ミニコラム 第59回 編集委員のひとこと ※今号の「編集委員が行く」(20〜25ページ)は金塚委員が執筆しています。ご一読ください。 「仕事を支える」と「気持ちを支える」 NPO法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 副理事長・事務局長 金塚たかし  仕事で最高のパフォーマンスを発揮したい。しかし、毎日100%の力を出し続けることはむずかしいもの。だからこそ、自分自身の体調を整える努力と同時に、力を発揮しやすい環境が必要です。人は能力だけで仕事をしているのではなく、その日の体調や気持ち、人間関係にも大きく左右されるものです。  今回取材したテレワークオフィスの利用者のみなさんは、仕事をする力を持たれている方々であるが、不安や緊張、環境への適応のむずかしさから、一般企業ではその力をすぐには十分に発揮できない人たちです。その能力を引き出していたのが、「見守り」と呼ばれる専任の支援員でした。私は企業に障害者雇用をお願いする際、合理的配慮の一つとして「キーパーソン」の配置をお願いしています。企業からは「就労支援の経験者はいません」、「だれが適任なのでしょうか」と質問されることがあります。そのたびに私は、「安心して相談できる人を」とお伝えしています。キーパーソンに必要なのは、専門的知識や支援技術ではありません。誠実に話を聴き、本人と職場をつなぐことができる人柄です。仕事の相談がしやすく、「困った」、「不安だ」と素直にいえる相手が職場にいることが、精神障害や発達障害のある人にとっては何よりの支えになります。  これは障害のある人だけの話ではありません。私たち自身も、信頼できる上司や同僚がいるからがんばれることがある。仕事を教えてくれる人も大切ですが、落ち込んだときに声をかけてくれる人の存在は、それ以上に大きな力になります。  障害者雇用は「特別な配慮」の話として語られることがあります。しかし、その本質は、だれもが安心して働き、自分らしく力を発揮できる職場づくりにあります。「仕事を支える」ことと「気持ちを支える」こと。この二つが両輪となったとき、人は本来の力を発揮し、職場全体の生産性も高まっていくのではないでしょうか。