働く広場増刊号2013
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42「働く広場」増刊号 2013うなら、顔を洗っておいで」と、何気なく声をかけた。夕方、16時30分、作業が終わると浜口さんは、サブリーダ―にその日の結果を報告する。少量多品種の注文が多いので、疑問があれば必ず質問し、打合せをする。翌日の仕事についても、勝手に一人飲み込みせず、納得のいくまで確認し合う。浜口さんは一日の仕事が終わると、当番でなくても自分が使った機械の周囲を掃除するのが日課だ。係の成長を論文で紹介 Tさんは、36歳、2003年入社の10年選手だが、同じく下半期決起大会では、「製造部製造一課一係の成長と各々がなすべき事」という論文で、「障害者のパートが何を大言をと思われるかもしれないが」と断りつつも、自分の意見を堂々と披瀝した。Tさんの文章に基づきお話をうかがって、「一―一係」を紹介する。障害者が3人いるにもかかわらず、健常者だけの部門の実績よりも好成績を収め、社長が外部の人にも胸を張って、「障害者でも健常者と同じように頑張れるんだ!」と自負できる部門に成長した。しかしこれは障害者だけが頑張ったのではなく、部門員全員が障害者を理解し、あるときは叱咤激励し、あるときはフォローに回り、うまくみんなが「一―一係」の歯車として機能するように、創意工夫を重ねた努力の賜物だ。さらに、Tさんは、飛躍の原動力となった田隈リーダーと、営業活動で外に出向くことの多くなった田隈さんを補佐する中井サブリーダー、小濱さんの2人へ深い信頼を寄せている。通常の業務は自分たちで行い、先輩たちにはより高度な仕事を担当してもらう。みんなの力をまとめて、その力を伸ばしてくれた兄貴分のようなリーダーたちの役割の大きさを称え、それは現在のグループリーダー、硲はざま寛樹さんにも引き継がれている。グループ内のお母さん役でもある森内敬子さんは、障害者についての理解度は係の中でバツグン。みんなが仕事を長続きできたのには、彼女の気配りが一役買っている。また、部門の飲み会も単なる慰労会でなく、普段思っていることを、歯に衣を着せず話し合い、モチベーションが上がる場になっているようだ。一方、Tさんは新製品の開発について、景気の動向に左右されない医療や福祉関連分野へのさらなる進出を提案した。頑張り屋のTさんは、19歳のとき統合失調症を発症したが、専門学校を卒業。病気もあり、将来のことを考えると不安だからと、勉強好きなところもあって、種々の資格も取りたいと、フォークリフトをはじめ、すでに十種類あまりの資格を取っている。その試験の前には調子を崩しかねないので、尊敬する精神科医の指導を受けながら食事療法や運動療法にも気を配っている。そしてできれば、将来はよいパートナーと出会う夢も視野に入れている。 目標は梱包のプロ 所属の部門は別だが、製造一課四係で働くWさんは42歳、製品の梱包の担当である。仕事を始めてこの1月で7年にな「一課一係のお母さん」と呼ばれる森内敬子さん製造一課一係の硲寛樹グループリーダー

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