訪問。「できることを、自分のペースで、楽しく働く」を行動指針とする同社で働く、障害のある従業員のワーク・エンゲイジメントについて取材しました。 公式X(旧Twitter)はこちら! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 編集委員 (五十音順) 聖学院大学 准教授 石原まほろ ATUホールディングス株式会社 代表取締役 岩ア龍太郎 株式会社FVP代表取締役 大塚由紀子 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事・統括施設長 金塚たかし 弘前大学大学院 教育学研究科 教職実践専攻(教職大学院)教授 菊地一文 株式会社旭化成アビリティ 代表取締役社長 清水裕之 サントリービバレッジソリューション株式会社 人事本部 副部長 平岡典子 筑波大学 人間系 教授 前原和明 武庫川女子大学 准教授 増田和高 国際医療福祉大学 准教授 若林功 あなたの原稿をお待ちしています ■声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 鈴井秀彦 編集人−−企画部次長 石井伸明 〒261−8558 千葉県千葉市美浜区若葉3−1−2 電話043−213−6200(企画部情報公開広報課) ホームページhttps://www.jeed.go.jp メールアドレスhiroba@jeed.go.jp ●編集委託−−株式会社労働調査会 〒170−0004 東京都豊島区北大塚2−4−5 電話03−3915−6415 FAX 03−3915−9041 7月号 令和8年6月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。また、本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 【P33】 読者アンケートにご協力をお願いします! いつもご愛読いただき、ありがとうございます。 「働く広場」では、よりよい誌面をつくるため、読者アンケートを実施しています。 ぜひみなさまの声をお聞かせください。 お待ちしています! 回答方法 今号に同封した「読者アンケート」用紙にご記入のうえ、FAXにてお寄せください。 FAX番号はこちら→043-213-6556 Webでの回答も可能です。 コードはこちら→ ※カメラで読み取ったリンク先がhttps://krs.bz/jeed/m/hiroba_enquete であることを確認のうえアクセスしてください 【令和7年度読者アンケート結果の一部より】 ご回答者の所属先 民間企業 52.9% 障害者福祉施設(就労支援機関を含む)・団体 16.3% 国、地方公共団体の機関 12.8% 医療機関 6.8% その他(社会福祉協議会、介護施設、NPO法人など) 5.2% 学校・教育機関人 3.5% 個人 2.5% 「働く広場」は参考になっていますか? 非常に参考になる 38.7% 参考になる 57.5% あまり参考にならない 3.8% 参考にならない 0.0% 参考になったコーナーとその理由 【職場ルポ】 障害者雇用で働いている方や周りの方の声、どのような配慮をしたか実際の声が聞けてすごく参考になりました。/障害を持つ方々が活躍されている職場での色々な工夫や努力を知ることができて、自社でも活用できそうなことなどが参考になるから。 【グラビア】 写真が多くて見やすく、働いている現場を実際にイメージできるので良いと思いました。 【編集委員が行く】 様々な現場の事例が記事にしてあり、多面的な考えを得ることができ、参考にしています。/深いところまで取材されており、とても興味深く拝見しています。 企画部 情報公開広報課 TEL:043-213-6200 【裏表紙】 国立職業リハビリテーションセンター 中央障害者職業能力開発校 受講生募集 障害のある方の職業訓練校です 受講料無料 メカトロ系 機械製図科 電子機器科 テクニカルオペレーション科 建築系 建築設計科 情報系 OAシステム科 DTP・Web技術科 就労希望の職種に合わせて選べる17コース!! ビジネス系 経理事務科 OA事務科 オフィスワーク科 物流系 物流・資材管理科 職域開発系 アシスタントワーク科 オープンキャンパス毎月開催 職リハ ホームページで訓練内容や施設の説明がご覧になれます。 お問合せ先 職業指導部職業評価課(〒359-0042 埼玉県所沢市並木4丁目2番地) 電話:04-2995-1201 E-Mail:shokureha-hyokaka@jeed.go.jp Web:http://www.nvrcd.jeed.go.jp 7月号 令和8年6月25日発行 通巻585号(毎月1回25日発行)