働く広場増刊号2013
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33「働く広場」増刊号 2013の道はないと思っています」支援機関と連携しながら職場の理解を求めた。日立グループの障がい者雇用状況調査などの業務を行い、10年7月には有期労災プロジェクトの仕事を始めた。責任者は本社総務部主任の桐原本茂さん。「有期労災付保業務は、今後更に仕事が増える見込みがあり、そのために人員を増強する必要があります。今回、精神に障がいのある人たちが抜てきされたのですが、私としては違和感なく受け入れられました。昼食を一緒に食べに行くとか、一般の人と同じように接しています。体調が悪くて休むときは遠慮なく言える環境づくりに努めています。会社の文化、社内用語に慣れてもらうのに時間がかかりましたが、今後どこの職場に配属されたとしてもここで学んだことを生かし、ほかの職場でも問題なく働けるようになることを望んでいます」藤原さんは、電話のやり取りにもあえて挑戦させた。「人とのコミュニケーションは苦手だと思いますが、実習の段階からあえて電話を取らせています。精神障がい者の職場を広げていきたいので、仕事も評価も我々と同じ基準にしています。出張も人前での発表もさせ、責任も与えています」五味渕さんは、医療機関とも連携をとる。「定着には孤立させないことが一番だと思っています。能力の高い方でも、最初のころはすごいストレスを感じていると気づきました。自分の悩みを誰かと共有できる、困ったときにいつでも相談できる存在があるだけで安心して職場に来られると思います」挑戦から安定。さらに広がりを09年度に3人、10年度に3人を嘱託で雇用。採用のときには「本人の病気の認識と、支援者とつながっているかどうか」を確認する。数え切れないほど転職を繰り返してきたという外口善崇さんは09年10月に入社した。「1年続いたのは、ここ(日立)が初めて」だそうだ。「最初は週3日10時〜15時の勤務でしたが、今は週4日8時50分から16時5分の勤務です。パソコンで目を酷使しますので少し大変だと思いますが、相談できる人がそばにいるのは大きいです。先のことを考えると気持ちがめげてしまうので、仕事を1日で完了する。その繰り返しという考え方をしています」(外口さん)Aさんは大学卒業後、父親の会社で働いていて発病した。「このフロアは広いので、最初は圧倒されましたが、週4日10時15分〜16時の勤務に慣れてきました。1日1日働いて積み上がっていけばいいと思います」と話す。3人が一般社員と同じ8時50分出勤にチャレンジ中だ。五味渕さんは、「朝辛くてこられないとか、休みたいとか、遅参・早退したいとか、まだまだ波はあります。仕事の負荷の後で大事にしているのはアセスメント&フィードバックです。仕事の評価をきちんとしてあげると自信につながります。1日1日積み上げていくことで、日立の社員として自分でできる仕事を確立してほしい。そしてプライベート面でも新しい希望を見出してほしいと願っています」アフター5にストレスを発散できる場精神障がい者雇用促進モデル事業を活用しての日立製作所主催の宿泊研修会。本社労務課で働く当事者の皆さんが準備、運営を担当した

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