働く広場増刊号2013
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57「働く広場」増刊号 2013が発生する可能性もあります。採用後に育成していく視点をもって、健康管理面や仕事に対する意欲、社内のルールを守るといったような、基本的な面を確認することが望まれます。特に、本人が自分の障害を自覚していること、具体的には、①自分自身の精神疾患や障害がどのようなものか理解している、②普段の生活や仕事をするときに、健康管理上どのような点に気をつけなければいけないか、理解し実行できる、③仕事をする際に、どのような配慮や支援があると働きやすいかをいえる、といったことは、精神障害者を採用する際の大きなポイントになります。病気や障害については、プライバシーに関わる問題で、面接で聞いてはいけないのではないかと考える方もいるかもしれませんが、精神障害といっても、さまざまな精神疾患がありますし、同じ疾患でも、個人個人で障害の状況が異なります。上記の点をきちんと把握しないと、精神障害があることを前提に採用したにも関わらず、具体的にどんな配慮をすればよいか、企業側が手探りで考えることになりますので、注意が必要です。また、「精神障害者」であることをオープンにして応募してきたのだから、自分自身の病気を理解しており、健康管理上の留意点や周囲の人に求める配慮事項もわかっているはずだと思うかもしれませんが、実はそのような人ばかりではありません。本人が病気や障害のことをどのように考えているか把握するときには、例えば、「紹介があったハローワークからは、精神障害(疾患)があるとお聞きしていますが、具体的にはどのような障害(疾患)ですか。また、仕事を続けていくうえで、自分自身が気をつけるべきことや周囲の人に配慮してほしいことはありますか」といったような聞き方が考えられます。面接だけの情報収集には限界がある採用面接をさまざまに工夫しても、働く意欲があるか、基本的労働習慣が身についているか、働き出したら体調の変化はないか、といったことは面接だけではなかなか把握できません。これまでの職歴から考えて、企業で想定している仕事は十分に対応できるだろうと思われる人でも、病気やその後のブランクのために持っているスキルを十分発揮できない人もいます。面接だけで適当な人材かどうかを把握することは、障害のある・なしに関わらず難しい面がありますが、特に精神障害のある人の場合には、調子の波があって、面接のときは絶好調だったが採用すると違っていたとか、面接ではしっかりとした話はできなかったが、実際に仕事をさせると大変まじめに着実に仕事をこなすといった人もいます。このため、精神障害者雇用の経験豊富な企業では、職場実習など、実際に職場で働いてもらう期間を設定し、具体的に実態把握するところも多いようです。支援機関を有効に活用する適切な支援を実施している支援機関であれば、病気や障害のことを企業にどう伝えるか本人ときちんと相談し、支援機関の方からも企業側に情報提供を行うはずです。本人のセールスポイントや具体的な配慮事項、調子を崩すきっかけ、調子を崩すときのサイン、調子を崩したときの対処方法、生活面を含めた支援体制の状況などについて、支援機関から情報提供してもらうことが望まれます。採用を検討する段階から支援機関を活用すると、精神障害者雇用はよりスムーズに進みます。さまざまな支援機関があるなかで、どのような支援機関の協力を得たらよいか迷うときには、まずはハローワークに問い合わせたり、専門的な助言を求めるときには地域障害者職業センターに相談してみるとよいでしょう。「精神障害者のための職場改善好事例集」「理解する心、支えあう職場」(DVD)「障害者雇用マニュアルコミック版」上記資料は、それぞれ「精神障害 好事例」、「理解する心、支え合う職場」、「障害者雇用 コミック」で検索ください。■問合せ:雇用開発推進部雇用開発課TEL 043―297―9513 FAX 043―297―954757「働く広場」増刊号 2013

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