働く広場増刊号2013
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9「働く広場」増刊号 2013ことは、ようやくすべての障害について欧州並みになってきたということですよね。日本の少子高齢化は、なかなか改善しそうもない。すると、法定雇用率の計算式の分母にくる数が減っていく。一方で、精神障害者が算定基礎に加わるので、分子が大きくなっていきます。フランスが6%、ドイツは5%、オーストリアが3%ですから、私は、日本も長い将来を展望すれば、次第に3%ぐらいにいくのではないかと考えています。支援機関は、法定雇用率2%時代を迎えることで、すごく期待しています。特別支援学校では毎年就職率が上がっています。知的障害者だけみても、2013年3月の卒業生には雇用率2%の効果がはっきり出ています。いままで達成していた企業は、2%になって未達成だといけないと、相当頑張っています。特別支援学校の知的障害の卒業生の就職率が40%を超える県もいくつか出てきました。知的障害の卒業生の全国平均は30・2%と過去最高になりました。精神障害者が算定基礎に加わると、次が発達障害者へと、弾みが出てくるといいと思っています。学校では、社会参加のための力をしっかり育てていこうという気運が、この改正ですごくあるんです。藤枝ハローワークで就職される方の数も、特に精神障害の方が非常に増えています。まずはハローワークで精神障害の方に対するカウンセリング、対応能力の向上を図ることが最大の課題です。これまでもチーム支援という形で、特別支援学校や福祉機関と連携して、障害のある方一人ひとりの状況、生活環境も含めた状況に合わせた就職支援を行ってきました。医療機関も含め、ていねいな対応をして、就職に結びつけるという事業をやってきています。精神障害の方には、ますます医療機関も含めた連携体制を構築して対応していかなければいけないと思っています。それから、相談に来られる方に対する適切なカウンセリング機能を整備するという観点で、ハローワークに精神保健福祉士などの資格をお持ちの方にお願いして、「精神障害者雇用トータルサポーター」という専門職員を配置し、求職者に対するカウンセリングはもちろん、事業主に対する相談・アドバイスもしており、これを充実していきたいと思っています。また事業主の方々には、雇用率が2%に上がったということもあって、前向きに雇用に取り組んでいただいています。われわれとしても企業が精神障害の方を雇うにあたってさまざまな支援、例えば助成金制度の充実やジョブコーチの派遣など、企業側の就職支援にも力を入れていきたいと思っています。松矢 障害者施策だけではなく、いわゆるニート対策ということも含めて、ハローワークがかなり相談支援的なネットワークの中核的な役割を果たしてきています。いま東京では、すべての高校に臨床心理士を配置しました。そのようななか、高校の進路指導の先生と特別支援学校の先生たちが、特に発達障害や精神障害を疑われる生徒の支援ということで交流会を開きました。そこでハローワークが、高校の発達障害や精神障害を疑われる生徒は、障害者手帳を持っているわけではありませんから、ニート対策もあって、非常に懇切ていねいに高校の進路相談にのってくれる。ハローワークが、全体の連携の中核になってくれると、企業などの受入れ側も送り出す側も非常にありがたい。一人ひとりのケースについて支援会議を開くときに、ハローワークがしっかり支えてくれると非常にありがたいと思います。藤枝 高齢・障害・求職者雇用支援機構でも、発達障害者に対する支援プログラムを行っていたり、中途障害というか、職場でうつになった方へのリワーク支援など、精神障害者に対する対策を充実させています。機構との連携もさらに緊密にして、全体として雇用を進めていければと思います。松矢精神障害者の支援もかなり実績を上げてきています。うつ病対策、リワーク支援、雇用継続支援などで、地道に地域障害者職業センターが活動しています。障害者就業・生活支援センターのバックアップも行っています。自立支援法の改正で、発達障害者も精神障害者とみなすことで、精神保健福祉手帳が取得できるのですが、カミングアウトすることはなかなか難しい。さまざまな相談に対応するという点からも、地域障害者職業センターの役割は非常に大きいと思います。9「働く広場」増刊号 2013藤枝 茂 氏

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