働く広場増刊号2013
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35「働く広場」増刊号 2013いをして、定期的に採用しています。研修に参加して、精神障がい者の雇用も視野に入れています」聴覚障がい者の勤続年数は長く、Uターン就職のため故郷に帰った人を除いて退職者はいない。黒羽さんは「職場で特に配慮していることはない」と言う。「ただ、課や組の朝礼は普通のペースで話しますので、終了後にもう一度、聴覚障がいの人たちに組長が同じことを話しています」新人教育は障がいのない人たちと同じ。アビリンピックの電子機器組立競技入賞の常連企業だが、約1カ月半特訓をする。工場では、機械の音は光で分かるようにするなど工夫している。黒羽さんは、「以前、うまく伝わらないこともあったので、分かったかと念を押して、何が分かったのかを言ってもらうようにしています。基本は、障がいのある人として意識しないこと。何かあったときは助けますが、できるだけ自分でやってもらうことを心がけています」と話す。それぞれの持ち場で活躍工場を案内していただく。プリント板を作る作業、ハンダ付けの部品は米粒よりも小さい。一人前になるには5年ほどかかるらしい。高橋賢さんは20年選手。プリント板の追加ハンダ付け作業をしている。五十嵐和宏さんは、ハンダ付けはプロ中のプロ。国家検定1級で、後輩たちの指導員だ。昨年10月から部品をまとめる部署に移った。「ミスは許されないので、どちらの仕事も大変ですね。部品の種類は1万ぐらい。似たような部品もあるので、早く全部覚えたいと思います」次にエスカレーター制御盤の配線作業の現場へ。色、長さ、先端の端子が違う多種類の線を、パソコン画面上の指示を見ながら配線していく。「教えるときに悩むのは、しばったときの力の入れ具合。1かゼロなら教えられるのですが、感覚的なことは筆談しています」と黒羽さんが説明してくれる。エレベーターの制御盤の工程では、1年前に東海事業所から異動してきた平善範さんが各ラインに部品を供給し、空箱を回収している。「確実に覚えて、昔からいるような」が組長の評価。黒羽さんは「誰が来ても受け入れられる職場の雰囲気を作ってきましたが、聴覚障がいの方たちはネットワークが強く、すぐ打ち解けていました。戦力になっています」水戸事業所では障がい者と上長の集まり、「心輪の会」を作り、コミュニケーションを図ってきた。その幹事も務めた黒羽さんは、ほとんどの聴覚障がい者と顔見知りで、口話がよく通じる。課対抗スポーツイベントで選手になる人、社内駅伝大会で活躍する人、ゴルフが上手な人。障がいのある人も1人の従業員として、さまざまな行事に参加している。知的障がい者が働く特例子会社日立ゆうあんどあい働く場所は拠点分散方式で神奈川県横浜市戸塚区に「日立ゆうあんどあい」の本社がある。98年に知的障エレベーターの制御盤の配線作業をする清水隆之さん聴覚障がい者13名が働く電気電子製作課。リーダー的な存在の五十嵐和宏さん(国際アビリンピック・プラハ大会で銅メダリスト)細かな作業を進める高橋賢さん(右)と末永和彦さん

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