働く広場増刊号2013
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16「働く広場」増刊号 2013の仕事をやりつつ、相手の仕事も考えなければならない。精神障害者は人と接するのが苦手だといわれますが、組立ラインの人たちに話をしなくては仕事になりません。重要なポストをきちんとこなしていました」社長がそう評価する古澤英司さんは入社して5年。自動車整備学校を卒業後、ディーラーに。その後、休職期間があった。基礎知識があるので機械に強く、マルチに仕事をこなす。現在はATMの修理が少なくなり、プレスの仕事を中心に行っている。その日は、骨折したときに体の中に入れる医療用鋼線の研磨を行っていた。「いろいろな太さがあり、何千という数を仕上げます。医療用品のためシビアで、検査のためのゲージに通すときに引っかかるとNGです。以前の仕事では1日動いていましたが、プレスと研磨の仕事は動かないので、少し太りました」アイテックスの工場の中に、特例子会社アイコ―ルの現場がある。1つでも不良が出るとすべてをやり直さなければならない車載部品の検査を、精神障害者が担当する。工場の一角を区切った作業場では、鉗かん子しなどの医療器具、包丁や箸などの研磨とプレス、洗浄を行っている。研磨した包丁が輝きを増す。研磨作業を担当する知的障害者は、いわれたことは必ず守るという。一人ひとりが一人前の職人だ。新たに障害者のラインを立ち上げアイコールでは昨年9月、新しくLED蛍光灯組立ラインを立ち上げた。LED蛍光灯の中に組み込まれている金具の組立に、知的・精神・身体障害者9人が従事している。「いままでは障害者には一定した仕事がなかったので、模索した結果、ちょっと方向転換しました。『障害者ができる軽作業の仕事はないですか』と営業をかけて受注しました。注意したのは品質です。お客さんに迷惑をかけることはできないので、スタッフが総出で立ち上げました」軌道に乗るまでが大変だったという。「最初は最悪でした。数は上がらない、作っては不良。やめようかとも思いましたが、1カ月ぐらいで一気に変わりました。作業の改善を図り、『見える化』でノルマと意識を変えることができたのです。建築ラッシュで、依頼先の会社はフル稼働で生産しているので、私どもも忙しいです」ピンク、黄色、青……と色分けされ、各人の名前が書かれたベルトコンベアの上に部品を乗せていくので、責任の所在がわかる。ラインが動き始めたころに比医療器具の研磨と洗浄作業LED蛍光灯の組立ライン。ベルトコンベアの上の各自の名前が書いてあるところに部品を載せる

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