【表紙】 令和8年7月25日発行・毎月1回25日発行・通巻第586号 ISSN 0386-0159 障害者と雇用 2026/8 No.586 職場ルポ 観光業を支えるクリーニング工場で、戦力として働き続ける 太洋リネンサプライ株式会社(沖縄県) グラビア 作業の細分化で、だれもが活躍できる物流センター 富士センコー運輸株式会社 新富士PDセンター(静岡県) 編集委員が行く できること・やりたいことを軸に“楽しく働く”を実現 株式会社パルグループホールディングス(大阪府) この人を訪ねて 認知症になっても働き続けるために 一般社団法人認知症当事者ネットワークみやぎ 代表理事 丹野智文さん 「ジャングルにいる はっくつチームのリーダー」 東京都・草野(くさの)友飛(ゆうと) 読者アンケートにご協力をお願いします! 8月号 【前頁】 心のアート 野ぶどう Chieko Yokoyama (社会福祉法人ともに福祉会 ともに) 画材:水彩絵の具、画用紙/サイズ:390mm×545mm  華道、書道、お筝ことをたしなみ、手芸も得意。特に草花には造詣が深く、作品の題材とすることが多い。実物や写真を見て、ていねいに下描きをし、納得のいく色になるまで、水彩絵の具を何度も塗り重ねて仕上げていきます。乾くとひび割れがおきることも。 (文:社会福祉法人ともに福祉会 ともに 石川(いしかわ)則子(のりこ)) Chieko Yokoyama(ちえこ・よこやま) 1956(昭和31)年生まれ 2002(平成14)年 創作活動開始 2009年 「北海道知的障がい者芸術祭 みんなあーと2009」(北海道札幌市/かでる2.7)入選『紫の大根』 2016年 「2016パラアートTOKYO」(東京都豊島区/としまセンタースクエア)入選『キンシバイ』 2018年 ともに福祉会主催「tomoni art にじいろ世界展」(北海道札幌市/大通美術館)14点出展 2022(令和4)年 ともに福祉会主催「ともにのにじいろアートワーク 本日も晴天なり」(北海道札幌市/大丸藤井セントラルスカイホール)19点出展 2023年 もうひとつの美術館主催「どさんこ力」(栃木県那須郡那珂川町/もうひとつの美術館)4点出展 「UNICOLART YUMEKARART 〜ここからはじまるチャレンジアート展〜」(兵庫県神戸市/FELISSIMO GALLERY)1点出展 【もくじ】 障害者と雇用 目次 2026年8月号 NO.586 「働く広場」は、障害者雇用の啓発・広報を目的として、ルポルタージュやグラビアなど写真を多く用いて、障害者雇用の現場とその魅力をわかりやすくお伝えします。 心のアート 前頁 野ぶどう 作者:Chieko Yokoyama(社会福祉法人ともに福祉会 ともに) この人を訪ねて 2 認知症になっても働き続けるために 一般社団法人認知症当事者ネットワークみやぎ 代表理事 丹野智文さん 職場ルポ 4 観光業を支えるクリーニング工場で、戦力として働き続ける 太洋リネンサプライ株式会社(沖縄県) 文:豊浦美紀/写真:官野貴 クローズアップ 10 安心して働き、能力を発揮できる職場の環境づくり 第1回 「安心」して「活躍」できる職場に必要なこと JEEDインフォメーション 12 “事例で見る”“動画で見る”『雇用の分野における合理的配慮事例の紹介』/2026(令和8)年度 下半期職場適応援助者養成研修のごあんない グラビア 15 作業の細分化で、だれもが活躍できる物流センター 富士センコー運輸株式会社 新富士PDセンター(静岡県) 写真/文:官野貴 エッセイ 19 強迫性障害の私が、自分らしく働けるようになるまで 第1回 理解されない不安な日々 漫画家・イラストレーター つくし ゆか 編集委員が行く 20 できること・やりたいことを軸に“楽しく働く”を実現 株式会社パルグループホールディングス(大阪府) 編集委員 増田和高 省庁だより 26 「卓越した技能者の表彰」制度、障害者部門の紹介 厚生労働省 人材開発統括官付 能力評価担当参事官室 研究開発レポート 28 企業における障害者雇用の質の向上に向けた取組の現状と課題に関する調査研究 障害者職業総合センター研究部門 事業主支援部門 ニュースファイル 30 編集委員のひとこと 31 掲示板・次号予告 32 障害者雇用の月刊誌「働く広場」がデジタルブックでいつでもお読みいただけます! 表紙絵の説明 「昔の生き物に会ってみたかったのでこの題材を選びました。化石に線や点を描いて化石っぽくすることがむずかしかったけど、はっくつリーダーのワクワクしている感じや、マグマ部分には満足しています。受賞を聞いたときは、がんばってよかったと思い、絵を描くことが好きになりました」 (令和7年度 障害者雇用支援月間絵画コンテスト 小学生の部 高齢・障害・求職者雇用支援機構 理事長奨励賞) ◎本誌掲載記事はホームページでもご覧いただけます。 (https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/index.html) 【P2-3】 この人を訪ねて 認知症になっても働き続けるために 一般社団法人認知症当事者ネットワークみやぎ 代表理事 丹野智文さん たんの ともふみ 1974(昭和49)年宮城県生まれ。ネッツトヨタ仙台株式会社に営業職で入社。2013(平成25)年、若年性アルツハイマー型認知症と診断される。2015年に認知症当事者の総合相談窓口「おれんじドア」を開設。2019年に「一般社団法人認知症当事者ネットワークみやぎ」を立ち上げる。2020(令和2)年、厚生労働省の認知症本人大使「希望大使」に任命される。近著に『認知症の私が、今を楽しく生きる理由「生活の工夫」と家族・仲間の力』(2025年、中央法規刊)がある。 2度の検査入院で診断 ――丹野さんは、39歳で若年性認知症と診断されたそうですね。 丹野 ふり返ると、33歳ぐらいから記憶力が低下していったと感じています。当時は自動車販売会社の輸入車部門でトップの販売実績を上げるほど仕事は充実していました。しかし一方で、注文の内容や人の名前を忘れることが増え、最初は手帳にメモを取り、パソコンの周りに付箋(ふせん)も貼るなどして対応しました。そのうち「佐藤さんに電話」というメモが、「仙台市青葉区の佐藤一郎さん、タイヤ交換の件で電話」などと、どんどん詳細になっていったのです。  転機は38歳の12月でした。業務を依頼するため社内の整備場に行ったのですが、同僚の顔と名前が本当にわからなくなってしまったのです。あわてて自分の席に戻って組織図を確認し、ようやく声をかけました。「多忙によるストレスかも」と、脳神経外科を受診したところ、大きな専門病院をすすめられました。その病院での検査入院では「年齢的に判断がむずかしい」と大学病院を紹介されました。そして翌年の3月、再び2週間の検査入院の末、医師から「いろいろな先生と相談し、アルツハイマー型認知症と診断しました」と告げられたのです。  じつは入院前日、社長から「どういう結果でも、戻ってこられるようにするから」と励まされていました。しかし認知症になっても働き続けられるなんて聞いたことがありません。当時、2人の娘は中学生と小学生。「自分と家族はどうなるのか」という不安で夜も眠れなくなりました。 ヘルプカードを自作 ――退院後は、どのようにして職場復帰されたのでしょうか。 丹野 すぐに精神障害者保健福祉手帳を取得しましたが、やはり家族を養わなければなりません。妻と相談し、洗車などの仕事で働けないか会社に頼んでみることにしました。覚悟を決めて会社に出向いたのですが、社長は「長く働ける環境をつくるから」といってくれたのです。帰り道、妻が運転する車の中で、私は涙が止まりませんでした。  その年の5月から本社の総務人事の部署に配属されました。職場側も私自身も何ができるかわからないなかで、まずは各店舗の備品管理書類をパソコンで整理する作業から始めました。ただ同僚2人のうち上司は産前産後休業に入る予定で、もう1人は18歳の新入社員。そのため年長の私が仕事を引き継ぐことになったのです。1カ月かけて業務内容をノートにまとめましたが、実際にやってみるとできない。「これくらい覚えているはず」と思っていた手順さえわからない。結局2回書き直し、ようやく完成しました。  作業完了を確認するノートもつくりました。1日1ページ内に「今日やること」を書き出し、やったものからすぐにチェックを入れます。さらに1カ月ごとの業務予定を表にして、終了したものから「OK」と記入する。やった記憶はなくとも、チェックの印を見ることで安心して仕事ができるようになりました。  また、認知症についてよく知らなかった新入社員が「何に困っているのですか?」と聞いてくれたこともよかったです。私は「いまできること、苦手なこと」を具体的に伝えるようにし、そこから仕事もスムーズに回っていきました。上司とは月2回面談をして、仕事の進捗具合などを共有し、むずかしそうな作業はできないと伝えました。こまめな情報共有とともに仕事をある程度任せてもらえる職場環境が、本当にありがたかったです。  会社は車で20分の場所にありましたが、運転免許証を返納した私は、家からバスと電車を乗り継ぎ、2時間ほどかけて自力で通勤することを選びました。少しでも自信を持ち続けるためです。  その後しばらくたったある日、乗り換える駅がわからなくなり、通行人にたずねたところ不審に思われてしまったことがありました。それを機に、ヘルプカードを自作しました。「私は若年性認知症本人です」という文と、自宅から会社までに使うバス停や駅名を書き、パスケースに入れて持ち歩いています。このカードのおかげで、多くの親切な人たちに助けてもらいました。認知症でも、工夫すれば1人で外出できるのです。 認知症当事者の相談窓口 ――2015(平成27)年に開設した、認知症当事者のための相談窓口について教えてください。 丹野 私自身、若年性認知症と診断された後、一時は軽いうつ状態になりました。それが変わるきっかけとなったのが当事者交流会でした。同じ境遇の人たちと気持ちを共有できただけでなく、前向きに生活する当事者の姿を見て「この人のように生きてみたい」と思ったのです。  その体験を周囲に話したところ、「今度は丹野君がほかの当事者に力を与える側になってみたら」と助言されました。そこで仲間たちと一緒に、当事者同士がピアサポートを行う相談窓口「おれんじドア」を開設しました。その後、専門外来の院内などピアサポートの場を増やしています。  これまで多くの当事者とその家族に会いましたが、私は「どうしたら進行を遅らせられるか」といった予防法よりも、「これから何をしたいか」を聞き、自分の経験もふまえながら工夫できることを一緒に考えます。ご家族にお願いしているのは、できるだけ本人に決めさせてほしいということです。診断直後からさまざまなことを奪われると自信を失い、うつ状態になり、症状の進行に拍車をかけるともいわれています。自分で決める、選ぶ。できなければ工夫する。そうすることで本人も前向きになり、それまでの生活を維持していけます。私はそうした例をたくさん見てきました。最近では、宮城県内でも58歳で認知症と診断された人が、IT会社を定年退職した後に、再雇用されて働き続けている例もあります。 本人の工夫と周囲の理解次第 ――認知症の診断から13年以上、働き続けてい らっしゃるのですね。 丹野 認知症に関しては、まだまだ世の中で偏見も誤解もあると感じています。本人も周囲も「働けないだろう」と諦めていませんか。私が診断を受けてから13年以上働いているように、本人の工夫と周囲の理解次第なのです。  特に近年は、スマートフォンなどさまざまな先進機器によって、できないことを補えるケースが加速度的に増えていますね。それらの技術をどう使って生活し、働き、自立につなげていくかという方向に、社会全体がもっと目を向けていってほしいと思います。  それからもう一つ、お伝えしたいことがあります。以前、私の会社の社長は「君が笑顔で働き続けることで、ほかの社員も『自分が病気になっても働ける』と安心できる」といってくれました。実際に職場では、家族の認知症について相談しやすくなり、白血病やがんの手術後に職場復帰した同僚もいます。病気や障害のある本人も家族も安心して働き続けられる職場が、結局はだれにとっても理想ですよね。 【P4-9】 職場ルポ 観光業を支えるクリーニング工場で、戦力として働き続ける 太洋リネンサプライ株式会社(沖縄県) ホテルのリネン類をクリーニングする工場では、人の手が必要な工程も多く、一緒に働く障がいのある従業員も、大事な戦力として地域の観光業を支えている。 (文)豊浦美紀 (写真)官野貴 取材先データ 太洋リネンサプライ株式会社 〒907-0004 沖縄県石垣市字登野城(とのしろ)1281 TEL 0980-82-6116 FAX 0980-82-7237 Keyword:知的障害、クリーニング、リネンサプライ、もにす認定、障害者雇用職場改善好事例、優秀勤労障害者、特別支援学校、障害者職業生活相談員 POINT 1 本人の意欲や適性に合わせ、工場内のさまざまな工程を経験させて配属 2 家族を交えた面談や支援機関との連携で、生活環境を含めたサポートも 3 工場の管理職やリーダー、労務担当者が役割分担し多面的な支援を図る ホテル等のリネンクリーニング  沖縄県の石日(いしがきじま)にある「太洋リネンサプライ株式会社」(以下、「太洋リネンサプライ」)は、同じ石垣島で「宮平(みやひら)観光株式会社」が運営する「南の美(ちゅ)ら花(はな)ホテルミヤヒラ」の洗濯部門が独立する形で、1983(昭和58)年に有限会社として創業し、2004(平成16)年に株式会社となった。島内の大型リゾートホテルなど100カ所以上のホテル等へのリネンサプライサービスを提供している。  太洋リネンサプライは、早くから障がい者雇用を積極的に進めてきたことでも知られ、いまでは全従業員83人のうち障がいのある従業員は14人(身体障がい1人、知的障がい12人、精神障がい1人)、「障害者雇用率」は22.89%(2026〈令和8〉年6月1日現在)にのぼるという。2021年に沖縄県第1号の「もにす認定企業」(※1)となり、2022年には当機構(JEED)の「令和4年度障害者雇用職場改善好事例」で独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長賞優秀賞を受賞した。  常務取締役を務める三木(みき)誠(まこと)さんは、これまでの障がい者雇用について、「石垣島という地域性もあり、障がいがあるから特別というよりも、『同じ地域のみんなが一緒に働く』という感覚が近いと思います」と語る。  地域の観光インフラを支えるリネンサプライ企業の現場で、上司や同僚とともに活躍する従業員の姿と、職場全体で進めてきたこれまでの取組みを紹介する。 風疹(ふうしん)流行の影響を受けて  太洋リネンサプライが障がい者雇用を始めたきっかけには、地域の特殊事情があったという。沖縄本土復帰前の1965年ごろ、沖縄本島では米軍基地を経由して風疹が大流行した影響を受け、石垣島でも難聴などの障がいのある子どもが生まれることが少なくなかった。その子どもたちが当時の沖縄県立北城(きたしろ)ろう学校八重山(やえやま)分校を卒業し、就労先が必要との声が高まっていた1983年、ちょうど創業した太洋リネンサプライでも採用を始めたという。  同校は翌年に全生徒が卒業し閉校となったが、その後も石垣島にある沖縄県立八重山養護学校(現・八重山特別支援学校)の卒業生や、障がいのある社会人を採用してきたそうだ。1995年には「重度障害者多数雇用事業所」の認定工場となっている。創業当初から働き続けた従業員も多く、これまでに5人が「優秀勤労障害者」として当機構理事長表彰や沖縄県知事表彰などを受賞している。 勤続33年の大ベテラン  早速、工場を見学させてもらった。午前9時すぎ、朝のラジオ体操から始まる工場内には、使用ずみリネン類を積んだワゴンが、あちらこちらに所狭しと置かれている。ある程度仕分けされたシーツや布団カバー、タオルなどを、それぞれ50kgごとに時間差で洗濯できる大型の全自動連続洗濯機に投入。さらに脱水・乾燥工程を経てラインから送り出される。  そこからアイロンの役割を果たす巨大な仕上げロール機へと流れていくが、1枚ずつセットするのは人の手である。  ロール機の出口ではホテルごとにまとめるため、どのホテルのどの種類のものか一目でわかるよう、シーツの端にさまざまな色の糸で線が縫いつけられている。動き続けるロール機に合わせ、数人の従業員がそれぞれシーツを広げ、短辺の角2カ所を機械に引っかけていた。この作業を慣れた手つきで行っていた1人が、勤続33年になる田島(たじま)朝名義(あさなぎ)さん(51歳)だ。  八重山養護学校を卒業した1993年に入社した田島さんは、「先輩たちの教えがよく、ここまで働いてきました。特に、掛け布団カバーの扱い方が少しむずかしかったのですが、いまではきれいに機械へ流せるようになりました」と話す。  高齢の両親と同居し、一家の大黒柱のような存在だという田島さんは、「お給料をもらったら、いつも母親に報告しています」と笑顔を見せた。また、中学生時代から沖縄空手を続けており、いまでは師範代として指導にもあたっているという。「これからも健康で、長く働き続けることが目標です」と語る田島さんは、2020年に「優秀勤労障害者」として当機構理事長努力賞を受賞している。  三木さんは、田島さんのように長く勤める従業員について、「仕事との相性がよかったこともあると思います」と説明する。  「リネン業務には、コツコツ続ける力やていねいさ、決まった動作を続ける力を活かせる作業が多くあります。一人ひとりが、得意な部分をもっとも発揮できる工程や部署で、自信をつけながらやりがいも感じているようです。そして何より、現場を支える大きな戦力になっています」 「やってみたい」との意欲に応える  田島さんたちがロール機に流し込んだシーツは、きれいに折りたたまれた状態で出てくるが、それを種類別に結束する作業にも人の手が欠かせない。この工程を担当しているのが、2022年に入社した上地(うえち)貴海斗(きみと)さん(22歳)だ。  「昔からきれい好きで、小学生のころから洗濯物をたたむ手伝いもしていました」という上地さん。八重山特別支援学校在籍時に職場実習を経験するなかで、太洋リネンサプライがもっとも自分に合っていると感じたそうだ。「スーパーなどでの職場実習は、商品の賞味期限を確認しながら売り場に並べる作業が不得意でした」(上地さん)  入社後は、田島さんたちと同じロール機への流し込み作業からスタートしたが、2〜3カ月ほど経ったころ、生産部の主幹を務める喜舎場(きしゃば)孫人(まごと)さんに、「結束作業をやってみたい」と申し出たという。  しかし喜舎場さんによると、結束作業は機械を使って行うものの、配送前の検品も兼ねているため責任の重い仕事だという。  「同じ種類のシーツごとに流すなかでも、切り替わりのタイミングなどで別の種類が紛れ込みます。それを目視で素早く選り分けるのですが、もし紛れ込んだまま結束されると、洗い直すことになります」  そのため以前は、喜舎場さんたちベテラン2人が担当していたが、上地さんの意欲を買った喜舎場さんが「じゃあ教えるから、一緒にやろう」と応じ、マンツーマンでの指導が始まった。  まず、見分けるポイントとなるシーツ端の縫い糸の色について「どの種類を示すのか」を3桁の番号で覚える必要があった。現場では、シーツの束をめくりながら確認していくが、上地さんは「最初は見逃してしまうミスが何十回もありました」とふり返る。そのたびに見逃した原因を一緒に確認し、少しずつコツを身につけていったそうだ。  1カ月ほどで無事に独り立ちできるようになった上地さんは、「諦めずに努力を重ねたことで腕を上げられたことが、うれしかったです」と話す。「いまでは職場の後輩に教えることもあり、仕事がどんどん楽しくなって、大きなやりがいにつながっています」  喜舎場さんは、上地さんについて「集中力が途切れず、好きなことにはとことんのめり込むところが長所です。今後もいろいろな仕事を任せていけたらよいなと思っています」と頼もしそうに語った。  読書家で落語好きでもあるという上地さんは、職場の忘年会で落語を披露し大好評だったという。現在の目標は一人暮らしを始めることで、いまは自動車教習所に通い運転免許の取得を目ざしているそうだ。 ていねいな配送確認作業  クリーニングずみのリネン類は、工場に隣接する配送エリアへ集められ、取引先からの発注書によって配送準備へと移る。ホテル業と同様に1日も休むことができず、繁忙期は深夜0時まで稼働するため、アルバイト従業員も含めたシフト制を導入しているという。  この配送エリアでは、舟道(ふなみち)麗音(れおん)さん(22歳)が、運ばれてくるリネン類のワゴンの間を行き来しながら、忙しく書類に書き込む作業をしていた。  舟道さんも八重山特別支援学校の卒業生だ。職場実習では複数の企業を回ったが、太洋リネンサプライがもっとも働きやすい雰囲気だと感じたという。もともと人見知りが強い性格だという舟道さんは「周りの人たちが何かと気にかけてくれたのがうれしかったです」とふり返る。  2023年に入社した舟道さんは、まず工場内の仕事をひと通り経験することになった。工場長代理を務める宜保(ぎぼ)潤(じゅん)さんによると、「本人の適性を見きわめるため、枕カバーのロール機投入や乾燥後のタオルの仕分け作業などを経験してもらいましたが、どの業務もきちんとこなしました」という。  その後、配送準備の専門部署を新たに設けることになり、舟道さんもその一員として抜てきされた。宜保さんは、「舟道さんはミスがとても少ないところが長所です。発注表の数字を何度も確認するていねいさのおかげです」と評価する。  舟道さん自身も、日ごろから「間違えないこと」を心がけている。  「とにかく紙に書くようにしています。ノートを見ながら種類を書き出して確認しています。いまはずいぶん慣れました」  いまではもっとも経験が長い担当者だという舟道さんは「任される仕事が増え、急な手伝いも対応できるようになって、やりがいを感じています」と笑顔を見せる。  また、「この職場では、休憩時間にも周りのみなさんが話しかけてくれるので、自分からコミュニケーションをとれるようになりました」という舟道さん。取引先などの来客があったときも、自然に対応できるようになったそうだ。  宜保さんは、「舟道さんは、いまの担当からなかなか外せないほど優秀ですが、将来はさらにさまざまな部署を担当し、現場リーダーのような立場に育ってほしいですね」と期待を寄せていた。 家族と本人と三者面談  太洋リネンサプライでは2017年以降、家族と本人を交えた三者面談を定期的に行ってきた。三木さんは「前年にこの職場に来た私自身が、一人ひとりのことを理解しておきたいと考えて始めましたが、全体としてもよい効果が生まれました」と説明する。  最初の面談では、入社の経緯や家族の状況、本人の生活習慣や休日の過ごし方などを可能な範囲で話してもらった。職場側からも、本人の長所を含めた仕事ぶりなどを伝えることで、互いの理解や信頼関係が深まったという。  「本人の成長を知ったご家族からとても好評だっただけでなく、家族の前で評価してもらったことで、本人のモチベーションアップにもつながったようでした」  日ごろも、職場での様子や健康診断の結果など、心配なことがある場合、宜保さんや喜舎場さんが家族と直接連絡をとり、情報共有や相談をしてきたそうだ。  ときには、障がいのある従業員同士でトラブルになることもある。喜舎場さんたちが間に入っても収まらないときは、「家族に連絡を入れ、しばらく有給休暇を取って気持ちを落ち着かせてもらうこともあります」(宜保さん)  通常採用で従業員が入社するときには、三木さんが「知的障がいのある人や、耳が聞こえにくい人、声が出にくい人、外国人など、いろいろな人が一緒に働いているから、みんなで協力していこう」と伝えている。  現場をまとめる宜保さんも「特別な扱いをするわけではありませんが、周囲には、長い目でゆっくり育ててほしいと話しています。いまでは一緒に働く従業員が一番よく理解していて、やわらかい口調で話すなど配慮してくれています」とのことだ。三木さんがつけ加える。  「担当者だけでなく、現場の先輩やパートさんたちが自然に声をかけ合いながら支えてくれていることも大きいですね。この積重ねが、本人の『ここなら安心して働ける』という気持ちにつながっているのではないかと感じています」 支援の役割を分散化  障がい者雇用については数年前まで、宜保さんや喜舎場さんが従業員一人ひとりの面倒をみるような形で対応していた。しかし、生産現場全体の業務量が拡大してきたことから、いまは労務担当者を置いているそうだ。役割を分散化することで、偏りがちだった負担を軽減するだけでなく、より多面的な支援ができるようになったという。  現在その労務担当者が、総務部の係長を務める古堅(ふるげん)美樹(みき)さんだ。従業員の勤怠管理をはじめ各種手続き、家庭とのやりとり、ハローワークや支援機関との連携、実習生の受入れ準備などをになっている。2022年には「障害者職業生活相談員」の資格認定講習(※2)を受け、従業員への精神的なサポートにも自信がついたそうだ。  日ごろは社内専用SNSを使い、従業員の体調を気遣うなどちょっとしたコミュニケーションを交わして、さりげなく見守る環境づくりにも取り組んでいる。  「例えば女性従業員の場合、女性にしか相談できないこともありますから、様子を見ながら直接話を聞くこともあります」と古堅さん。  あるときは、休みがちになっていた従業員と話をしたところ、気持ちがすっきりしたのか、その後は仕事も前向きになったという。「従業員のなかには私の同級生の子どももいて、ざっくばらんに踏み込んでサポートできることもありますね」(古堅さん)。場合によっては、本人の生活環境を改善できるよう家族とも連絡しながら「夜中までスマホばかり見ているのはよくないよ」、「朝ごはん、しっかり食べてきてね」と声をかけ続けることもあるという。  これについて三木さんは「本人の働きぶりには、家庭環境の課題や生活習慣の乱れが影響していることも少なくありません。これは、障がいのあるなしに関係なく同じですね」と語る。  最近は、障がいのある従業員の高齢化といった課題も出始めている。職場では、比較的体力負担の少ないカラーダスターの製品化作業(※3)や配送補助などへ配置転換する工夫もしているが、「本人の生活全体を含めた課題も出てきています」と三木さん。  本人や家族だけで問題を抱え込まないよう、定期的な三者面談を行うほか、障害者就業・生活支援センター、石垣市障がい者基幹相談支援センターなど就労支援機関と連携しながら、将来的に福祉的支援へスムーズにつながるよう情報共有を進めている。 工場火災を乗り越えて  太洋リネンサプライには大きな試練もあった。2024年1月初旬、工場火災が発生したのだ。全焼は免れたものの、機械などが使えなくなり、一時は操業停止という厳しい状況に陥った。復旧完工式を迎えるまで約1年を要したが、その間、沖縄本島などの同業者から協力を得たほか、仮復旧した現場は最大一日18時間稼働したという。現場対応をしていた宜保さんは、「慣れない夜間勤務にも、多くの従業員が自ら手をあげてくれたおかげで、なんとか乗り切れました」とふり返る。  三木さんも「障がいのある従業員も含め、多くの人が不安を抱えていたはずですが、辞めずに残ってくれたことは、本当にありがたいことでした。あらためて、会社は設備だけでは成り立たない、最後は『人』なのだと実感しました」と語ったうえで、「火災を乗り越えられた団結力も、障がい者雇用に長年取り組んできたなかでつちかわれたものかもしれないです」と話す。  「職場内ではこれまで、障がいのある従業員に対し『どうすれば伝わるか』、『どうすれば働きやすいか』を自然と考える社風が育まれ、その結果として、職場全体のコミュニケーションやチームワークの向上にもつながってきたと感じます」  最後に、太洋リネンサプライの今後について、三木さんが語ってくれた。  「太洋リネンサプライでは現在、若年者、70歳近い高齢者や外国人技能実習生、子育て・介護世代など、“多様な人材”が働いています。そうした職場で、相手を理解する姿勢や支え合う文化が育ってきたことは、会社としても、大きな財産だと考えています。今後も、障がいの有無にかかわらず、『ここで働いてよかった』と思ってもらえる職場づくりと、地域のためにできることを続けていくつもりです」 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、太洋リネンサプライ株式会社様のご意向により「障がい」としています ※1 「障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)」については、厚生労働省ホームページをご覧ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/monisu.html ※2 「障害者職業生活相談員資格認定講習」については、JEEDホームページをご覧ください。 https://www.jeed.go.jp/disability/employer/employer04/koshu.html ※3 カラーダスターの製品化作業:洗濯・乾燥した3種類のマイクロファイバー製ダスターを、色ごとに仕分けし、20枚ずつ束ねてセットにする作業 写真のキャプション 太洋リネンサプライ株式会社は、リネン類のクリーニングを手がけている 太洋リネンサプライ株式会社常務取締役の三木誠さん 仕上げロール機にシーツをセットする工程では人の手が欠かせない 大型の全自動連続洗濯機からリネン類が送り出される 勤続33年の田島朝名義さん シーツの端を仕上げロール機にセットする田島さん 入社4年目の上地貴海斗さん 舟道さんは配送確認作業を担当している ロール機で折りたたまれたシーツを検品する上地さん 生産部主幹の喜舎場孫人さん 入社3年目の舟道麗音さん 工場長代理の宜保潤さん 総務部係長の古堅美樹さん 【P10-11】 クローズアップ 安心して働き、能力を発揮できる職場の環境づくり 第1回 「安心」して「活躍」できる職場に必要なこと  障害のある人など多様な人材が安心して働き、その能力を十分に発揮できる職場づくりが、いま企業に求められています。そこで今号から障害者の雇用や就労支援を専門とする上村勇夫さんに、職場において、障害のある人の安心感を高め、能力発揮をうながすために有効な環境整備や周囲のサポートのあり方などについて解説していただきます。第1回は、職場の環境づくりについてです。 執筆者プロフィール 日本社会事業大学 社会福祉学部 共生社会デザイン学科 准教授、博士(社会福祉学) 上村(うえむら)勇夫(いさお)さん  企業、障害者地域作業所、ジョブコーチ等を経て、現職。障害者雇用における職場内支援のあり方と、生活支援について研究。関連論文で日本社会福祉学会奨励賞受賞。就労継続に関する著書も執筆。 はじめに―障害者雇用は「採用」の先のステージへ  わが国における障害者の一般企業への就職者数は、近年、着実に伸び続けています。背景には制度改正や支援機関の充実などがあり、多くの企業が障害者雇用を「あたりまえのこと」として取り組むようになってきました。  しかし、現場の最前線に目を向けると、新たな壁が立ちはだかっていることに気づきます。それは、「せっかく採用したのに辞めてしまう」という定着のむずかしさです。  これまでは「いかに就職させるか」という入り口の「数」に注目が集まっていましたが、いまは、採用した後にいかに安心して働き、その人らしく活躍できるかということが、企業にとっての真の課題となっています。本連載では、採用をゴールとするのではなく、その先の「安心・活躍」を支えるために何が必要なのかを考えていきたいと思います。 なぜ、仕事はできるのに辞めてしまうのか  障害者雇用の現場でよく耳にするのが、「作業はそこまで問題ないのに、急に本人が『辞めたい』といいだした」という戸惑いの声です。企業の担当者からすれば、「仕事は順調だったはずなのに、なぜ?」と首をかしげたくなるような離職が少なくありません。  特に知的障害や精神障害のある方は、「仕事の能力」ではなく、「職場以外の生活面」に原因が隠れていることが少なからずあります。  私たちはつい、従業員を「会社にいる時間(労働)」だけでとらえてしまいがちです。しかし、障害のある方にとって、職場でのパフォーマンスと私生活面の安定は、切っても切り離せない密接な関係にあります。安心して働くための「生活の土台」が整っているか。この視点が、重要なポイントの一つとなるのです。 生活面の問題が「仕事のミス」として現れるとき  生活面の問題がどのように仕事に影響を及ぼすのか、具体的な例をあげてみましょう。  例えば、ある職場で非常にまじめに働いていた従業員が、急に遅刻をくり返す、集中力が切れて簡単なミスを連発するようになったとします。  職場では当初、「仕事に慣れて慢心したのではないか」、「やる気がなくなったのではないか」という見方をしてしまいがちです。しかし、詳しく背景を確認してみると、じつは職場の外で、次のようなことが起きている場合があります。 【睡眠と生活リズムの乱れ】夜遅くまで動画サイトを見てしまい、朝起きられなくなる。あるいは、近隣トラブルで眠れない夜が続いている。 【お金に関する不安】給料の使い方がわからず浪費をし、月末に十分な食料を購入することができない。あるいは、高額な買い物をしてしまい、支払いに追われて仕事が手につかなくなっている。 【孤独感や人間関係の希薄さ】休日に一言もだれとも話さず、月曜日の朝に強い不安や緊張を感じてしまう。  これらは一見、プライベートな問題に思えます。しかし、「生活面の問題」が仕事に支障をきたすことが少なからずあるのです。生活の土台がぐらついたままでは、たとえ作業マニュアルがあっても、それを使いこなす力は発揮されません。職場でのトラブルは、生活面での困りごとが形を変えて現れた「サイン」であることが多いのです。 仕事と生活の両面を支える視点  こうした生活面の問題に、企業はどこまで踏み込むべきなのでしょうか。もちろん、従業員の生活面のすべてを企業が管理することはできませんし、それは望ましいことでもありません。  しかし、「仕事と生活の両面を支える視点」を職場が持つことは、結果として安定した就労の継続と能力の発揮につながります。そのためには、「本人が発している生活面での変化に気づこうとする」という意識が大切になってきます。「なぜ最近ミスが多いのか?」という問いを、「最近、夜は眠れているかな?」、「家で何か困っていることはないかな?」と、一歩踏み込んで想像してみてください。  こうした眼差しがある職場では、本人は「自分のことを理解しようとしてくれている」という安心感を抱くことができます。この安心感が、不安を解消し、仕事への意欲など前向きな心理状態をつくりだすこととなります。  しかし、企業がどこまで本人の生活面にかかわってよいのか、その線引きに悩む担当者の方も多いはずです。  そこで重要になるのが、地域の就労支援機関との積極的な連携です。  生活面のサポートを支援機関にになってもらうことで、企業は「仕事を教える、働きやすい環境をつくる」といった役割に専念でき、本人も「生活のことは支援機関に、仕事のことは会社に相談できる」との安心感を得ることができます。また、支援機関のサポートによって、本人の生活面での安定が図られ、職場で能力を発揮するための土台が整うこととなります。 働く幸せを支える「環境の力」  日本理化学工業株式会社(神奈川県)の元会長の故・大山(おおやま)泰弘(やすひろ)さんは、「人間の究極の幸せは、人に愛されること、ほめられること、人の役に立ち、人から必要とされること。働くことによってそれらは得られる」と語りました。  障害のある方が職場で「必要とされている」と実感するためには、本人の努力だけによるのではなく、周りの環境を整えることが重要です。これは「合理的配慮」でもあり、決して特別なことではありません。  例えば、視力の低い人がメガネをかけることで見えやすくなるように、不安を感じやすい人には「相談できる人」をそばに配置したり、手順を「見える化」することで不安を軽減する。これも立派な環境調整です。  「障害」は本人の心身の状態だけではなく、周りの環境との関係で決まるものです。職場において、作業面やコミュニケーション面などで、ちょっとした配慮を得ることができれば、障害のある方はいっそう能力を発揮しやすくなり、その結果、職場の方などからプラスの評価を受ける機会が増えます。そのことにより「自分はこの会社で、この職場で必要とされているのだ」との思いを強くするでしょう。 おわりに― 変化に強い「豊かな職場」へ  障害者雇用を、単なる「法定雇用率という数字を達成するための義務」ととらえるのはもったいないことです。  一人の従業員の生活面にも思いを馳せ、どうすれば安心して能力を発揮できるかを職場内で考える。この取組みは、障害のない従業員にとっても、「自分に何かあっても会社は支えてくれる」という信頼感につながるでしょう。  「一人ひとりを大切に受け入れる」という文化がある職場は、すべての従業員にとって働きやすく、変化に強い組織へと進化していきます。 * * * * *  次回は、障害のある方が、安心して働き、能力を発揮するための正しい理解に基づいた職場でのサポートについてお伝えします。 POINT ワンポイントアドバイス 職場における合理的配慮  障害のある人が障害のない人と平等に働くことができるよう、企業側が過度な負担にならない範囲で対応や工夫を行うこと。例えば車いすのための段差解消といった物理的環境への配慮だけでなく、指示の出し方の工夫といった意思疎通のための配慮などもあります。相談できる体制を整備し、本人と話し合って配慮を行いましょう。 豆知識 日本理化学工業株式会社※  ダストレスチョークの製造などで知られる文具メーカー。1960(昭和35)年に知的障害のある人を雇用して以来、現在では従業員の7割以上を知的障害のある人が占めています。故・大山泰弘会長が禅寺のお坊さんから教わり大切にしてきた「人間の究極の幸せ(愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること)」という哲学は、日本の障害者雇用のモデルとして多くの企業に影響を与え続けています。 ※本誌2022年7月号の「編集委員が行く」(大塚由紀子編集委員)で、日本理化学工業株式会社を取材、紹介しています。以下ホームページでもご覧になれます。 https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/book/hiroba_202207/index.html#page=22 【P12-14】 JEED インフォメーション 〜高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのお知らせ〜 “事例で見る”“動画で見る”『雇用の分野における合理的配慮事例の紹介』 ホームページで検索できます! ホームページ「障害者雇用事例リファレンスサービス」 紹介ページはこちら JEED リファレンス 検索  事業主には、障害者の募集・採用時および採用後に、障害の特性や本人の希望・ニーズに応じて個別に配慮する『合理的配慮の提供』が2016年(平成28年)4月より義務づけられています。  しかし、「どのような配慮をすればよいのかわからない」という事業主の方や、「企業から相談されたが、どのような支援を行えばよいか迷う」という支援機関の方もいらっしゃるのではないでしょうか。  JEEDが運営するホームページ「障害者雇用事例リファレンスサービス」では、実際に『合理的配慮の提供』を行っている企業の事例(合理的配慮事例)を紹介しています。また、そのほかにも、さまざまな創意工夫を行い、障害者雇用に積極的に取り組んでいる企業の事例(モデル事例)を掲載しています。  今後も、企業や支援機関のみなさまに役立つ事例を掲載していきますので、ぜひご利用ください。 業種や従業員規模、都道府県、障害の種類などの条件を設定して事例を検索することができます。 合理的配慮事例を検索する場合は、こちらのチェック欄を選択してください。 掲載例(抜粋) <利用者アンケートから> ・「募集・採用、定着までの経緯を知ることができた」 ・「具体的な配慮の例を知ることができた」  「障害者雇用事例リファレンスサービス」では、よりよいサービスの提供のため、みなさまのご意見等をおうかがいしています。  ホームページからアンケートへのご協力をお願いいたします。 ◆お問合せ先 障害者雇用開発推進部 雇用開発課 TEL:043-297-9513 FAX:043-297-9547 E-mail:ref@jeed.go.jp ホームページでご覧ください! 動画「みんな輝く職場へ 〜事例から学ぶ 合理的配慮の提供〜」 紹介ページはこちら JEED みんな輝く 検索  「合理的配慮とは何か」、「どのように取り組めばよいか」と疑問をお持ちの事業主の方にもわかりやすく、『合理的配慮の提供』に関するポイントの解説などを紹介しています。  JEEDホームページでご覧いただくことができるほか、関連するDVDの無料貸出しも行っていますので、ぜひご活用ください。 【視覚障害】就労支援機器の活用 【精神障害】社内相談支援体制の整備 【発達障害】企業在籍型ジョブコーチの活用 障害別に取組みのポイントを専門家がわかりやすく解説しています。 ◆お問合せ先 障害者雇用開発推進部 雇用開発課 TEL:043-297-9513 FAX:043-297-9547 E-mail:manual@jeed.go.jp ▲就労支援機器に関する相談  「みんな輝く職場へ」の動画内でも紹介している「就労支援機器貸出・相談窓口」では、企業向けに機器の有効活用に関する情報提供、相談、機器の無料貸出し(6カ月間)を行っています。お気軽にお問い合わせください。  貸出しをしているおもな機器は次の通りです。 視覚を補助する機器 ・拡大読書器 ・パソコン支援ソフト  (画面読み上げソフト、画面拡大ソフト、文字認識OCRソフトなど) 聴覚を補助する機器 ・デジタル補聴システム ・難聴者向けスピーカー など 感覚過敏を軽減する機器 ・パーテーション ・イヤーマフ ・ノイズキャンセラー など 就労支援機器貸出・相談窓口(旧名称:中央障害者雇用情報センター) TEL:03-5638-2792 E-mail:kiki@jeed.go.jp 紹介ページはこちら 2026(令和8)年度 下半期 職場適応援助者養成研修のごあんない  職場適応援助者(ジョブコーチ)に必要となる専門的知識および支援技術を修得するための「職場適応援助者養成研修」を実施しています。 開催日程等 時期 地域区分 日程 募集期間 10月期 全国 【集合研修(リアルタイムオンライン形式)】 2026年10月21日(水)、22日(木)、28日(水)、29日(木) 【実技研修】 地域障害者職業センターに集合して4日間程度で実施 2026年8月4日(火)〜8月19日(水) 12月期 東日本 【集合研修(集合形式:千葉県千葉市)】 2026年12月8日(火)〜11日(金) 【実技研修】 地域障害者職業センターに集合して4日間程度で実施 2026年9月24日(木)〜10月9日(金) 西日本 【集合研修(集合形式:大阪府大阪市)】 2026年12月15日(火)〜18日(金) 【実技研修】 地域障害者職業センターに集合して4日間程度で実施 2026年9月24日(木)〜10月9日(金) 2月期 全国 【集合研修(リアルタイムオンライン形式)】 2027年2月3日(水)、4日(木)、9日(火)、10日(水) 【実技研修】 地域障害者職業センターに集合して4日間程度で実施 2026年11月10日(火)〜11月27日(金) (注)集合研修※1および実技研修※2のすべての日程の受講が必要です。部分受講はできません。 ※1 集合研修はさまざまな地域から受講者が参加し実施されます。 以下の地域区分を設けており、該当する地域(都道府県)が、受講対象です。 東日本:北海道、東北、関東甲信越および富山、石川、静岡、愛知 西日本:福井、岐阜、三重、近畿、中国、四国、九州、沖縄 全国:東日本、西日本の全都道府県 ※2 実技研修は集合研修終了後に実施します。詳細は下記JEEDホームページをご参照ください。 申込方法等 募集期間に地域障害者職業センターあてにメールにて受講申請書をお送りください。受講申請書は募集期間前にJEEDホームページに掲載します。 研修の詳細はJEEDホームページをご確認ください ★訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修: https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/seminar/job_adapt01.html ★企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修: https://www.jeed.go.jp/disability/supporter/seminar/job_adapt02.html 訪問型 企業在籍型 お問合せ先 職場リハビリテーション部 人材育成企画課 TEL:043-297-9095 E-mail:stgrp@jeed.go.jp 【P15-18】 グラビア 作業の細分化で、だれもが活躍できる物流センター 富士センコー運輸株式会社 新富士PDセンター(静岡県) 取材先データ 富士センコー運輸株式会社 新富士PDセンター 〒417-0818 静岡県富士市末広1-20 TEL 0545-67-0198 写真・文:官野貴  静岡県富士市に本社を置く富士センコー運輸株式会社(以下、「富士センコー運輸」)は、静岡県東部地区を中心に15の拠点を構え、物流センター業、トラック配送業、工場内作業など多角的な物流サービスを展開している。  拠点の一つで、大手ドラッグストアの物流をになう新富士PD(※)センターでは、商品の入庫から検品、仕分け、コンベアへの投入作業など、さまざまな部署において知的障害や精神障害、身体障害のある従業員14人が活躍している。  仕分けを終え商品が積まれた「カゴ台車」を店舗ごとに集積する「ステージング」作業を行っていた宮(みや)誠樹(まさき)さんは入社2年目。就労支援施設利用時の職場実習を経て入社した。  ステージングは、各商品に貼られたラベルのバーコードをハンディターミナルで読み取り、出荷に向けた最終確認も行う重要な工程だ。宮さんは「集積場所を間違えたり、ラベルの登録漏れを起こさないように注意して作業しています」と話す。  富士センコー運輸では、業務の切出しの際に、作業の細分化を行うことで、だれもが活躍できる職場環境をつくりあげた。例をあげると、検品荷役作業を分割し、入荷した商品をベルトコンベアに乗せる作業や店舗ごとに仕分ける作業だけに特化させることにより、複雑な作業やチームワークを求められるような作業が苦手な従業員でも活躍できるようになった。  仕分け作業においても、段ボール回収やトレー回収などに細分化して切り出すことで、体力に自信のない従業員でも能力を十分に発揮している。これらの取組みは、高齢の従業員の業務負担軽減や、ほかの従業員がより業務に集中できる環境を生み出すなどの相乗効果をもたらしている。  また、社内での障害者雇用への理解をうながすため、支援機関から講師を招いて、管理者などに対し研修を実施するなどの取組みを行っている。富士センコー運輸では、今後も支援機関と連携し、積極的に障害者雇用を続けていく予定だという。 ※PD:Physical Distributionの略。フィジカル・ディストリビューション=物流 写真のキャプション @コンベアでエリアごとに仕分けられた商品を店舗ごとのカゴ台車に積み込む「ケースシュート」は、宮誠樹さんが得意とする作業の一つだ A「ケースシュート」を終えたカゴ台車を店舗ごとに集積し、検品する「ステージング」作業を行う宮さん B商品に貼られたラベルをハンディターミナルで読み取る Cステージングが完了したことを示すため、カゴ台車のラベルにサインする宮さん 飲料水が積まれたパレットをフォークリフトで運搬する木村(きむら)誠(まこと)さん 製造メーカーから入荷した商品を洗剤や化粧品などのカテゴリごとに仕分けて カゴ台車に積み込む「インダクション」を行う若杉(わかすぎ)京志郎(きょうしろう)さん コンベアでは扱えない商品を仕分けるデラベガガルシア・ジャンマルコさん。この商品は一梱包あたり20kgあるが、デラベガガルシアさんはテンポよく作業を行っていた コンベアに商品の段ボールを流す望月(もちづき)陸(りく)さん。商品の外装に貼りつけられたラベルの向きなどに注意を払いながら作業を行う PDセンターの一角。コンベア上をさまざまな商品が行き交い、商品外装に貼りつけられたラベルをもとに自動で配送エリアごとに仕分けられる 商品の入ったコンテナを検品ラインに投入する鈴木(すずき)由布斗(ゆうと)さん。検品の担当者が作業を行いやすいようにコンテナの蓋(ふた)を開けラインに投入する 店舗から返却された冷蔵商品用の保冷カバーつきカゴ台車から保冷剤を取り出す麦島(むぎしま)伸一(しんいち)さん ほかの拠点で行われる次出荷準備作業に向けて、カゴ台車内のコンテナを整理する麦島さん 【P19】 エッセイ 強迫性障害の私が、自分らしく働けるようになるまで 第1回 理解されない不安な日々 漫画家・イラストレーター つくし ゆか 看護専門学校卒業後、大分県や福岡県の医療・介護現場で看護師として勤務。2019(令和元)年に結婚を機に鹿児島県へ移住。自身の強迫性障害の体験をもとに漫画制作を開始し、2022年に燦燦舎より『極度の心配性で苦しむ私は、強迫性障害でした!!』、2025年にラグーナ出版より『強迫性障害とともに生きてみた。〜不安が軽くなる30のヒント〜』を出版。現在は県内で講演活動も行っている。 止まらない確認  「玄関の鍵、ちゃんと閉めたはずなのに……」  家を出ようとした私は、何度もドアノブをガチャガチャと引いていました。鍵はかかっている。目でも確認しているし、手の感触でもわかっている。それなのに、「閉まっていないかもしれない」という不安が頭から離れないのです。  「もう大丈夫」と思ってその場を離れても、数歩歩いた瞬間にまた不安が押し寄せてきます。そして結局、もう一度玄関へ戻って確認する。そのくり返しでした。  気づけば20分以上、家を出ることができない日もありました。  これは、強迫性障害と呼ばれる病気の症状の一つです。 広がっていく不安  私の場合、不安は鍵だけにとどまりませんでした。  手を洗っても洗っても、「まだ汚れている気がする」と感じてしまい、気づけば20分以上洗い続けていました。指先が荒れてヒリヒリしても、途中でやめることができません。  また、コンロの火を消したかどうか不安になり、何度も確認してしまうこともありました。水道の蛇口、冷蔵庫の扉、電気のスイッチなど、確認する対象は少しずつ増えていきました。  どれも、「ちゃんとできている」と頭では理解しています。それでも、「もし違ったらどうしよう」という不安が消えないのです。  車を運転しているときには、「いま、人をひいてしまったのではないか」という不安に襲われることもありました。何も起きていないはずなのに、気になって来た道を引き返して確認することもありました。  家に帰ってからも不安は消えません。ニュースでひき逃げ事件が報じられていないか、何度も検索して確認してしまうのです。 やめたくても、やめられない  頭では「そんなはずはない」と理解しているのに、やめられない。  確認しても安心できるのはほんの数秒だけで、すぐにまた不安が湧いてきます。まるで、自分の意思とは別の何かに行動を支配されているような感覚でした。  私はこの不安の存在を、漫画の中で「ハックン」と名づけています。  「本当に大丈夫?」、「もし違ったらどうするの?」  そんなふうに頭の中でささやき続け、確認するまで不安を止めてくれない存在です。 理解されにくい苦しさ  こうした行動は、周囲にはなかなか理解されませんでした。  外出先で確認行為が始まると、冷ややかな目でみられたり、「もうやめなよ」といわれたりすることもありました。周囲からみれば、“気にしすぎ”や“変わった癖”にみえていたのだと思います。  しかし、やめようとすればするほど不安は大きくなり、かえって確認をくり返してしまいます。  ある日、帰宅すると玄関に張り紙がされていました。「毎日毎日ガチャガチャうるさい。頭がおかしくなりそう。もうやめてくれ!」と書かれていました。  自分でもどうにもできない行動を否定され、「やっぱり自分はおかしいんだ」と強く思いました。  それから私は、この症状をだれにも話せなくなりました。  「こんなことをいっても理解されない」、「気持ち悪いと思われるかもしれない」  そんな気持ちが強くなり、ひとりで抱え込むようになっていったのです。 発症のきっかけ  発症したのは、19歳のときでした。  看護師の専門学校に通い、実習や国家試験のプレッシャーに追われていたころです。毎日やることが多く、つねに気を張って生活していました。  そんなある日、突然、玄関の鍵が気になって仕方なくなりました。  最初は「少し心配性になっただけかな」と思っていました。しかし、不安は少しずつ広がっていきました。  コンロ、水道、冷蔵庫、そして「人に危害を加えてしまったのではないか」という恐怖へ、不安の対象は増えていったのです。  それが、私の長い強迫性障害とのつき合いの始まりでした。 まず知ってほしいこと  強迫性障害は、「心配性な性格」や「気にしすぎ」で片づけられるものではありません。  本人も「やりすぎだ」とわかっていながら、やめることができない病気です。そして、その苦しさは外からはみえにくいものでもあります。  周囲には普通に生活しているようにみえていても、頭の中では強い不安とずっと闘っていることがあります。  まずは、このみえにくい不安が存在することを、知っていただけたらと思います。 【P20-25】 編集委員が行く できること・やりたいことを軸に“楽しく働く”を実現 株式会社パルグループホールディングス(大阪府) 武庫川女子大学 准教授 増田和高 取材先データ 株式会社パルグループ ホールディングス 〒541-0045 大阪府大阪市中央区道修町(どしょうまち)3-6-1 TEL 06-6227-0308 増田(ますだ)和高(かずたか) 編集委員から  障がい者雇用を検討する際、「障がいのある人でも遂行可能な仕事を切り出す」という引き算の発想に陥ることは少なくない。しかし、一人ひとりの従業員のなかには、多様な感性や「これがやりたい」という熱意がたしかに存在します。本人の意思を置き去りにした業務配置は、真の活躍を引き出すマネジメントとはいえないはずです。  今回は、全国の店舗を舞台に現場主体の障がい者雇用を展開する、株式会社パルグループホールディングスを取材しました。同社では、障がいによる制限ではなく、「洋服が好き」、「接客に挑戦したい」という個人の意思や強みを起点に仕事を組み立てる「職務のオーダーメイド化」を実践しています。一人ひとりが活き活きと輝き、高いワーク・エンゲイジメント(働きがい)を持って働くための、先進的なアプローチを紹介したいと思います。 写真:官野貴 Keyword:ワーク・エンゲイジメント、仕事への意欲、職務のオーダーメイド化 POINT 1 「やりたい」、「好き」を起点にする仕事づくり 2 対話から生まれる「職務のオーダーメイド化」 3 一人のための工夫が職場全体を豊かにする好循環  人手不足や働き方の多様化が進む現代において、多様な人材が能力を発揮できる環境づくりは、企業の持続可能性を支える重要な基盤となる。同時に、こうした環境整備は、これまで「多様性」が受け入れられず社会的な壁に直面してきた人びとが同じ仲間として共生できる社会の実現にも貢献することが期待されている。  こうした流れのなかで、障がい者雇用のあり方にもパラダイムシフトが起きている。従来の障がい者雇用は、「障がいのある人でも遂行可能な仕事を切り出し、その業務に配置する」という発想が主流であった。もちろん、こうした工夫は雇用機会の創出という点で大きな意義を果たしてきた。しかし一方で、「何ができるか」に固執するあまり、本人が何を望み、どのような場面で個性を発揮できるのかという視点は、必ずしも十分に重視されてこなかった側面もある。  今回取材した株式会社パルグループホールディングス(以下、「パルグループ」)は、こうした現状に一石を投じる企業の一つといえる。「できることを、自分のペースで、楽しく働く」を行動指針に掲げる同社では、障がい者雇用を特別な制度として切り離すのではなく、多様な人材が力を発揮できる組織づくりの一環として位置づけてきた。そこにあるのは、「障がいによる制約」から出発するのではなく、「何をやりたいのか」、「どこで強みを発揮できるのか」という本人の意思や熱意を起点に仕事を組み立てる姿勢である。このアプローチは一見すると障がい者雇用における固有の工夫のように思えるが、じつは近年の産業保健や人的資源管理の領域で注目されている「ワーク・エンゲイジメント」の概念と深く重なり合っている。本稿では、パルグループが展開する「CIAO PANIC TYPY(チャオ パニック ティピー)」、「Discoat(ディスコート)」、「3COINS(スリーコインズ)」の店舗で働く従業員へのインタビューを通じ、いかにしてワーク・エンゲイジメントを高める仕事を創出し、それが組織にどのような好影響をもたらしているのかを紐解いてみたい。 「ワーク・エンゲイジメント」とは  従業員のウェルビーイングや働きがいへの関心が高まる背景には、離職率の上昇や人材確保の困難さといった深刻な課題がある。その解決の糸口として注目されているのが「ワーク・エンゲイジメント」である。わが国における研究の第一人者である島津(しまず)明人(あきひと)さんによれば、ワーク・エンゲイジメントとは「仕事に関連するポジティブで充実した心理状態」と定義される。これは「活力」、「熱意」、「没頭」の三つによって特徴づけられ、仕事に向けられた持続的かつ全般的な感情と認知をさす(22ページ図)。つまり、ワーク・エンゲイジメントの高い人は、仕事に誇りとやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て活き活きと輝いている状態にあるといえる。ここで重要なのは、ワーク・エンゲイジメントが単なる「労働条件への満足度」や「一時的なモチベーション」とは異なる点だ。給与や待遇に満足していても、仕事そのものに意味を見出せなければエンゲイジメントは高まらない。また、精神論として「がんばること」を求めるものでもなく、自らの強みや価値観を活かしながら「主体的に働いている状態」に着目した概念である。この視点に立つと、障がい者雇用のあり方も新たな角度からとらえ直すことができる。従来の雇用管理のように、障がい特性に応じて仕事を切り出し、適応できる業務を提供することはもちろん重要な合理的配慮である。しかし、それだけでは「働ける状態(不満がない状態)」はつくれても、「活き活きと働く状態(満足して充実している状態)」までは保証できない。ワーク・エンゲイジメントの観点からみれば、本人が何に興味を持ち、どのような仕事にやりがいを感じ、どのような強みを持っているのかに目を向ける必要がある。すなわち、単に「できる仕事」をあてがうのではなく、「活躍できる仕事」をともに創り出すアプローチこそが重要となる。 ワーク・エンゲイジメントを高める仕組み(JD-Rモデル)  では、ワーク・エンゲイジメントはどのように高めていけばよいのだろうか。その代表的な理論が「JD-R(JobDemands-Resources:仕事の要求度−資源)モデル」である。このモデルでは、職場環境に存在する要素を「仕事の要求度」と「資源」の相互作用としてとらえる。まず「仕事の要求度(Job Demands)」とは、業務量の多さや時間的制約、対人関係のストレスなど、労働者に継続的な努力や負担を強いる要因をさす。これに対し、目標達成や個人の成長を支える要因が「仕事の資源(Job Resources)」であり、上司や同僚からの支援、裁量権、成長機会、適切なフィードバックなどがこれに該当する。さらに近年では、この環境側の要因だけでなく、働く人自身が内包する心理的・行動的な力である「個人の資源(Personal Resources)」の重要性も指摘されている。これは、自己効力感(やればできるという自信)や、自らの強みへの深い理解などをさす。JD-Rモデルが示すのは、労働者が十分な「仕事の資源」と「個人の資源」をバランスよく保有しているとき、仕事の要求度(負担)を乗り越え、意欲や活力を高めやすくなってワーク・エンゲイジメントが向上するというメカニズムである。逆に、これら二つの資源が乏しい状態では、仕事の負担ばかりが重くなり、疲弊や離職につながるリスクが高まってしまう。  この視点から障がい者雇用をとらえ直すと、本質的な課題がみえてくる。これまで障がい者雇用では、合理的配慮や支援体制の整備といった「仕事の資源」が注目されがちであった。だからこそ今後求められることは、本人が持つ強みや関心、挑戦したい気持ちといった「個人の資源」をいかに引き出し、日々の業務に組み込めるかという点ではないだろうか。パルグループの取組みは、まさにこの問いに対する実践そのものである。同社は「障がいがあってもできる仕事」を探すのではなく、「この人は何が好きなのか」、「何にやりがいを感じるのか」という個人の資源を出発点として仕事を組み立てていた。次節からは、店舗で働く従業員たちの具体的な姿を通して、その実践のあり方をみていきたい。 「やりたい」から始まる仕事づくり(Discoatの実践)  JD-Rモデルが示す「個人の資源」の活用は、各店舗でユニークな形で具現化している。カジュアルブランド「Discoat」の店舗で働く障がいのある従業員のAさんは、幼いころから洋服が大好きで、就職活動を控えた際も「アパレル業界で働きたい」という強い願いを持っていた。しかし、障がいのある自分に本当に務まるのだろうかという不安も同時に大きかったという。大きな決断を迫られた際、背中を押してくれたのは兄の言葉だった。「同じ後悔をするなら、好きでもない仕事をして後悔するより、好きなことをして後悔したほうがいい」。この言葉に勇気をもらい、自分が本当にやりたい仕事へ挑戦することを決意した。高校時代にDiscoatでのインターンシップ(実習)を経験した際、洋服が好きなスタッフたちと協力して働く楽しさを肌で感じ、「ここで働きたい」という想いは卒業時まで揺るがなかった。現在はバックルームでの商品整理やディスプレイ業務を担当している。入社当初は、自分から意見を伝えることに強い緊張を抱いていたという。しかし、ともに働く周囲のスタッフが特別扱いせず自然体で接してくれたことで、徐々に職場への安心感を深めていった。いまでは「自分らしく働けている」と満面の笑みをみせる。そこには、自ら選んだ仕事に誇りを持ち、主体的に業務へ没頭する、高いワーク・エンゲイジメントの形があった。 仲間として働くことで生まれる力(CIAOPANIC TYPYの実践)  ファミリーカジュアルを展開する「CIAOPANIC TYPY」の店舗でも、障がいのある従業員たちがそれぞれの資源(力)を活かして活躍している。同店で接客を担当する従業員のBさんは、「店舗の売上げに貢献できることがうれしい」と語る。接客を通じてお客さまに喜んでもらい、それが店舗の成果につながることに大きなやりがいを感じているという。Bさんが特に大切にしているのは、採用時に店舗側からかけられた「仲間として一緒に働こう。特別扱いはしないけれど、困ったときは一緒に考えよう」という言葉だ。このメッセージを受け、「仲間として認めてもらうために、まずは自分が仲間を信じよう」と心に決めたという。こうした信頼関係は、いまや店舗全体の文化へと昇華している。だれかが困っていれば自然に声をかけ、忙しいときにはお互いにフォローし合う。「障がい者と支援者」という非対称な関係ではなく、同じ目標に向かう「仲間」として助け合うナチュラルサポートが根づいているのだ。ともに働くスタッフからも、「職場全体に温かい言葉や気遣いが自然に生まれるようになった」という声があがっている。また、同店で商品管理やディスプレイを担当する障がいのある従業員のCさんも、仲間との対話を通じてワーク・エンゲイジメントを高めた一人だ。入社当初、不安だったのは、「自分の困りごとを周囲にうまく伝えられるか」という点だった。特に、衣類をきれいにたたむ作業に苦手意識を持っていたという。これに対し、当時の上司は過度な配慮を行うのではなく、段ボールで手づくりの「練習用の型」を作成し、一緒にたたむ練習をする時間を設けた。「どの作業が苦手で、どの仕事が得意なのか」、「これから何をやってみたいのか」、こうしたていねいな対話を重ねながら、上司はCさんのペースに合わせて一歩ずつ仕事内容をグラデーションのように調整していった。周囲の真摯な姿勢に触れるなかで、Cさんの心には「この期待に応えたい」という前向きな熱意(個人の資源)が芽生えていく。自ら体調管理を意識するようになり、不安なことがあれば抱え込まずに周囲へ相談できるようになった。すると、職場にさらなる好循環が生まれた。本人が自己開示し、周囲がそれに共感して耳を傾けるプロセスを重ねるうちに、働くこと自体が大きな「安心感」へと変わっていったのだ。現在では、Cさん自身がほかのスタッフの相談に乗ることもあるという。店長代理は、この変化を次のようにふり返る。  「一人の課題に向き合うためにコミュニケーションを重ねた結果、気づけば店舗全体のコミュニケーション量そのものが増えていました。もともと温かい職場ではありましたが、以前にも増して『チームとして取り組もう』という一体感が強くなりました」  障がいのある従業員へのていねいな向き合い方が、結果として店舗全体の「仕事の資源」を豊かにするという、見事な組織シナジー(相乗効果)が生まれていた。 一人ひとりの成長を支える職場(3COINSの実践)  雑貨ブランド「3COINS」の店舗で、バックルームの商品整理や納品管理を担当する障がいのある従業員のDさんは、働く楽しさについて「新しい仕事ができるようになること」だと即答してくれた。最初はむずかしかった業務ができるようになること、挑戦したかった仕事を任せてもらえること、その成果を店舗のメンバーに認めてもらえること、こうしたスモールステップの積重ねが、Dさんにとって自己効力感を高め、自身の成長を実感する貴重な機会になっている。また、「聞けばいつでも教えてもらえる」という職場の心理的安全性を高く評価していた。わからないことを一人で抱え込まず、困ったときにすぐ相談できる環境があるからこそ、失敗を恐れずに新しい業務へチャレンジしようと思えるのだという。ともに働く店長は、障がい者雇用における視点について「障がい者手帳の有無や障がい名だけでは仕事の適性は判断できません。日々のかかわりのなかでその人の性格や人となりがみえてくることで、スタッフ同士の『仲間』としての認識がどんどん深まっていく。そうしたプロセスのなかで少しずつ『どのような仕事をしてもらいたいか』と、本人の『どのようなことがしたいか』を擦り合わせていくことを大切にしています」と語る。「障がい者手帳を持っているからこの仕事」と業務を狭めるのではなく、本人の働くリズムを尊重しながら、「何がしたいのか」、「どのような強みがあるのか」を一緒に考えていく。もちろん、仕事として守るべきルールやプロとしての基準は毅然と伝えるが、その根底には「一人の大切な従業員として信頼し、ともに成長していこう」という揺るぎないリスペクトが存在していた。  今回取材した店舗で働く従業員たちに共通していたのは、「障がいがあるからという理由であてがわれた仕事」を義務感でこなしているという姿勢とは真逆の姿勢であった。好きなことに挑戦し、仲間と信頼関係を築き、自らの成長を実感しながら職務に向き合う姿、この充実感こそが彼らの「活力」や「熱意」となり、高いワーク・エンゲイジメントが維持されているのではないだろうか。 課題に向き合うことから始まった挑戦  「好きな仕事に挑戦できる」、「仲間として働ける」、「成長を実感できる」。従業員たちが口々に語るすばらしい職場環境は、決して最初から用意されていたわけではなかった。その歩みをたどるため、パルグループにおける障がい者雇用を牽引してきた、サポートフロンティア室担当責任者の清水(しみず)領(りょう)さんに話を聞いた。いまでこそ障がい者雇用のトップランナーとして知られる同社だが、かつては法定雇用率を十分に満たせない時期があったという。制度への対応という現実的な課題に直面するなかで、社内でも「どのようにして実効性のある雇用を進めるべきか」という模索が続いていた。その際、清水さんは、単に義務を果たすためだけの雇用ではなく、企業としての社会的責任を果たし、同時に組織の成長にもつながるような本質的なアプローチが必要であると考えた。  そこで清水さんが一念発起して導き出した仕組みが、「本社に専門部署をつくって一括管理するのではなく、全国に展開する既存の各店舗で、障がいのある人を一人ずつ仲間として受け入れていく」という現場分散型のスタイルであった。いまでこそ店舗主体の障がい者雇用は広まりつつあるが、当時は「現場の業務になじむだろうか」、「アパレルの店舗でどのような役割をになってもらうべきか」といった不安や手探りの要素も多かったという。それでも清水さんは「まずは現場で実践してみる」という選択をした。パルグループの障がい者雇用の歴史は、この実直な挑戦から始まったのである。 「できる人」を探すのではなく、「活かす方法」を考える「職務のオーダーメイド化」  しかし、いざ採用を進めるなかで、新たな課題もみえてきた。「雇用数の確保」だけを目的にしてしまうと、企業側の発想はどうしても「どの仕事なら任せられるか」という引き算の思考になりやすい。すると無意識のうちに、「既存の定型業務にできるだけ適応できる人材」ばかりを探すようになる。だが、このアプローチにはすぐに限界が訪れた。清水さんは当時をふり返り、苦笑交じりに「結局、そのやり方では他社との人材獲得競争のなかで、自社にマッチした方をていねいにお迎えすることがむずかしくなるんですよ」と語る。大企業が充実した専用の職場環境を整えるなかで、同じ「定型業務への適応力」というモノサシだけで判断をすれば、現場主体の同社は不利になるとのこと。さらに、「障がい者だからこの作業」といった画一的な配置を続ければ、本人が持つ潜在能力やモチベーションも十分に活かされず、職場への定着にもつながらない。そこで清水さんがたどり着いたのが、「仕事に人を合わせるのではなく、人に仕事を合わせる」という逆転の発想、すなわち「職務のオーダーメイド化」であった。障がい特性や支援の必要性をみるのではなく、「その人が何をしたいのか」、「何が好きなのか」、「どのような場面でもっとも輝くのか」という内面(個人の資源)を徹底的に一緒に考える(ときに、家族や学校の先生を交えて話合いも行うとのこと)。そして、採用した人を既存の職務内容にあてはめるのではなく、その人の強みに合わせて、店舗の仕事内容や環境を柔軟にカスタマイズしていった結果、それぞれの個性や関心、「やってみたい」に挑戦できる舞台が同社では用意されることになる。そこでは障がいの有無という属性は消え去り、「その人らしさ」という個人の資源が、組織を動かすエンジンになっていた。 成功事例の「水平展開」が職場を変える  もっとも、こうした先進的な理念を清水さん一人が牽引するだけでは、全国の店舗組織は変わらない。日々売上げ目標に追われる現場の店長やスタッフが、腹落ちして行動に移さなければ絵に描いた餅に終わるからだ。そこで清水さんが実践したのが、一部の店舗でつちかった「成功事例の水平展開(横展開)」という戦略だった。まずは、障がい者雇用に対して理解があり、エネルギーのある店長がいる店舗を選択し、そこで徹底的に伴走して「最初の成功モデル」をつくり出す。障がいのある従業員が戦力として活躍し、それをみた既存スタッフの意識が変わり、結果として職場の雰囲気がよくなる。この確固たる実績とノウハウをパッケージ化し、エリアマネージャーなどを通じて全国の他店舗へ次々と波及させていくという、地道だがきわめて着実なアプローチをとった。  結果として、障がいのある一人の従業員と対話を深めるための工夫が、巡り巡って、職場全体の心理的安全性を高め、お互いをケアし合い、信頼関係のあるチームビルディングへとつながっていく。こうした取組みは障がいのある人だけが恩恵を受けるのではなく、ともに働くすべての従業員にとって、働く価値を高めるためのイノベーションとなった実例ではないだろうか。障がい者雇用のための配慮が「コスト」ではなく、組織全体のエンゲイジメントを高める「投資」になることが示唆された取組みであると取材を通して実感した。 ワーク・エンゲイジメントからみたパルグループの実践  ここであらためて、冒頭で提示したワーク・エンゲイジメントの理論(JD-Rモデル)の視点から、パルグループの実践を総括してみたい。JD-Rモデルにおいて、ワーク・エンゲイジメントは「仕事の資源」と「個人の資源」がかけ合わされることでエネルギーを生むとされている。もし、同社が従来の障がい者雇用のように「障がいがあるからこの定型業務」と一方的に仕事を切り出し、あてがうだけの管理をしていたならば、今回取材した従業員たちが語ったような、誇りと活力に満ちた言葉や活き活きとした表情は生まれ得なかっただろう。  パルグループの実践が示唆していることのなかでも特に強調したい点は、従来の合理的配慮(職場・仕事に対する環境を整えること)を超えて、その先にある本人の可能性をみすえるという視点の重要性である。「何ができないか(制限)」ではなく、「何をしたいのか(意思)」を重視する姿勢、「どのような配慮が必要か(負担)」だけではなく、「どのような強みがあるのか(資源)」という視点に関するレンズの切り替えこそが、障がいの有無を越えて、働くすべての人びとのワーク・エンゲイジメントを最大化させる鍵なのではないかと考える。 障がい者雇用から人材マネジメント全体へ  パルグループの取組みは、障がい者雇用の枠組みにおいてきわめて優れた先進事例であることは間違いない。しかし、その本質的な意義は、決して「障がい者雇用」という限定された領域だけにとどまるものではない。本来、だれもが「働く以上は、楽しく、活き活きと働きたい」という思いを持っている。だからこそ、これからの不確実な時代における人材マネジメントに求められるのは、「既存の固定化された仕事(椅子(いす))に、文句をいわずに座れる人を探すこと」ではないと考える。「目の前にいる人の資源を最大化するために、組織としてどのように仕事や環境をデザインできるか」を問い続けること。これこそが今後求められるマネジメントの本質であると考える。パルグループが体現している職務のオーダーメイド化とは、いいかえれば、一人ひとりの「個人の資源」を起点として組織の未来を組み立てる試みだと解釈できるのではないだろうか。その結果として、従業員は仕事に真の意味を見出し、仲間とのつながりのなかで自己変革を遂げ、自分らしく楽しく働くことができる。障がい者雇用の現場で試行錯誤を重ねながら育まれてきた同社の知見は、障がい者雇用の枠を越えて「人が活きる組織とは何か」という問いに対して、豊かな示唆を与えてくれているものと考える。 ★本誌では通常「障害」と表記しますが、株式会社パルグループホールディングス様のご意向により「障がい」としています 図 ワーク・エンゲイジメントとは? ワーク・エンゲイジメント 熱意 没頭 活力 出典:島津明人(2010).職業性ストレスとワーク・エンゲイジメント.ストレス科学研究2010,25,1-6をもとに筆者作成 写真のキャプション 株式会社パルグループホールディングスが展開する「CIAOPANIC TYPY」 CIAOPANIC TYPYでは、ファミリーカジュアルの衣類や雑貨などを取り扱っている 3COINSでは、生活雑貨やインテリア雑貨などさまざまなアイテムを幅広く取り扱っている 株式会社パルグループホールディングス サポートフロンティア室担当責任者の清水領さん 【P26-27】 省庁だより 「卓越した技能者の表彰」制度、障害者部門の紹介 厚生労働省 人材開発統括官付 能力評価担当参事官室  「卓越した技能者(現代の名工)の表彰」制度は、技能の世界で活躍する職人や技能の世界を志す若者に目標を示し、技能者の地位と技能水準の向上、優れた技能の継承などを目的としている。  表彰は、厚生労働大臣が毎年1回実施しており、昭和42年に第1回の表彰が行われて以来、令和7年度の第59回の表彰までに7376名が表彰されている。  令和5年度より、「障害者部門」が新設され、これまでに7名が表彰されているが、その制度の趣旨と障害者部門の概要についてあらためてご紹介する。 卓越技能章(徽章) 卓越した技能者「障害者部門」の概要  「卓越した技能者の表彰」においては、きわめて優れた技能を持ち、活躍する国内の最高水準にある技能者を表彰しており、「障害者部門」では、国内で第一人者と目されるきわめて優れた技能を持ち、活躍する障害者を表彰している。  優秀な技能を持つ障害者が卓越した技能者として表彰されることで、ほかの障害のある技能者の模範となるよう、技能の研鑽をうながすとともに、活き活きと働ける就労環境づくりに資することで、障害者雇用の質をより一層高めることを目標としている。 卓越した技能者の要件  被表彰者は、次の@〜Cの全ての要件を充たす者であって、都道府県知事、全国的な事業主団体等、全国的な障害者団体、個人のいずれかの推薦を受けた者のうちから、厚生労働大臣が技能者表彰審査委員の意見に基づき決定する。 @きわめて優れた技能を有する者 A現に表彰に係る技能を要する職業に従事している者 B技能を通じて労働者の福祉の増進及び産業の発展に寄与した者 C他の技能者の模範と認められる者 卓越した技能者「障害者部門」の表彰対象者・障害区分 表彰対象者 障害者手帳の取得者 障害区分 @身体障害者 A知的障害者 B精神障害者 障害者部門被表彰者一覧 令和5年度 1 被表彰者名 瀧(たき)こと代(よ) 年齢 81歳(表彰当時) 所属名 コトヨ洋服店 職種名 紳士服仕立職 就業地 静岡県  技能功績の概要  紳士服製造について独学で技能を磨き、顧客の体型や好みなどに合わせて精緻(せいち)な製図を行い、後工程の仮縫いで手直しを発生させないことを心がけて日々技能の研鑚に努めた結果、県外からも依頼が来るようになった。自身が左上肢の機能障害となった後、技能向上を目的として出場した第7回国際アビリンピックでは、洋服・洋裁の二種目に出場し、洋服種目では銅賞を受賞した。  また、障害のある方や子育てによる離職者などに対して技能指導を行い、就職や開業へと導いた。 2 被表彰者名 中澤(なかざわ)昇一(しょういち) 年齢 57歳(表彰当時) 所属名 和田精密歯研株式会社東京ラボ 職種名 歯科技工士 就業地 東京都 技能功績の概要  氏は、聴覚障害がありながらも歯科技工士としてセラミックの補綴物(ほてつぶつ)の製作における卓越した技術を要する。  失われた歯をつくるにあたって前の状態にかぎりなく近い再現力、なおかつ隣り合った歯との調和させる技術に長けている。また、第41回全国アビリンピックにおいても金メダルを獲得している。  さらに、後進指導に関しても、自分の仕事の合間に後輩の指導やアビリンピック参加希望者に対し、助言と指導を行っている。 3 被表彰者名 齋藤(さいとう)正夫(まさお) 年齢 75歳(表彰当時) 所属名 株式会社アクセス・テクノロジー 職種名 ソフトウェア開発技術者 就業地 石川県 技能功績の概要  氏は視覚障害がありながら、デジタルデータが視覚障害者のコミュニケーション手段に有効であることに気づき、昭和58年よりデジタルデータを音声で読み上げるパソコン用ソフトウェア「スクリーンリーダー」の開発に着手し、改良を重ね、同ソフトウェアの普及・発展に努めた。このことにより、多くの視覚障害者がパソコンを使ったコミュニケーションを取れるようになり、視覚障害者の社会参加・社会進出を広げた。  また、これに刺激を受けた視覚障害者はソフトウェアの開発者等を目ざし、彼らへの指導にも尽力した。 令和6年度 1 被表彰者名 山下(やました)弥壽男(やすお) 年齢 62歳(表彰当時) 所属名 有限会社山下弘栄堂 職種名 印判師 就業地 京都府 技能功績の概要  氏は、聴覚障害があることから、手に職を持つことを父親にすすめられ、家業である印章業へ就職と同時に弟子入りをした。師匠の傍らに座し、その技術を見て盗み身につけるよういわれ繰り返し練習を重ねた。かいあって印章彫刻、篆刻(てんこく)において「字法、章法、刀法」をきわめた。印面の粗密を考え整った美しさだけでなく力強い印章をつくり上げる。  第16回技能グランプリにおいて労働大臣賞を受賞した。障害に怯(ひる)むことなく先頭に立って技能士会長を務め、後進の指導や技術の向上、業界の発展に貢献している。 2 被表彰者名 植松(うえまつ)譲(ゆずる) 年齢 58歳(表彰当時) 所属名 株式会社フカサワ 職種名 プリント基板組立工 就業地 静岡県 技能功績の概要  聴覚障害があることで作業指示の伝達がうまくいかず、納期遅れ等が発生していたが、筋ジストロフィーの上司のもとで指導を受けたことにより改善された。現在では、プリント基板の試作や改造において極小部品が密集するなかでも手作業で不良なく完成させることができる卓越した技能を有し、第30回全国アビリンピックでは、大手メーカの選手がいるなか、金賞を受賞した。  また、社内での技能検定等の講習会講師や、自身の後継者育成のため育成計画を立案している。 令和7年度 1 被表彰者名 三津橋(みつはし)幸勇(ゆきお) 年齢 62歳(表彰当時) 所属名 和田精密歯研株式会社札幌センター 技工部 職種名 歯科技工士 就業地 北海道 技能功績の概要  聴覚障害がありながら、筆談や視覚的なコミュニケーションを工夫し、前装冠製作において顔貌に調和する形態調整や色調再現に卓越した技能を有する。第40回全国アビリンピックにおいて金賞を受賞した。  院内技工及び技工所での経験を活かし、自然な色調再現や咬合を考慮した補綴物(ほてつぶつ)の製作により、機能性と審美性を両立し、患者ごとの細かな要望に応える技術力を発揮している。  また、若手技工士には臨床を通じて、歯間形態や色調再現、咬合調整等の技術を丁寧に伝承している。 2 被表彰者名 橋本(はしもと)和也(かずや) 年齢 45歳(表彰当時) 所属名 カフェ ラヴニール 職種名 コーヒー豆焙煎工 就業地 兵庫県 技能功績の概要  氏はADHDの特性である鋭敏な五感、特に、聴覚を駆使したコーヒー焙煎技能を有している。焙煎機内で豆が回転する音や、焙煎終盤に豆がはじける音の長短や高低から火の通りや水分の抜け具合を判断し、材料の生豆の特性に応じた最適な焙煎を行う。時には〈生きづらさ〉の原因にもなり得る五感の鋭敏さを逆手に取った、氏ならではの技術である。  また、終業後に教育大学大学院の夜間コースで〈主体性の教育〉について研究し、昨年修士号を取得した。学校教育現場を中心に、後進の育成に携わっている。 照会先  厚生労働省人材開発統括官付能力評価担当参事官室 技能振興係 ★本誌では通常西暦で表記していますが、この記事では元号で表記しています 【P28-29】 研究開発レポート 企業における障害者雇用の質の向上に向けた取組の現状と課題に関する調査研究 障害者職業総合センター研究部門 事業主支援部門 1 はじめに  本調査研究は、企業における障害者雇用の質の向上に関する取組の現状と課題および必要な支援の内容を明らかにすること、企業の具体的な取組事例を紹介することで、障害者雇用の質の向上に資するための政策の検討や、支援機関による企業への支援などに役立つものとすることを目的として実施しました。ここではその一部について紹介します。 2 企業アンケート調査  2024(令和6)年10月〜11月にWebアンケートを実施しました。調査対象は、2023年6月1日現在障害者を1人以上雇用している一般企業と特例子会社で、有効回答数は、一般企業2100社、特例子会社195社、有効回答割合は一般企業21.1%、特例子会社32.6%でした。 (1)能力開発、評価・処遇等の取組  回答企業の障害者雇用において、業務とのマッチング、教育訓練(OJT)、教育訓練(Off−JT)、評価・処遇、中長期的なキャリア形成に関する合計25項目の取組を実施した実績について、正社員、非正社員別にたずねました(25項目の取組は表の通り)。業務とのマッチングに関する取組については、一般企業、特例子会社とも多くの企業が何らかの取組を実施している一方、中長期的なキャリア形成に関する取組は、一般企業において取組の実施数が「0」の企業も3割弱あり、まだ具体的な取組を実施した実績のない企業も一定数あることがわかりました。正社員と非正社員の比較では、特例子会社においてはすべての項目、一般企業においても大半の項目で、「正社員に対し実施したことがある」のほうが「非正社員に対し実施したことがある」よりも回答割合が高い結果でした(29ページ図)。  一般企業と特例子会社の比較では、25項目中23項目において、特例子会社のほうが一般企業よりも「正社員/非正社員に対し実施したことがある」の回答割合が高い結果でした。 (2)取組の効果  能力開発、評価・処遇等の取組によりもたらされたと思われる、取組の効果に関する10項目について、「あてはまる」と「ややあてはまる」の合計で見ると、一般企業では、「障害者が元々有していた能力を適切に発揮できる機会が増加した」が43.5%と最も高く、次いで「障害者の業務や職場に対する満足度が向上した」が42.3%でした。特例子会社では、「障害者の業務や職場に対する満足度が向上した」が81.1%と最も高く、次いで「障害者の職業能力やスキルが向上した」が78.5%でした。職場や企業全体に対する効果に関する項目へのポジティブな回答は、一般企業ではいずれも20%未満でしたが、特例子会社では、30〜60%の回答割合でした。 3 企業ヒアリング調査  2025年2月〜5月に、事業所への訪問調査またはオンライン会議システムを用いたヒアリング調査を実施しました。調査対象は、アンケート調査協力企業のなかで障害者雇用の質の向上に向けた取組を積極的に実施している企業13社(一般企業8社、特例子会社5社)を選定しました。  企業ヒアリング調査を通じ、「障害者雇用の質としてイメージするもの」、「質の向上に向けた具体的取組と取組を開始したきっかけ、促進要因」、「障害者の意向・希望などを把握するための工夫」、「質の向上に向けた取組の効果」、「課題点、必要な制度や支援」について把握することができました。企業が障害者雇用の質としてイメージするものについては、安心して働ける職場環境、高い処遇、キャリア形成などの「障害者にとっての雇用の質」と、障害者が業務をしっかりと実施して、企業の業績に貢献するといった「企業にとっての雇用の質」が見られました。障害者雇用の質の向上に向けた取組の障害者本人への効果の事例としては、@障害者の自発性や責任感の醸成、A障害者の定着率の向上、B障害者の処遇の向上、C障害者の満足度の向上などが見られました。職場全体への波及効果の事例としては、@障害のない従業員の障害者への理解の促進、A障害者雇用を生かした職場環境のバリアフリー化、B企業ブランド価値の向上などが見られました。取組事例は後述の調査研究報告書およびパンフレットに掲載していますので、ぜひご覧ください。 4 おわりに  2022年障害者雇用促進法改正では、事業主の責務として障害者の能力開発および向上が含まれることが明確化されました。厚生労働省の「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書」では、障害者雇用の「質」として特に重視されるべき五つの要素があげられ、制度的対応として障害者雇用の「質」のガイドライン等の創設、および「質」の向上に向けた事業主の認定制度について、大企業を含むすべての企業を新たに認定制度の対象としたうえで、認定基準等をあらためて見直す方向性が示されました。障害者雇用の質の向上が求められるなかで、企業や事業主支援を行う支援機関がその取組を行う際に今回の調査研究がその一助となれば幸いです。  本レポートの元となる調査研究報告書No.184(※1)はホームページからご覧いただけます。また、関連する研究成果物として、マニュアルNo.86「障害者雇用の質の向上に向けて」(事業主、就労支援機関向けパンフレット)(※2)を作成しましたので、あわせてご活用ください。 ※1 https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku184.html ※2 https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/kyouzai86.html ◇お問合せ先 研究企画部企画調整室 (TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.go.jp) 表 能力開発、評価・処遇等の取組 カテゴリ 項目 業務とのマッチング 「複数の手段による、障害者の能力や特性の把握(面接、作業観察、支援機関からの情報提供等)」、「入社前の実習やインターンシップ」、「担当職務についての障害者本人の希望の確認」、「個々の障害者の能力や特性に合った職務の創出又は再構成」、「障害者の能力や特性と業務とのマッチングの定期的な状況確認」 教育訓練(OJT) 「多様な業務への取組機会の提供」、「担当する作業の手順やスケジュール等に関する、一定の責任や裁量の付与」、「障害者が指導役やチームリーダー役を経験する機会の提供」、「障害者の業務パフォーマンスに関する振り返り・フィードバックの定期的な実施」 教育訓練(Off-JT) 「障害のない従業員と共通の研修」、「障害のある従業員に向けた独自の研修」、「自己啓発に関する補助金の支給」、「資格取得に対するインセンティブの付与」、「社内表彰制度」 評価・処遇 「昇進・昇格・賞与等について、障害のない従業員と共通の基準の適用」、「障害に配慮した昇進・昇格・賞与等の基準の設定または基準の明確化」、「障害者の希望・能力を踏まえた業務目標の設定」、「業務実績等を踏まえた人事評価の実施」、「人事評価に基づく待遇の実施」 中長期的なキャリア形成 「会社の人材育成方針や身につけるべき知識・能力の伝達」、「個別のキャリアプラン、教育訓練の計画等の作成」、「特定の仕事を極める、様々な業務を経験する、リーダーや管理職に昇進するなど、複数のキャリアパスの提示」、「キャリアラダー(職階や年次等の段階ごとに職務内容や必要なスキルを整理したもの)等の適用」、「障害者も参加可能なキャリアに関する研修の実施(キャリアデザイン研修等)」、「キャリアに関する相談の実施(上司、人事担当者、キャリアコンサルタント等)」 図 業務とのマッチング、中長期的なキャリア形成の取組(一般企業)〔複数回答〕 業務とのマッチング (n=2,100) 正社員に対し実施したことがある 非正社員に対し実施したことがある 実施したことがない 無回答 @複数の手段による、障害者の能力や特性の把握(面接、作業観察、支援機関からの情報提供等) 40.2% 39.4% 34.3% 2.0% A入社前の実習やインターンシップ 21.8% 29.7% 53.5% 1.9% B担当職務についての障害者本人の希望の確認 50.5% 45.8% 21.0% 2.1% C個々の障害者の能力や特性に合った職務の創出又は再構成 34.9% 36.0% 39.8% 2.0% D障害者の能力や特性と業務とのマッチングの定期的な状況確認 41.7% 42.4% 30.1% 1.9% 中長期的なキャリア形成 (n=2,100) @会社の人材育成方針や身につけるべき知識・能力の伝達 47.3% 24.6% 34.7% 7.3% A個別のキャリアプラン、教育訓練の計画等の作成 25.9% 10.8% 61.1% 8.0% B特定の仕事を極める、様々な業務を経験する、リーダーや管理職に昇進するなど、複数のキャリアパスの提示 25.7% 6.8% 63.5% 7.9% Cキャリアラダー(職階や年次等の段階ごとに職務内容や必要なスキルを整理したもの)等の適用 18.9% 4.8% 70.6% 8.2% D障害者も参加可能なキャリアに関する研修の実施(キャリアデザイン研修等) 19.0% 7.7% 69.7% 8.0% Eキャリアに関する相談の実施(上司、人事担当者、キャリアコンサルタント等) 31.5% 17.4% 53.0% 7.4% 【P30】 ニュースファイル 国の動き 総務省 「情報アクセシビリティ好事例」公表  総務省は、ICT機器・サービスの情報アクセシビリティ好事例として17件の製品・サービスを「情報アクセシビリティ好事例2025」として公表した。  同省によると、審査は障害者団体や学識経験者、業界団体が行い、応募資料とオンライン形式での発表をふまえ、@製品の情報アクセシビリティへの配慮、A当事者ニーズをふまえた開発、B企業としての情報アクセシビリティ確保に向けた取組みの観点から評価した。  審査委員総評によると今回は、歩行支援アプリやバリアフリーマップなど「移動」を取り扱うサービスが多く選定された。一方で誤認識の可能性を含めた適切な情報提供など、サービス利用時の安全性についてよりいっそうの考慮と対策を求めるほか、利便性と表裏一体となる「プライバシーへの配慮」についても各企業の誠実な対応や技術的工夫に期待するとしている。詳細は左記の総務省ホームページまで。 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu05_02000185.html 地方の動き 東京 観光業者向けアクセシブルのセミナー  東京都は、障害のある人や高齢者などだれもが快適に観光を楽しめるアクセシブル・ツーリズムの充実に向けた取組みの一環として、都内観光関連事業者等を対象にした派遣型セミナーを実施しており、希望する団体を募集している。  研修内容はオーダーメイド型で、設計から実施まですべて無料。実施方法は集合研修、ウェブ配信、施設視察、疑似体験などがあり、改正障害者差別解消法や合理的配慮の内容に沿った接客や接遇等のポイントを、さまざまな形で習得できるとしている。  例として、高齢者疑似体験や車いす操作等の実技研修、合理的配慮の実践、観光シーン別の接遇、アクセシブル・ツーリズムの商品造成や販売ノウハウ、施設におけるバリアフリー情報の発信方法など。実施期間は2027年3月12日まで、先着順15団体程度。申込期限は2027年2月19日まで。申込方法や事業内容の詳細は、左記の東京都ホームページへ。 https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/05/2026052012 岩手 ヘラルボニーが国際的な広告賞を受賞  おもに知的障害のある作家のアート作品のライセンス事業などを手がける「株式会社ヘラルボニー」(以下、「ヘラルボニー」)(盛岡市)が、国際的な広告賞として知られる「The One Show 2026」の「IP&Product Design」部門で、部門最高賞の「BEST of Discipline Pencil」を受賞した。他社とのパートナーシップを推進することで、より広範かつ本質的な社会変革に挑戦している点などが評価された。  2018(平成30)年設立のヘラルボニーは、障害のある作家および福祉施設とライセンス契約を結び、作品使用に応じてロイヤリティを支払うビジネスモデルを採用。国内外の福祉施設と連携し、幅広い事業を展開している。アメリカのニューヨークで行われた授賞式には、代表取締役Co−CEOで双子の松田(まつだ)崇弥(たかや)さん・文登(ふみと)さんと、2人の兄で重度の知的障害をともなう自閉症のある翔しょう太た さん、両親らが参加した。  このほかヘラルボニーは、同じく国際的な広告賞「2026 Clio Awards」でも2部門でブロンズを受賞している。 神奈川 「共にささえあいサポーター」養成講座  相模原市は、市民一人ひとりが障害への理解を深め、ちょっとした手助けを行う「共にささえあいサポーター(略称:共サポ)」の養成講座をスタートさせた。「共にささえあい 生きる社会」の実現を目ざす新たな取組みの一つとしている。  市によると、同サポーターの役割として、@障害に対する積極的な理解、Aふだんの生活のなかでの障害児者に対する配慮、ちょっとした手助け、B障害福祉に関するイベント、地域活動等への参加、Cサポーター制度の周知などを期待している。  養成講座は希望する小中学校の授業などで実施するほか、団体や法人等による集合での受講、オンラインによる個人受講も可能。受講者には、同サポーターのシンボルマークが入った缶バッジ等のサポーターグッズを配布する。また、これまで行ってきた「共生社会推進サポーター認定研修」は今後、「共にささえあいサポーター」のステップアップ研修として実施するという。  受講方法など詳細については、相模原市ホームページまで。 https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kosodate/fukushi/1026641/1034907.html 働く 福井 「ふくい連絡会」県内44事業所加盟  障害者の就労支援事業所や関係機関など福井県内の31法人44事業所が集まり「ふくい就労支援事業所連絡会」を発足させた。横断的なネットワークを構築し、就労支援事業所の支援の質の向上、福祉人材の育成を図りながら、地域における障害者の就労生活を総合的に支援するとしている。  具体的な活動として、@就労選択支援の地域モデル構築(毎月のケース検討会や連携パスの整備を通じて、新制度「就労選択支援」を地域全体に根づかせる)、A人材育成・サービス管理責任者支援(実践的な地域版OJTによる即戦力の育成と、サービス管理責任者への伴走支援)、B交流・連携事業(事業所見学会やeスポーツ大会などの親睦イベントを通じ、法人の垣根を越えた「顔の見えるネットワーク」)の構築、などを予定している。詳しくは、左記の同連絡会ホームページまで。 https://f-jobnet.com 本紹介 『発達障害を正しく知る』  アメリカで小児科専門医を務めている松浦(まつうら)有佑(ゆうすけ)さんが、『発達障害を正しく知る』(幻冬舎刊)を出版した。  松浦さんは岐阜大学医学部卒業後、病院勤務を経て渡米。現在はワシントン大学およびシアトル小児病院にて、小児発達行動医学を専門とするフェローとして診療および研究に従事している。松浦さんによると、アメリカでは子どもの6人に1人に発達障害があるとの調査がある一方で、「育て方のせい」、「食事で治る」といった偏見や誤解がいまだ根強いという。  本書では、松浦さんの最新の知見にもとづき、「発達障害とは何か」から、歴史や文化における発達障害、障害のある人にかかわる社会モデルのあり方まで、発達障害の正しい理解と向き合い方をわかりやすく解説している。新書判、256ページ、1056円(税込)。 アビリンピック マスコットキャラクター アビリス 2026年度地方アビリンピック開催予定 7月下旬〜9月 岩手県、新潟県 *開催地によっては、開催日や種目ごとに会場が異なります *  は開催終了 地方アビリンピック 検索 ※日程や会場については、変更となる場合があります。 ※全国アビリンピックは12月4日(金)〜12月6日(日)に、愛知県で開催されます。 新潟 岩手 【P31】 ミニコラム 第57回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は増田委員が執筆しています。ご一読ください。 「障害者雇用」という枠組みを越えて 武庫川女子大学 准教授 増田和高  今回の取材を通して、障害者雇用における合理的配慮の本質とは何かについて、深く考えさせられました。一般的に「配慮」と聞くと、環境を整えることや、負担を減らすといった、周囲による外部からのサポートを想像しがちです。しかし、株式会社パルグループホールディングスの各店舗でみられたのは、そうした環境側の整備にとどまらず、働く本人たちの内面にある「洋服が好き」、「仲間と売上げに貢献したい」という、主体性とエネルギーを引き出すかかわり合いでした。  同社が体現しているのは、仕事を人に合わせる「職務のオーダーメイド化」です。これは決して過度な特別扱いを示すものではありません。一人の従業員の「苦手」をカバーし、「強み」を活かすために店長や仲間たちが対話を重ねて試行錯誤した工夫が、結果として店舗全体のコミュニケーション量を増やし、心理的安全性の高いチームをつくり上げていました。障害のある従業員に向き合うていねいな姿勢が、「コスト」ではなく、職場全体のエンゲイジメントを高めるための「投資」として見事に機能している好事例だと感じながら取材を終えました。  これからの多様化する時代において、企業の人材マネジメントに求められるのは、固定された既存の仕事に従業員を当てはめることではないはずです。目の前にいる一人の「個人の資源(可能性)」を起点に、組織や仕事を柔軟にデザインしていくこと。障害の有無という枠組みを越え、「人が活きる組織とは何か」という普遍的な問いに対する力強い答えが、同社の実直な実践のなかに息づいていました。 【P32】 掲示板 障害者雇用の月刊誌「働く広場」がデジタルブックでいつでもお読みいただけます!  本誌はJEEDホームページで、デジタルブックとしても公開しており、いつでも無料でお読みいただけます。  また、最新号は毎月5日ごろにJEEDホームページに掲載されます。掲載をお知らせするメール配信サービスもございますのであわせてご利用ください。 JEED 働く広場 検索 読みたいページにすぐ飛べる! 自由に拡大できて便利! メールマガジン 好評配信中! 読者アンケートにご協力をお願いします! ※カメラで読み取ったリンク先が「https://krs.bz/jeed/m/hiroba_enquete」であることをご確認ください。 回答はこちらから→ 次号予告 ●私のひとこと  一般社団法人兵庫県相談支援ネットワーク代表理事の玉木幸則さんに、脳性まひ当事者として、障害福祉サービスに取り組む意義などについてご執筆いただきます。 ●職場ルポ  九州で初めて「もにす認定」を取得した企業で、水栓金具を製造している有限会社ファン工業(大分県)を取材。さまざまな作業改善などを含め、だれもが働きやすい職場環境づくりについて紹介します。 ●グラビア  「令和8年度障害者雇用支援月間における絵画・写真コンテスト」入賞作品をご紹介します。 ●編集委員が行く  清水裕之編集委員が、宮崎県立延岡しろやま支援学校延岡商業校(宮崎県)を訪問。同校におけるインクルーシブな取組みなどについて取材しました。 『働く広場』読者のみなさまへ  2026年9月号は、「令和8年度障害者雇用支援月間における絵画・写真コンテスト」入賞作品の公表日の関係から、お手元への到着が通常よりも数日遅れることが見込まれています。ご不便をおかけしますが、よろしくお願いいたします。ご不明な点は、JEED企画部情報公開広報課(電話043-213-6200)までお問い合わせください。 公式X(旧Twitter)はこちら! 最新号発行のお知らせやコーナー紹介などをお届けします。 @JEED_hiroba 編集委員 (五十音順) 聖学院大学 准教授 石原まほろ ATUホールディングス株式会社 代表取締役 岩ア龍太郎 株式会社FVP 代表取締役 大塚由紀子 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク副理事・統括施設長 金塚たかし 弘前大学大学院 教育学研究科教職実践専攻(教職大学院) 教授 菊地一文 株式会社旭化成アビリティ 代表取締役社長 清水裕之 サントリービバレッジソリューション株式会社人事本部 副部長 平岡典子 筑波大学 人間系 教授 前原和明 武庫川女子大学 准教授 増田和高 国際医療福祉大学 准教授 若林功 あなたの声をお待ちしています 声−−障害者雇用にかかわるお考えやご意見、行事やできごとなどを500字以内で編集部(企画部情報公開広報課)まで。 ●発行−−独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 発行人−−企画部長 鈴井秀彦 編集人−−企画部次長 石井伸明 〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2 電話 043-213-6200(企画部情報公開広報課) ホームページ https://www.jeed.go.jp メールアドレス hiroba@jeed.go.jp ●編集委託−−株式会社労働調査会 〒170-0004 東京都豊島区北大塚2-4-5 電話 03-3915-6415 FAX 03-3915-9041 8月号 令和8年7月25日発行 無断転載を禁ずる ・本誌に掲載した論文等で意見にわたる部分は、それぞれ筆者の個人的見解であることをお断りします。また、本誌では「障害」という表記を基本としていますが、執筆者・取材先の方針などから、ほかの表記とすることがあります。 【P33】 第46回 全国アビリンピック 同時開催 障害者ワークフェア2026 〜働く障害者を応援する仲間の集い〜 入場無料 2026(令和8)年12月4日(金)〜12月6日(日) 12月4日(金)開会式 12月5日(土)技能競技および障害者ワークフェア 12月6日(日)閉会式 アビリンピック マスコットキャラクター アビリス 開催場所 愛知県国際展示場AICHI SKY EXPO 全国アビリンピック  アビリンピックは、障害のある方々が日ごろ職場などでつちかった技能を競う大会です。  第46回全国アビリンピックでは、全25種目の技能競技を実施します。全国各地から400人を超える選手たちが集い、それぞれの技能を披露し、競技に挑みます。 障害者ワークフェア  障害者ワークフェアでは、「働く障害者を応援する仲間の集い」として、約100企業・団体による出展を予定しています(能力開発、就労支援、職場紹介の三つのエリアによる展示・実演のほか、技能デモンストレーション、ステージイベント、各種特設コーナーなど)。 当日はライブ配信も予定しています! アビリンピック 検索 11th International  2027年5月に開催される第11回国際アビリンピックフィンランド大会に出場する日本代表選手が決定!  日本代表選手への応援を、お願いいたします。 X、Instagram、YouTubeでも関連情報を掲載しています! #Abilympics 写真のキャプション 製品パッキング ネイル施術 技能デモンストレーション 障害者ワークフェア 【裏表紙】 国立職業リハビリテーションセンター 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 指導技法等体験プログラムのご案内 訓練場面の見学や体験等を通して、疑問や不安を解消しませんか?  国立職業リハビリテーションセンター、国立吉備高原職業リハビリテーションセンターでは、職業訓練上特別な支援を要する障害のある人の職業訓練技法等について理解を深め、新たな受入れや受入れの拡大に向けた今後の検討の参考にしていただくことを目的に、訓練場面の見学や体験等を行う『指導技法等体験プログラム』を実施しています。  発達障害者・精神障害者の特性、生活チェックシートの活用、訓練教材(データ入力課題)の体験等を通じて、障害者職業訓練への理解を深める「支援入門コース」や、障害者委託訓練における支援ツール解説・取組みの相互紹介等を通じて、障害者委託訓練への理解を深める「委託訓練コース」など幅広いコースを設置しておりますので、ぜひご参加ください。 支援入門コース:精神、発達障害者等の障害者職業訓練の基礎的な対応を学びたい方向け 国立職業リハビリテーションセンター 2026(令和8)年9月10日(木)〜11日(金) 精神・発達障害者等の職業訓練編 〔現地開催〕初日は午後開始、最終日は午前終了の2日間 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 2026年10月15日(木)〜16日(金) 発達障害を伴う知的障害者の職業訓練編 2026年10月22日(木)〜23日(金) 精神・発達障害者等の職業訓練編 〔オンライン開催〕初日は午後開始、最終日は午前終了の2日間 ※現地2026年での受講を希望される場合はご相談ください 専門支援実践コース:専門訓練コースを担当または担当予定の方で専門的な対応を学びたい方向け 国立職業リハビリテーションセンター 2026年10月7日(水)〜9日(金) 精神・発達障害者等の職業訓練編 〔現地開催〕初日は午後開始、最終日は午前終了の3日間 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 2026年7月1日(水)〜12月18日(金) 発達障害を伴う知的障害者の職業訓練編 精神・発達障害者等の職業訓練編 〔現地開催〕開催日のうち、ご相談に応じた2〜3日間の開催 委託訓練コース:委託訓練を実施または実施を検討している方向け 国立職業リハビリテーションセンター 2027年1月15日(金) 精神・発達障害者等の職業訓練編 〔オンライン開催〕午前開始、午後終了の1日間 対象者 ・障害者職業能力開発校、一般の職業能力開発校において職業訓練の運営等にたずさわっている方 ・委託訓練(障害者の多様なニーズに対応した委託訓練)を実施している機関において障害者職業訓練にたずさわっている方 ・都道府県人材開発主管課において障害者職業訓練の企画等にたずさわっている方 ※詳細については、下記ホームページ等をご覧ください お問合せ先 国立職業リハビリテーションセンター 職業指導部 技法普及課 https://www.nvrcd.jeed.go.jp/technique/experience/index.html 〒359-0042 埼玉県所沢市並木4-2 TEL:04-2995-1144 E-mail:shokureha-giho@jeed.go.jp 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター 職業訓練部 訓練第二課 https://www.kibireha.jeed.go.jp/technique/information.html 〒716-1241 岡山県加賀郡吉備中央町吉川7520 TEL:0866-56-9045 E-mail:kibireha-giho@jeed.go.jp 8月号 令和8年7月25日発行 通巻586号(毎月1回25日発行)