働く広場増刊号2013
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11「働く広場」増刊号 2013始めに何を勉強したらいいかなと思ったときに、まず読ませていただいたのが、「働く広場」なんです。とりあえず過去1年分読みました。写真も多くて、簡単に読みやすくて、朝コーヒーを飲みながらとか、通勤電車の中でも気軽に読める誌面になっています。記事の内容も、障害者を雇っている先進的な取組みや、実際に働いている障害者の生き生きとした姿がわかりやすく紹介されていると思いました。精神障害者の雇用に対して、まだまだ企業の理解は十分でなく、不安感もあると思いますので、それを解消していくためには、実際に精神障害のある方を雇用している企業とか、働いておられる人の状況を情報として広く提供していくということは意義があることですし、まさに求められていることだと思います。障害理解を進めるための情報提供という役割をますます期待したいと思います。松矢始めは季刊誌でしたが、月刊誌になって20年を超えました。なるべくどこからでも読め、どんな人が読んでも何かが発見できる、読み応えのある雑誌ということで編集をしてきました。また、視覚障害のある方には、淡い色だと読みづらいということで、配慮し、またホームページ上のテキストの音声読上げソフトで対応している段階です。映像についても、この「増刊号」では取材・掲載する企業と働く障害者の姿を、ホームページの動画で見ることができるようになります。本誌では、読者アンケートを行っています。それによると、事業主、支援機関などに非常に高い評価を得ています。特に事業主にとって評判がいいのは「職場ルポ」。なかには職場で回覧されるうちにボロボロになってしまうという企業もあるそうです。熱心に読んでくださっているのは、ありがたいことです。本誌は、特別支援学校の高等部にもお読みいただいています。進路指導の先生、さらに生徒たちも、障害があり頑張って働いているという事例がたくさんあるので、みんな一生懸命読んでいますよ。そういう意味では、教育の場でも役に立っているということですね。藤枝特別支援学校の卒業生の就職率も増えていますね。本誌がきっかけで全国展開松矢本誌では、いろいろな立場の方が編集委員を務めています。障害者雇用対策課の課長さんが入っている時代もあり、いまの厚生労働事務次官の村木厚子さんもメンバーでした。企業の人も大学の先生もいる。障害者雇用に関わる現場を訪ねて、それぞれの立場で原稿を書こうじゃないかと、「編集委員が行く」が10年ぐらい前に始まりました。藤枝直接訪れて、感じたことを書いていらっしゃるから、とてもわかりやすいです。松矢障害のある編集委員の方も入っており、その視点や配慮のある編集になっています。それぞれ専門性を持つみなさんが現場に足を運んで書くという、ほかにないリアリティがあると思っています。読みやすいということを心がけて、事業主のみなさんに障害者の雇用促進を大いに進めていただき、障害のある方々はチャレンジをしていただく。さらに関係機関の方々がそれを広く読んで応援をしていただくという、そんな広報誌にしたいと思っています。藤枝 取材は遠方まで行かれているのですか。松矢私は学校関係で北海道から沖縄まで行っています。沖縄に取材に行ったときに、校長会の話を聞きました。「沖縄は企業が少ないので、国と県のお金で経営している老人ホームと保育所が特別支援学校の生徒の実習を受け入れるべきだ。そして雇用もすべきだ」という文書を出して、それで実習が始まったんですね。こういう仕事ができるんじゃないかというものを切り出してくれて、実際に実習で見事にそれができるということで、直ちに雇用が始まったんですよ。この取材後に沖縄から高等部の先生に来ていただいて、私は大学で公開講座を開催しました。すると公開講座に来た進路指導の先生たちが、「わー、すごい。やろう」って、全国に広がった。知的障害の方々も、子どもが好きだとか、お年寄り、おじいさん、おばあさんに世話になっていたからやりたいというので、福祉現場の知的障害者の雇用が一気にスタートしたわけです。このような取材と記事の効果が精神障害者の雇用にも広がっていくことを期待したいです。藤枝参考になる好事例が全国にまだまだたくさんある。それらを「働く広場」でより多く取り上げていくということですね。これからも期待しています。11「働く広場」増刊号 2013

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