働く広場増刊号2013
17/79

15「働く広場」増刊号 2013い才能を持っている障害者に興味がありすぎるのです」採用は定期的に行うのではなく、仕事の拡大で人が必要なときに面接会を開く。地元の障害者就業・生活支援センターに依頼して、周辺の障害者施設から推薦された人に作業をしてもらい、話をして採用を決める。能力に応じて昇給し、いずれ昇進も考えている。「最低限の仕事ができることは必要ですが、一緒に仕事をしたいと思えるかどうかが採用のポイントです。休憩時間をうまく過ごせるか、ほかの人とコミュニケーションがとれるか、表情よく話ができるかなど、どれだけ働く気があるのかを見せていただきます」会社には野球部と釣り部がある。野球部の監督はもちろん社長で、地域のリーグに加入している。監督いわく、「最初はめちゃくちゃ下手な人たちばかりでした。これまでの野球経験はそれなりに高いレベルでやってきたので、もう少しうまくなれよと指導していたら、結構強くなりましたよ。ホームランも打ち、試合になりますから」。そう話す、監督としての顔は楽しそうだ。障害者がさまざまな仕事をこなす2010年入社の桑原昌和さんは、知的障害者の入社一人目。ATMの細かい部品を棚から出して各作業部署に供給、空箱を回収している。工場の中を1日25周もするとか。社長は、桑原さんが部品供給の仕事ができる仕組みを考えた。「社内改善で、部品管理を変えようとしていたところでしたので、供給する部品をすべて箱で管理し、倉庫の番号、作業の場所などを色別に『番地』をつけました。簡素化すれば、だれでも作業ができます。彼には最初、廃棄する部品を分別する作業をしてもらったのですが、作業を改善してもなかなかできない……。やはり難しいと後悔しました。でも改善後の部品供給の仕事を任せたらバッチリ。すばらしい能力を持っています。知的障害者は仕事ができるとわかって、その後4人採用しました」数年前、ATM修理が業務の中心だったときは、司令塔に精神障害者を指名した。「解体したものをラインに出して再びつくっていくのですが、何が必要かを察知してユニットを供給したり完成品を引き取ったり、まわりを見渡しながら自分重要な仕事をきちんとこなす古澤英司さん部品供給を担当する桑原昌和さん。部品棚から必要な部品を取り出し、各作業部署に供給する基板のチェック作業を進める勝山敏幸さん

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る