働く広場増刊号2013
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66「働く広場」増刊号 20131.ジョブコーチ支援の  基本的な考え方1986(昭和61)年、米国でリハビリテーション法が改正され、「援助付き雇用」が制度化されたことにより、日本の職業リハビリテーションでも、就労支援の考え方が大きく変わるきっかけとなりました。それまでは、就職に必要となる諸能力について、職業訓練やさまざまな支援を通じて一定水準に到達させ、その後、就職につなげるという考え方が主流でした。それに対して「援助付き雇用」は、訓練してから就職を目指すのではなく、まず企業を紹介して就職した後に、その職場で求められる作業能力や対人対応力を引き上げるとともに、能力を発揮しやすいように職場環境(物理的環境、人的環境、要求水準など)を調整するという考え方です。ジョブコーチ支援は、この「援助付き雇用」の考え方をもとに生まれたものです。現行のジョブコーチ支援は、ジョブコーチが職場に出向き、本人・事業所などに直接、間接的に支援を行います。ジョブコーチ支援の目的は、障害のある人が自分の能力に応じた役割と責任をもって働けるようになるとともに、企業が障害のある人を職場の一員として自然に受け入れ、無理なくサポートできることを目指しています。こうした障害のある人を受け入れた企業内の従業員(上司、同僚)から障害のある人への種々のサポートを、ナチュラルサポートといいます。2.ジョブコーチに関する制度⑴ ジョブコーチの種類現在、国のジョブコーチ支援制度は3種類あります。地域障害者職業センターの職員である配置型ジョブコーチ、職場適応援助者(ジョブコーチ)助成金制度に基づく第1号ジョブコーチと第2号ジョブコーチです。職場適応援助者助成金制度とは、ジョブコーチ支援事業を実施する社会福祉法人などや企業に対し、一定の要件を満たしている場合にその費用の一部を助成するものです。社会福祉法人などの職員であるジョブコーチを第1号ジョブコーチといい、企業の従業員であるジョブコーチを第2号ジョブコーチといいます。なお、支援の利用に経費はかかりません。こうした国のジョブコーチ制度以外にも、地方自治体でジョブコーチに類似した事業が展開されています(事業内容の詳細などはそれぞれの自治体で異なります)。⑵ ジョブコーチの研修(1)の職場適応援助者助成金制度を利用してジョブコーチの活動を行う際は、当機構が実施しているジョブコーチ養成研修か、厚生労働大臣が定める研修を行う民間の研修機関の研修を受講する必要があります。なお、職場適応援助者助成金制度は活用せず、ジョブコーチの活動に必要な技能・知識などの習得だけを希望される場合は、民間の研修を受講することになります。▼▼ジョブコーチ知っておきたいことば

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