働く広場増刊号2013
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61「働く広場」増刊号 2013な雰囲気になるよう、所属長などが気を配ることが大切です。周囲の協力や配慮を得る相談しやすい職場にしていくためには、精神障害のある社員と一緒に働く周囲の人の協力や配慮も欠かせません。この際、障害のあることを周囲の社員に伝えないと、協力や配慮を得ることができないだけでなく、通院や残業などの配慮が必要な場合、「なぜあの人は残業しないのか」とか「定期的に休むのはなぜか」といった疑問が出てくることもあります。なお、効果的な協力や配慮を引き出すことが目的ですので、精神障害や疾患名を伝えるより、会社としてこのような配慮を提供するので、周囲の社員にはこのような協力・対応をしてほしいということを伝えるのが大切です。伝える際には、次のようなことに留意しましょう。〈紹介の仕方を本人と相談する〉企業として配慮したいと考えていること(例えば、残業の制限、通院日の確保、仕事内容の設定の仕方や指示の出し方など)を周囲の社員に伝えないと、周囲の配慮が得られないことを、本人にも十分説明し納得してもらわなければいけません。ただし、精神障害のあることを前提にして就職した人でも、周囲の社員に障害のことを伝えることに抵抗があったり、どのような説明をされるのか不安に思う人もいます。説明内容を企業側が一方的に決めるのではなく、本人の意向を確認しながら、説明の仕方を決めることが大切です。精神障害のある社員が支援機関を利用していれば、その支援機関とも相談するとよいでしょう。〈紹介の仕方の具体例〉どのような場面で、どのような説明を行うかは、本人の意向や職場の状況によりさまざま考えられますが、例えば、仕事を開始するときに、本人が簡単な自己紹介をした後、所属長から配慮事項(精神科に通院しており毎月○回休暇を取得してもらう。勤務時間は○時〜○時で残業はさせない。指示は主に○○さんから出してもらうようにする。仕事などで困ったことがないか定期的に相談を行う。会社としては焦らずにじっくり仕事を覚えてもらおうと思っているので、温かく長い目で見てほしい、など)を説明するといったことが考えられます。本人が自己紹介する前に、まず先輩社員の方から名前だけでなく自分の特徴なども織り交ぜて自己紹介し、本人が話しやすい雰囲気を作っているという企業もあります。〈精神障害者雇用に関する情報を提供する〉精神障害者雇用に初めて取り組む場合、精神障害のある人と一緒に働くことになる社員がいろいろ不安を持つこともあります。これらの不安は、精神障害のある人と実際に働くなかで解消していくことが多いのですが、事前に精神障害者雇用に関する基礎的な情報を提供することで、不安を緩和することもできます。地域障害者職業センターなどの支援機関を活用して、職員研修などを実施する方法もあります。このような研修会をするときは、事前に従業員の疑問や不安を把握し、それらに沿って情報提供を行うと効果的です。【文献】1 障害者職業総合センター『精神障害者の雇用管理のあり方に関する調査研究、調査研究報告書 №109』2012年2 障害者職業総合センター『精神障害者雇用管理ガイドブック』2012年図 業務の振返り用紙出典:大東コーポレート株式会社の様式を一部変更して引用(文献2)具体的な状況○で囲んでください質問項目体調はいかがですか?疲れ具合はいかがですか?目標を意識できましたか?仕事に集中できましたか?他社員とのコミュニケーションは?業務・その他の困り事は?質問項目以外で話したいことは?よ い・まあまあよい・普 通・あまりよくない・悪 いすごく疲れた・ほどよい疲れ・疲れていないできた・だいぶできた・普 通・あまりできなかった・取り組めなかったできた・だいぶできた・普 通・あまりできなかった・できなかったできた・だいぶできた・普 通・あまりできなかった・できなかったあった・なかった61「働く広場」増刊号 2013

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