働く広場増刊号2013
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34「働く広場」増刊号 2013をと、自助グループ「スマイルの会」も作った。社内のホームページでは社員向けに情報も発信。社内サポーター制度を作り、いま240名のメンバーがいる。精神障がい者雇用促進モデル事業を活用して、当事者やサポーター向けの研修会も開催。当事者たちが準備などを担い、当日の司会も担当する。直近の研修会は10月末に1泊2日で行われた。毎年、ハローワークと共同で日立グループの採用フェアを実施しているが、藤原さんは「社会の支援とつながっている精神障がい者を採用して、外からの支援を得ながら雇用していくとうまくいく」と伝えている。「『うちでも雇用できる』という事例を作るために、総合職の仕事をしてもらっていますが、波及効果でグループ会社の中でも精神障がい者を雇用する会社も出てきました」聴覚障がい者が働く日立製作所水戸事業所社内資格取得で同作業担当JR常磐線勝田駅から車で数分。日立製作所の中でも大きな事業体の水戸事業所を訪ねた。ここには「都市開発システム社水戸事業所」と「社会・産業インフラシステム社水戸交通システム本部」があり、敷地内には、昨年完成した213mという世界一の高さを持つエレベーターの新研究塔「G1 TOWER」がそびえる。水戸事業所は1940年、電車用制御装置関係の工場としてスタートした。エレベーター、エスカレーターなどと機関車・電車用の制御装置などを製造している。常用雇用者数は2390人。障がいのある人25人のうち17人が聴覚障がい者で、障がい者雇用率は1・92%となっている。障がいのある人の多くが働いているのは、都市開発システム社水戸事業所生産本部ビルシステム製造部電気電子製作課。ここはエレベーター、エスカレーターや交通システムのプリント板や制御装置の組み立てを行う205人の大きな課で、聴覚障がい者13人と肢体不自由と人工透析の人たちが3人働く。電気電子製作課長の黒羽誠さんは、入社以来20数年この職場で働く大ベテランだ。「障がいのない人と同じ仕事をしてもらっています。社内の作業認定という資格制度の試験を受けて1級2級の資格をとって作業をしています。国家検定にもチャレンジして、電子機器組立の1級が1人、2級が2人います。同じ職場には手話ができる人もいますが、私たちは大きく口を開けて、ゆっくり話しています。今はパソコン画面の早見表、指示表などで指示を出しています」日立製作所では障がいのある人の悩みや相談は人事・勤労部門が中心となって担当しているが、総務本部総務部勤労グループ主任の細越淳一さんのところまで上がってくる問題はほとんどないという。「日ごろは職場の組長、課長が対応して、解決できなければ勤労グループや人事部で対応しますが、特別問題はありません。近年、地元のろう学校とお付き合外口善崇さん(写真右)をフォローアップする桐原本茂本社総務部主任水戸事業所、黒羽誠電気電子製作課長細越淳一総務部勤労グループ主任

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