働く広場増刊号2013
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45「働く広場」増刊号 2013ぐるなびの特例子会社として「株式会社ぐるなびサポートアソシエ」(以下、アソシエ)は、日本最大級の飲食店検索サイト「ぐるなび」を運営する株式会社ぐるなびの特例子会社として、2010(平成22)年11月に誕生した。会社のポリシーは「働いて、貢献して、稼ぐ」。会社の前向きな姿勢がよく表れている。現在、社員は16人。管理スタッフ2人に、精神障害者8人、身体障害者4人、発達障害者と知的障害者が1人ずつ働く。年代は10代から50代までと幅広い。業務はぐるなびから委託される事務作業で、ぐるなびが所有する契約書などの紙資料を電子化する「PDF化業務」、ぐるなびサイトの飲食店が行っている、クーポン登録作業を代行する「クーポン登録業務」、店舗ページの文章や写真に不適切な表現や誇大表記がないかをチェックする「WEB監視業務」、PDF化業務で使用する契約書を並び替える「ファイリング業務」などだ。なかでもWEB監視業務は、店舗の誇大表記がないかを、ぐるなびポリシーにのっとってチェックするため、トレーニングを経た7人が担当している。最近、サイト上のメニューランキング・コメント・チェック(MRCC)の業務も始めた。こちらは「お勧め情報を投稿する」というルールに反した投稿を見つけて報告する。工藤賢治さんは現場の責任者、管理部リーダーを務めている。「WEB監視業務は、文章の読解力や集中力と物事を広くとらえられる力が必要です。障害特性によっては難しいので、トレーニングしても難しい人はほかの仕事に就くようにしています。MRCC業務は、食に関しては個人の好き嫌いがありますが、『よかったときに書き込むことが本当に役に立つ情報』というぐるなびのポリシーに沿って、作業をしています」ぐるなびは飲食店検索サイトの運営のほか、日本各地の特産品の通信販売、デリバリーや宅配など、飲食店に関する事業を手広く手がけている。 株式会社だから利益にこだわる精神障害者が、障害者の社員の半数以上を占める特例子会社は非常に少ない。設立のいきさつを、ぐるなび執行役員・管理本部人事部門長で、ぐるなびサポートアソシエ代表取締役の田中潤さんにうかがった。「最初から今日の姿をイメージしていたのではなく、経験がないのでいろいろと教えを乞いながら、何がいいのかを考えてきました。設立した2010年当時は、ぐるなびの社員数が急速に増えたために、法定雇用率を下回っていた時期です。本社の各部署に数名ずつ、障害者の社員を配置していました。たまたま本社の品質管理の部署で、アスペルガー症候群の社員が複数名うまく働いている事例があり、障害の特性を活かした職場をつくるのもいいかもしれないと感じていました。特例子会社設立の助成金などもあり、社員が増えても安定的に障害者雇用率を維持できるのではないかとも考え、2010年夏前から検討を始めました」最初は、本社内でのビジネスを考えていた。しかし、都内で後発の特例子会社工藤賢治管理部リーダー① 主体的に働きたい人を採用② 業務日報で体調を把握③ コミュニケーションを大事にPOINTPOINTPOINTぐるなびサポートアソシエ田中潤代表取締役(2014年1月号掲載、内容は当時のまま)

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