働く広場増刊号2013
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31「働く広場」増刊号 2013日本を代表するブランド「日立」。日立製作所は、事業所で身体障がい者、特例子会社で知的障がい者を雇用し、さらに本社で精神障がい者雇用促進モデル事業に取り組む。日立のコーポレートステートメントは、「社会が変わるとき、変えるのは日立でありたい」。障がい者雇用率2%超。今回は日立製作所の障がい者雇用の考え方、本社での精神障がい者雇用の取組み、聴覚障がい者が働く水戸事業所、知的障がい者を雇用する特例子会社「日立ゆうあんどあい」をご紹介する。日立製作所社内納付金制度で雇用率達成1910年、茨城県日立市で1台のモーターを作ることから歴史が始まった日立製作所は昨年、創業100周年を迎えた。「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念の下、原子力、大型コンピューター、半導体と日本の技術の発展を担ってきた。現在は、これまで培ってきた日立グループの事業基盤を最大限に活用し、「真のグローバル企業への変容」、「情報通信システムと電力・電機システムの融合」、「環境ビジネスの拡大」という3つの観点から、情報通信システム、電力システム、環境・産業・交通システム、社会・都市システムなどで構成される「社会イノベーション事業」と、これらを支える高機能材料、キーデバイスへの注力強化を図っている。従業員は約3万人、グループ会社や海外も含めると約36万人。東京丸の内の本社で、人財統括本部労政人事部労務課長の三輪高嶺さんに、障がい者雇用についてお話を伺った。「かつては工場にたくさんの従業員がいて、障がいのある人もラインで一緒に働いていました。日立製作所単体で見ると分社化や工場の海外移転で、障がい者雇用率が落ち込んだ時期もありましたが、各種社内制度の改訂などにより改善に努力してきました」81年に社内雇用促進制度を制定。雇用率を達成していない事業所は、本社に「納付金」を納めることにした。99年には特例子会社を設立。2004年に雇用促進制度を見直し、障がい者雇用緊急対策を策定して、事業所ごとの採用割当数を設定した。「日立製作所は、02年と03年は法定雇用率を割り込んでいましたから、全社をあげて取り組みました。採用したら『採用奨励金』を出し、法定雇用率1・8%を超えている事業所には『報奨金』を支給しています」労務課主任の藤原敏さんは、障がい者雇用担当として03年に中途入社した。「社内の理解を進めるために、階層別研修などで広くPRをしました。障がい者本人の働きぶりを見て、各事業所の理解が深まってきたと思います」04年まで労政人事部にいた三輪さんは、研究開発本部中央研究所の勤労課長を経て08年7月に労務課長として戻ってきた。「今ではほぼすべての事業所で雇用率を達成しています。社内雇用促進制度の果たしてきた役割は大きかったと思います」日立製作所で働く障がいのある人は613人。身体障がい者503人、知的障がい者95人、精神障がい者15人。重度障がい者をダブルカウントすると933人、雇用率は2・05%になる。職場は、研究、設計、事務、製造現場とさまざまな部門で、職場不適応で退職する人はほ三輪高嶺労政人事部労務課長① 仕事の基本は「よく聞く」、「はっきり話す」、「しっかり見る」② 社内資格制度、国家検定にチャレンジ③ 支援機関、医療機関と連携POINTPOINTPOINT(2011年2月号掲載、2013年一部改訂)

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