働く広場増刊号2013
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49「働く広場」増刊号 2013入社当時は、人の目を見て会話ができなかったそうだが、工藤さんや外部支援者たちとの面談やアドバイスと、自身の努力でしゃべれるようになったとか。礼儀正しく、ていねいな言葉づかいで、きちんと話す。「技術不足を感じているので、自分の技術を上げて、会社の役に立つ人間になりたいと思います。入社3年になりますので、給料に見合った仕事ができる人間になれたらいいなと思います」次のステップへ2011年1月に業務を開始してから3年。「新しいことをやるのはおもしろい。ここを作るにあたっては、ドキドキとワクワクがあった」という田中さんは、今後の課題を見すえる。「いまは微妙な時期になってきたと思います。これまでは勢いでやれたし、次々と新しいことが起こって悩んでいる暇はなかったのですが、3年ぐらい経つと、最初からいる人はマンネリになって不満や悩みが起きやすい。組織にとって最初の危機は3年目くらいに起こるものだと思いますが、うちの場合は幸い、いまも人を増やしているので、その循環が止まらない間は、組織としてはうまくやっていけるのかと思っています。工藤君には伸びが止まったときの組織をどう活性化させていくかを考えてほしいし、工藤君自身もマンネリになりますから、ぐるなびの仕事を2〜3年経験して違う立場で戻るとか、小坂君にも同様にしていきたいですね」本社所属で、週1回状況を見にくる笠置さんは、「質の高いしっかりとした成果を提供できる環境になりつつある」と感じている。「仕事をする喜びを感じて、誠実に仕事をしてくださる社員が多いです。『アソシエに委託をすると、まじめに、ていねいにやってくれるのでありがたい』と、どの仕事でもぐるなび社内から一定の評価を得ています。私自身は、ぐるなびとアソシエをつなぐことを常に心がけています。ぐるなびの経営陣にアソシエの存在価値、グループ全体への貢献度の高い事業体であるという意識を持ってもらえるように、同時に発注側の現場の方々にも、アソシエの価値を感じてもらえるようにしたいと思います。受注している仕事の満足度の聞き取りなど、社内営業的な働きかけは重要ですね。ぐるなびの人たちにもアソシエを身近に感じてもらえるよう、交流の機会を増やしていきたいと思っています」初めて障害者雇用にかかわった工藤さんは、思いがたくさんある。「障害者雇用の仕組みも含めて、できることはまだまだたくさんあると感じています。若輩ですが、精神障害者の雇用は重要だと思いますので、試行錯誤した経験を企業や支援機関、行政にお伝えして、障害者雇用がどんどんよくなっていけばと思います」小坂さんは、知り合いには障害のある人がいたが、仕事として接したのは初めてだった。「本人たちの特性を理解して、1人の人間として『個人』として接しています。一人ひとりの弱い部分をサポートして個人の力を上げることで、会社の底上げもできると考えています。まだまだ勉強中ですが、業務改善で会社に貢献できればと考えています」ぐるなびが外部委託している業務はたくさんあり、いまのアソシエオフィスのスペースにもまだ余裕がある。今後も採用を続けるという田中さんに、今後の決意を聞いた。「格好いいことはしなくてもいいので、ちゃんと続く会社にしたいですね。そのためには、価値を発揮し続けないといけません。会社のポリシーを守ってみんなで頑張っていけば、ちゃんと続く会社になるはずだと思います」高いポリシーを掲げて、前向きに。しかし歩みは堅実に。精神障害者の定着にもみられるように、日々の取組みの地道な積み重ねを感じた。20歳を過ぎてから自分の障害を知った吉澤祐子さん。「自分の技術をもっと上げて仕事をしたい」と話す

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