働く広場増刊号2013
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41「働く広場」増刊号 2013これが業績のデータの基となる。 職場が育てたベテラン 「製造一課一係」(以下「一―一係」)は各製品の前工程の担当なので、各製品を組み立てるパーツをつくる。「一―一係」の奥野哲治さんは勤続17年の47歳になるベテランである。統合失調症だが、通院日以外に休むことはない安定した戦力である。しかし、最初からいまのように、自分で進んで仕事をこなせたわけではなかった。「指が切れちゃった、と絆創膏を貼るでもなく、じっと立ち尽くしていたんですよ、昔は」と、前リーダーの田隈康之さんは、以前の彼の姿を振り返る。ここまで来るのには、何より障害を持つ人を根気よく育てる職場の包容力と、奥野さん自身の努力の相乗効果が大きかったに違いない。そしてお母さんが毎日作ってくれる心尽くしの弁当は、奥野さんの働く力の影の原動力でもある。決起大会で論文発表 浜口慎さんは奥野さんの4年後輩で36歳、勤続13年になる。昨年下半期の社員決起大会では、ほかの社員とともに論文を発表した。その論文で浜口さんは、「寝食を忘れて思いをめぐらし、自分の仕事をこうしたいと思っていると、その思いは潜在意識に浸透して、突然素晴らしいアイデアが生まれるまでになる」と発表した。浜口さんはアルミの材料板の色目の違いにも気を配り、社員の小濱哲史さんに、製品として「不適合」にならないか確認する。一つひとつ几帳面な仕事振りである。精神障害者保健福祉手帳の所持者であり、薬を服用しているので、時に眠気に襲われる。「気をつけてあげなくちゃいけないことといえば、会議のときなど、船をこいじゃうくらいの眠気かな」と前のリーダーの田隈さん。会議のときはいいが、プレス作業のときは危ないので、「眠いよサブリーダーの中井勝頼さん(左)に作業報告をする奥野さん勤続17年になる奥野哲治さん小濱哲史さん(右)に相談、確認して仕事を進める浜口さん浜口慎さん

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