働く広場増刊号2013
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37「働く広場」増刊号 2013る。「長く働いてもらいたいので、人間関係や金銭、健康、家庭の問題などのトラブルで辞める人が出ないよう、アフター5の教育もしています。仕事の基本は、『よく聞く』『はっきり話す』『しっかり見る』。『逆ザル』教育ですね」この拠点分散方式の雇用は、きちんとしたフォローアップ体制が不可欠だが、このような特例子会社が増えれば知的障がい者の雇用はもっと広がりそうだ。鈴木社長も「そう思いますね。多くの企業は全国各地に拠点が分散していますから、できると思います。ただし、親会社の協力がないとできませんね」近隣の日帰り旅行、忘年会、スポーツ大会などの楽しみもある。日立の社員として自覚ある行動を引き続き33拠点の1つ、戸塚区の「日立製作所システム開発研究所・生産技術研究所」の現場を訪ねた。社員3人に指導員2人が、マル秘書類の回収とシュレッダー・リサイクル、資材・物品の運搬、社内郵便集配の業務を担っている。白い紙は再生紙として利用、色紙はトイレットペーパーなどにリサイクル……。清掃業務から最近この職場に異動した岡田洋介さんは働いて4年目。「この仕事が好きです。できるかぎり力を出して働き続けたいです」と言う岡田さんは、第10回全国障害者スポーツ大会(ゆめ半島千葉大会)で準優勝した横浜市のソフトボールチームのキャプテンでもある。次にシステム開発研究所の清掃チームの仕事場へ。男性3人、女性2人、指導員が1人。指導員の久保みちるさんは、グループ会社から出向して2年目。仕事を分かりやすくするため、作業のさまざまな工夫をしている。「最初は私に務まるかと思ったのですが、一生懸命作業をする社員を見て、精いっぱい応えなければと自分も励みになっています」建物の入り口のドアガラスはピカピカ。「いつもきれいにしてありがとう」と通り過ぎる感謝の声に励まされる。働く姿を見守りながら、鈴木社長は「日立の社員として、自覚を持った行動をしましょうと日々教育している。拠点の事業所の総務から懇親会にお誘いいただいたり、納涼祭や大運動会に参加させてもらったり、ありがたいですね」と話す。さらに「私は職場を拡大していきたいという思いがあります。弊社が存在しなくても雇用率はクリアできていますから、1・8%のための会社ではないと自負しています」日立グループにある特例子会社4社、日立金属の「ハロー」、日立ハイテクノロジーズの「日立ハイテクサポート」、日立ビルシステムの「ビルケアスタッフ」と日立製作所の「日立ゆうあんどあい」。各社の社長は、日立製作所労政人事部を交えて年1回、連絡会議を行っている。今後の日立製作所の障がい者雇用について、労務課長の三輪さんは、「さまざまな職場で他の社員と同じように働いていただけるかたちにすることを目指しています。未達成のグループ企業がまだありますので、ゼロにしていきたいと思います」障がい者担当の藤原さんは、「日立製作所をはじめ多くのグループ会社が、社員のうつ病などの対応で悩んでいます。私たちのノウハウが生かされて、在職者が支援を受けて働き続けられ、新たに精神障がい者の雇用ができたら……、日立だから見られる夢ですね」大企業で身体障がい者、知的障がい者と進んできた障がい者雇用。今後は精神障がい者への取り組みが期待されている。「社会が変わるとき、変えるのは日立でありたい」。その理念で、日立製作所は、精神障がい者の雇用をいち早く進めている。社内清掃に励む戸井田新一さんオフィス内外の清掃。佐藤翔伍さん(右奥)と山崎まな美さん(写真手前)株式会社日立ゆうあんどあい〒244-8567 神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216TEL 045-881-2277 FAX 045-881-2493

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