働く広場増刊号2013
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62「働く広場」増刊号 201362「働く広場」増刊号 2013疾患と障害が併存する精神障害者の場合、健康管理面に関する配慮は欠かせません。また、長期的な職場定着を考えると、健康管理面の配慮とともに、人事異動などによる職場の人間関係の変化などにも留意が必要です。健康管理面について〈通院の確保〉本人が通院している医療機関が夜間や休日に診療していない場合、勤務を休んで通院する必要があります。また、夜間や休日に診療していても、本人の疲労度などを考慮し、勤務を休んで通院することが望ましいときもあります。勤務を休んで通院するときは、有給休暇を利用して通院する場合が多いようですが、時間休をとれるようにしたり、通院時間を勤務扱いにする制度を設けている企業もあります。〈本人の様子に気をつけ、早めに体調の変化を把握する〉体調に波のある人も多いので、出勤してきたときに、「調子はどうか」と一声かけるなど、本人の様子に気をつけましょう。普段と違った様子がうかがわれるときは、体調や疲れ具合、睡眠の状況などを確認します。〈体調不良で休みを訴えてきたときの対応〉当機構の障害者職業総合センターの調査では、精神障害者を雇用している企業の9割以上が、「不調時には、職務を軽減したり、一時的に休養をとらせるなどの対応をする」と答えており、体調不良のときは何らかの対応を行っていることがわかります。体調不良のときには、休ませるという対応以外に、勤務時間をしばらく短縮するなど緩和勤務の選択肢を用意している企業もあります。また、体調を崩したらほかの人が代わって仕事ができるように社員教育するなど、体制を整えている企業もあります。筆者が、精神障害のある社員を対象としたインタビュー調査をしたときに、「調子の悪いときは無理をしなくてよいといわれていますが、そのことで気持ちにゆとりが生まれ、体調を崩さず、かえって休まないで出勤できています」という主旨の話をする人が複数いました。体調不良のときの対応が、安心につながっているようです。一方、「体調不良を訴えたときは、基本的に無理はさせないが、人によっては異なる対応をする場合もある」という企業もあります。例えば、ちょっとでも不調を訴えると、周囲から無理しないで休むようにいわれ続けてきて、就職してもすぐに休もうとする傾向のある人の場合です。安易に欠勤を認めると、欠勤したことでさらに出勤しにくくなる悪循環に陥ってしまうことが多いため、このような人に対しては、「体調不良で欠勤したい」と連絡してきても、本人の話を十分に聞いたうえで、大丈夫そうであれば、まずは出勤するよう促すそうです。このような人はそれほど多くはないと思いますが、体調不良を訴えてきたときの対応も、一人ひとりの状況を十分に把握し、個別の対応を求められることがわかります。体調不良のときの特徴や、そのときの望ましい対応方法などについても、支援機関と十分に連携をとって対応することが望まれます。はじめての精神障害者雇用 ⑦健康管理と環境の変化への対応福島障害者職業センター 所長  相澤欽一

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